昼飯を食いに出て、帰ってきたら、店の前で一人の男が吼えている。
年齢は40-50歳くらいで、右足にギブスをしており、松葉杖を片手でついていた。
傍らには、奥さんか、母親か…というような女性がおり、
男の怒りように、恥ずかしいやら、心配やらでハラハラしている。
その男は何を怒っていたかというと、
河原町通りの歩道を走る自転車の人すべてに対して、
『ここは、歩道だ!自転車を降りろ!』
『自転車に乗るなら車道を走れ!』
と怒鳴っているのだ。
自転車に乗った人は突然のことに驚くやら、憮然とするやら、
付近の歩行者も、何事だ?喧嘩か?という雰囲気。
何も言わずに通りすぎようとする自転車には、
かなり遠くに行っても後ろから罵声を浴びせている。
実は、彼の言うことは正しい。
歩道は、いかなる歩道であっても、自転車の通行するところではない。
自転車が通行できる歩道には、そのような看板が立っているし、
その看板がなければ、そこは歩行者専用だ、ということになる。
雰囲気から推察するに、恐らくそんなことが原因で
怪我をしたのではあるまいか。
歩道を平気で通常速度で走行する自転車乗りが多いのもまた事実ではある。
彼はそんな自転車に引っかけられて、
転んだ拍子に骨を折ってしまったのかもしれない。
怒りようからすると、そのまま自転車は逃げてしまったのか。
ただし、自転車乗りにも、言い分はある。
河原町通り御池~四条間は、以前も言ったとおり、
10-22時の間、車道を自転車などが走ることが規制されているのだ。
だから、河原町沿いの店に行くには、どうしたって歩道を走らなくちゃならない。
まぁ、バスがひっきりなしに通り、
路駐が横行する河原町通りを自転車が走るのは、元々至難なんだが、
まぁなんにせよ、自転車側から見れば、まことに不合理な規則だ。
そういうわけで、河原町通り沿いの歩道は自転車が多いんである。
もしかすると、自分が間違ったことをしていると
気づいていない人も多いかもしれない。
だって車道は危ないじゃないか、とね。
それ以上に、歩行者はもっと危ないんだけど。
怒鳴り散らしていた男性の言うことももっともで、
むしろもっと多くの声があってしかるべき状態だ。
特に夏休み、自転車で街にやってくる中高生は、そんなことお構いなしだし、
そもそもそんな規則すら知らないだろうから。
でもなぁ。
自転車一人一人の前に立ちふさがって、怒鳴り散らす、
その手法自体は正しいとはいえないよなぁ。
そういうのは、熱いとか熱血とかとは言わないだろう。
むしろ逆に、お前そんなに偉いんか、と言いたくなる。
物にも言い方ってのはあるわけで。
苛々するのは仕方ないけど、周りも暑くて苛々してんだ、
もう少しよく考えなさいよ。