印象ってのは大事だなぁと思いました。(ベラルーシと福島の汚染範囲比較)

このインタビューを読んで。

2012年インタビュー|FNホールディング

内容はそれぞれ判断していただくこととして(現松本市長の菅谷昭氏はベラルーシで甲状腺がんの医療活動を行ってきた立派な方です)、添付された図表の表示の仕方が酷すぎて。もう少し何とかならないのかと。



「ベラルーシの10年後」と「福島の半年後」の図表を並べているのですけど、時間軸がずれているのもさることながら、縮尺が全然違います。インタビューのように同サイズで並べると福島がやばすぎるように見えますが、でもこれ2つの図表の縮尺を合わせるとこうなるんですよ。

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色までは合わせてませんが、ベラルーシの汚染範囲が福島に比べてとんでもなく広いことがわかると思います。1480kBq/㎡以上という高汚染度地域が半径40km程度まで、555kBq/㎡以上だと半径70km程度まで広がる上、200km離れた地域でも観測されています。400km離れても汚染のきつい地域があります…(福島だと濃い青に相当)。

そうした意味で「青い地域の子供は避難すべき」という菅谷氏の主張はそれほど大袈裟な話じゃないように思えます。ベラルーシでの惨状に比べればまだ避難可能な範囲に収まっているのだから…と。
(菅谷氏の意図がそういうことかはわかりませんが)


「福島はチェルノブイリより酷い」と表現したとき、このインタビューでの並べ方を念頭にその言葉を読むと、例えば福島から400km圏内は高濃度の汚染に晒されているということを考えるでしょう。福島第一原発から400kmっていうとだいたい名古屋くらいまでの範囲です。北は青森くらいですか。福島第一原発の被害が軽微だと言うつもりは毛頭ありませんが、汚染範囲としては「福島はチェルノブイリより酷い」という表現は妥当ではないですよね。福島は海に面しているのでこれですべてですが、ベラルーシの南側にはウクライナだってあるわけですし。

ちゃんと考えれば誰だってわかることなんですけど、インタビューにあるように不適切な形で図表を並べると、テキストに対する印象がその不適切さに引っ張られてしまう。特に意図無く同じサイズで図表を並べただけで印象操作のつもりはないのだろうとは思いますが、メディアとしてはその辺のチェックを読者に丸投げするのではなく自ら行うべきなのではないでしょうかねぇ。こんなことで菅谷昭氏の主張の印象が損なわれるのは残念なことだと思います。