Kimura Takuya Ron.

多くの男性には不評を、多くの女性からは失笑を買うことになるだろうが、いやしかし、僕は出来ることなら『木村拓哉』のようにもなりたい。確かに彼はいろいろなことができるが、オールマイティに中途半端、とも言える。1つを極めることのすばらしさから言って、彼を卑下する気持ちも分かる。
(それと、何となくの嫉妬を抱いてしまうことも)
でも、1つの視点で物事を考えるのは危険だ。自分と照らし合わせてみると、実は、『木村拓哉』の方が我々に近いような気がする。

彼がいろんなコトを出来るのは、何も、天賦の才だけによるモノではない。かれとて人間であり、『天は二物を与えず』という諺が本当ではないことは明らかになっているとしても、『天が全てに才能を与える』ということは、明らかに間違っている。しかし同時に、僕ら凡人と、様々な優秀な人達とを比べてしまうと、『天は一物さえも与えない』というのが、実は真実ではないのか?とも思う。彼とて例外ではない。

多くの人達は間違っているが、彼が何の努力も無しに多くのことを上手くできる(皮肉を込めて『そつなくこなす』と言ったりもするが)わけではない。彼だって、暇な日の早朝から海に向かったり、ジムで体を鍛えたり、数々の努力をしているはずだ。そして、自分が出来ないことを上手くできる人に出会えば、悔しさと共に、それを認め、教えをこうこともあるだろう。彼は、努力しているのだ。

それでも ── とヒトは言うだろう。依然彼が中途半端であることにかわりないではないか ── それは間違っている。彼はあなたより努力し、自分の興味のあることについて、あなたより多くの能力を勝ち取っているだけなのだ。興味のないことや、上手くなりたくないことまで、上手くできてしまうわけではない。
それよりなにより。
彼は、タレントとして、立派なプロを勤め上げている。どんなことにもその道の極みがあるのなら、少なくとも彼はその道については、あなたより遙かに極みに近い。ほとんど全ての能力が中途半端かもしれないが、そう断じてしまうのは、彼の本当の姿を見失っているからであり、あなたが1つのことさえも中途半端以下であることを忘れているからだ。

僕は彼と知り合いではないので、人間性を述べることはしない。所詮、画面に映るのは多かれ少なかれ演技だから。たまにテレビに友人が映ったとき、少し違和感を感じることと同じだ。
それでも、僕らは、彼を尊敬すべきだし、するしかない。せめて、好きなことくらいは、彼の中途半端なレベルまで届きたいものだ。