少年時代は結構熱烈な巨人ファンだった僕ですが(ちなみにパ・リーグでは南海が好きだった。ファミスタの選択もいつも南海)、その僕の思い出の中のプロ野球選手「原辰徳」でパッと思いつくのは「チャンスでサードファウルフライ」。よくよく考えればそれは怪我をして満足に活躍出来なくなってしまったあとのことであり、それまではホームランもたくさん打っていたしチャンスにも強かった。そうだ、実働年数も短かったし(15年)数字として残っている成績はそんなに華々しいものでは無いけれど、彼には華があったんだよなあ……







指導者となってからは、現役時代に見えていたようなどこか繊細で不安な感じとは違い、もっとずっと強く確信あるリーダーになっていて、なんだか「繋がっているけれど別人」みたいな印象を持っていました。率直に言って頼りがいがありそうには見えなかったので、長年ジャイアンツを率いて成績を残してることに驚いています。しかも、大枚はたいて他球団のエースと4番を買い集めた上での圧勝……というのではなく、多くの選手を育成し上手く用兵した上で、勝ち続けているのが本当にすごい。なぜそんなことが出来たんだろう?何が彼を変えたのか、もしくは現役時代に僕には見えていなかった何が彼にはあったのか?副題がいかにもビジネス書、サラリーマン向け組織論みたいでちょっとなーとは思っていたのだけど、そんな原さんに対する興味があって、本書を手に取ってみたのでした。前書き長い。



父子関係、現役、第1期監督、第2期監督、WBC

全体の流れとしてはおおよそこんな感じです。

それぞれの時期に色んなことが起き、考えているのですけど、1つ言えることは今の原さんを作り上げているものが最初から備わっていたわけではないと言うこと。現役時代、第1期監督時代(2002-2003年)、この本が書かれた直前の第2回WBC(2009年)での監督などを通して試行錯誤しながら少しずつ積み上げられたものが今に繋がっている。2014年でもそれは変わっていなくて、特に今シーズンはあまりに動きすぎ「迷采配」と揶揄されることも多いけれど、それはチームの変革期が訪れ試行錯誤しながら新しいことにチャレンジし続けた結果なんだな、と言うのがよくわかります。確かに長年チームを支え続けてきた阿部慎之助選手に限界が見え始め、骨格から再構成する必要があるわけで……それを実行しながら、ペナントレースで首位を走っているわけだから、他のチームにとってはたまったもんじゃないですね。


本書ではそれらの考え方のベースとなる姿勢、考えてポイントをつかみ変えていくための心構えのようなものが、様々な視点で語られています。表に表出するものは、チーム成績だとか、選手との接し方だとか、インタビューの言葉とか、変顔だったりとか(笑)、まあ色々とあると思いますが、それらすべての根っこに(つまり「原点」となる部分に)大事にしているものがあり、それは組織作りというだけでなく、自分自身を省みて変えていく成長させていく上でも大事になることだなあと感じました。

よくある「成績残したスポーツ指導者が自慢を開陳するビジネス書」は本当に苦手で、しかもそういう本を書いた人って2年後にはその地位追われてたりして、「たまたまその時はまっただけじゃねーか」と思ってしまうのですけれど、この本はそういう本とは少し違って、成長し変わってきた「原辰徳」という人の半生を通して、何を考えながらトライするのが良いのかというのを考えさせられます。


正直に言うとあんまり期待はしてなかったんですが、意外に面白かったです。