『狼たちの午後』(1975年アメリカ)狼たちの午後◇75年、米。アル・パチーノ、ジョン・カザール。銀行を襲い、警察の包囲網に追い込まれて行員を人質に立てこもった強盗の男性2人。報道陣と応答するうちに彼らは群衆から英雄視され始め、人質たちとの間に奇妙な連帯感が生まれていく。シドニー・ルメット監督。
この映画は…
当時の社会背景がないと、凄くわかりにくいような気がした。
犯罪者が英雄視される状況、
『アティカ』=警察が刑務所で大量殺人をしたことで、警察が憎まれている、
ゲイがまだ市民権を得たとは言えず、一方で憎まれ、一方で運動も盛ん、
そんなことが織り交ぜられて、
また、人質と犯罪者の間にも、
加害者と被害者東端純な関係じゃなくて、在る意味楽しんでいるような、
でもなんとなく、
『銀行強盗』という設定は、
例えば、銀行強盗、というような、
必然性のない設定のような感じがした。
あぁ、設定がまずいとか、実話だから仕方がないと言っているんではなくて、
描き出したかったもの、描き出されているものに比して、
銀行強盗という舞台が、あまりに舞台設定、
ストーリーを追う上で、その設定に目を奪われるけど、
本当に重要なのはそこではないんだな、そういう印象。
だから、強盗としての手順が拙くても、
『素人考えなんて所詮はダメだよな』みたいなことではなくて、
ダメなのは分かってるけどそうせざるを得なかったというか、
アルパチーノ演じる男の、人格の一部というか。
まぁ、とにかく、
アルパチーノの演技、セリフがある場面はもちろん、無い場面も含め、
格好良かった。
格好悪かったけど、格好良かった。
見終わった後に、印象が様々に散らばって広がっていくような、
そんな映画だった。
見て良かった。