同居人が「1回、EMってヤツを買ってみたいんだけど」と。

僕の中には「EM菌≒トンデモ≒詐欺」という図式しかなかったので、正直「うわああ……」とどん引きしたのだけど、考えてみれば同居人はオカルトとかスピリチュアルとか全く信じない代わりに好奇心の塊であり(多分血の代わりに好奇心が流れてる)、そういうアレでは無さそう。んで、少し調べてみて仮に何か悪いことが起きても影響が少なく、かつ良い影響があればわかりやすいものとして、「排水溝の掃除に使うなら良いよ」という条件を出して話がまとまりました。


EM菌なー…

率直に言って良く解らない、何が正しいのかも解らない状況ですが、一応調べたことをまとめておきたいと思います。僕個人としてはEM菌は胡散臭いと考えています(乳酸菌や酵母の健康増進効果以上の効果は無い)が、まとめとしてはなるべく中立を保つように心がけます。結果として褒める/貶すことにはなろうかとは思いますが。


EM菌とは何なのか?

調べると色んな事が書いてありますが、簡単にまとめれば「体に有用」で「酸素を必要としない」菌の集合です。例えば、

  • 乳酸菌
  • 酵母
  • 納豆菌

といった感じのもの。それらを総合して「EM菌」と呼称し、用途に合わせて含有する菌を調整して製品化したものが一連の「EM菌関連製品」のようです。「EM菌」という名前の菌が存在し、それらが色んな効果を発揮している…ということではありません。定義としては正確には「光合成をする菌を含む」という条件も必要ですが、製品化の過程や効果を宣伝する過程であまり気にされなくなる傾向があるのでここでは含めないこととします。



基本的な考え方

  • 空気を必要とする菌による分解作用(「酸化」と呼称)は腐敗、腐食を招く
  • EM菌は抗酸化力が高いため酸化を阻害(腐敗の防止)し加えて発酵作用を促すことで養分を増やす

「酸化=悪」このあたりで勘のいい人は手を引くと思いますが加えてこんな作用もあります。

  • EM菌は物体の「抗酸化波動」(オーラみたいなもの?)を高めそれに触れるものにも抗酸化力を与える

あ、すみませんまだ席立たないでください。

ちなみにこの「抗酸化波動」は煮ても焼いてもその効果を失うことがないため、陶器やポリバケツなどにも転用が可能。あれ、これどこかで聞いたことがあるような……

いきいきペール



その他EM菌の輝かしい伝説

  • チェルノブイリで被害を受けたベラルーシの子どもたちに投与したところリンパや甲状腺が正常に戻った
  • 汚染された河川や池沼に投与したところ環境が改善した
  • 農地に投与したら土壌の環境が改善した。野菜の成長スピードが速くなってすぐ収穫でき、放射能も実に入らないし、しかも格段においしい
  • 畜産では家畜の死亡が減る一方でハエが減少した
  • 家の中のありとあらゆる汚れ物が綺麗になった

参考:

甦れ!食と健康と地球環境
EM菌の放射能や放射線対策への効果や効能はあるのか
EM1・EMWの使い方



伝説に対する反響

ベラルーシの事例に関してはベラルーシ在住でボランティアのために活動されている方が、その効能を否定しています。

そのほかのサプリメントについて 「EM菌」 - ベラルーシの部屋ブログ

ベラルーシにおけるボランティアの活動実態についてはノーコメントで。


農業への使用については効果を宣伝する人がいる一方で、

EMボカシ(EM発酵資材)

効果が無かったという人もいます。取り扱いが難しい物質なんですかね。

ボカシの話

乳酸菌がカビの活動を抑えることは事実ですので、一般的に考えてなんらかの効果はあるだろうなとは思うのですが、であればEM菌ではなく乳酸菌を導入する方が効率が良いと思います。



EM菌と世界救世教

EM菌提唱者(比嘉先生)が世界救世教の創始者(岡田さん)の援助を受け研究を完成みたいな流れだったはず。その後世界救世教が分裂した折、EM菌についても反対派と賛成派に分かれて揉めたとか。現在の世界救世教はまた統一されているので、その辺折り合い付いたのかな。世界救世教といえばMOA、MOAといえば自然農法なので、MOAの野菜にもEM菌が使われているんでしょう。多分。


EM菌を推進している世界救世教およびMOAについては有機農法を推進している方(笹村さん/この方自身はMOAの人ではない)のエントリがなかなかおもしろい。

MOAという組織について - 地場・旬・自給

MOAと関わる中で宗教に誘われたことはないし、MOAの人たちの農業への取り組みはとても真摯で良いという感じの印象。なるほどそうなのか。真面目じゃ無きゃ自然農法なんか出来ないもんなぁ。ただし「種子を儀式で浄化する」という発言にはどん引き。EM菌については『ガンが治る』とうたっているのを聞いたことで嫌いになったとのこと。効果があるのであればきちんと医療として提供すべきと。まさに正論。


このエントリの内容とは特に関係ありませんが、笹村さんの「毎日食べる物だから、普通であった方がいい」という考え方は個人的にとても共感出来ました。極端に良い効果を求め続けた結果が農薬や添加物であることはもう少し反省しても良いよね。



その他のまとめ

EM菌を賛美するエントリは、放射性物質に神経質になっている人たちのブログ、人より健康に気を遣っている自負のある人たちのブログ、家庭菜園など農業を行っている人たちのブログ、およびAmazonのコメント欄に多く見られるのでそちらを参照してください。

EMで自然農法・土壌改良|株式会社EM研究所
Amazon.co.jp: カスタマーレビュー: 環境浄化微生物資材 EMW

反対意見のまとめはこの辺でしょうか。

震災ヘドロも除去できて、体にも良い『EM菌』の真実 - AkicanBlog
和文医学雑誌にEM菌の論文が載っていた - NATROMの日記



個人的な結論

効果について特段に確信する要素はありませんでした。

乳酸菌や酵母それぞれの効果についてはその通りだと思いますが、それをわざわざ混合し、EM菌という形にしたうえで摂取し、その上に乳酸菌や酵母などが本来持たないような機能を付加して喧伝する行為は、余り健全ではないなと感じました。地方自治体がEM菌で作った団子を河川に投下しているようですけど、環境に大量の微生物を不用意に投下することは環境の破壊を助長することになるので慎重に行っていただきたいと思います。



以上、とても簡単ですがまとめでした。


それでは皆さん良い生活を。