魔王
魔王伊坂 幸太郎

講談社 2005-10-20
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ある日特殊能力に気づいた主人公が、やがてその能力を持って日本を変えていこうとするが、特殊な能力が芽生えたのは自分だけではなく…という前編「魔王」と、同じく特殊能力に芽生えた主人公の弟が支え合いながらやがて自分の生き方について覚悟を決めていく…という「呼吸」の2部からなる作品。変わらぬ、SF的なベースがありつつもその上に日常的な生活を描き出すことで、よりリアルにミステリを語るってのは、なんだろう、伊坂幸太郎の作品で何度も読んでいるテーマなのだけど、全く飽きない。ていうか、何度読んでもその都度感心してしまうし、楽しんでしまう。なんなんだろう、これは。


本書は先に書いたとおり二部構成になっていて、続編というか「対」のような形になっているんだけど、なんだろう、最後の終わり方はアレで良かったんだろうか…という余韻が凄く残る。もちろん、アレはアレでありだ!っていう感想も抱けないことはないんだけども、やっぱりもうちょっとなんかカタルシスが欲しかったような。敢えてそれを外したと言うことなのかもしれないけど、んでもって日常ってのは大体そんなもんで、周りで様々なことが起きるけどそれをきちんと最期まで見届けられるのってホントに身近なごくわずかなことで、残りのことはずいぶん後になってからそういえばあの後さー的に耳に届くようなことだから、こんなもんなのかもしれないけど、それにしても。ねぇ。

ただまぁ、伊坂さんの作品全般に言えることだけど、小説内に出てきた伏線が全てその作品内で決着付いているわけではなくて、後の作品の中でさりげなくその伏線の続きを匂わせたりして悟ることも多いので、この続きは他の作品に期待しようと思います。

あ、でも、「呼吸」の穏やかだけれども着実にどこかへ向かっていく感覚というか、ぼんやりとした覚悟というか、そういうのはうん、ちょっと気持ちよかったかも。すっきりとはしてないけどね。



ちなみに

読み終わったのが4月の中旬でいつの間にか1ヶ月半も経ってしまった…
感想を書きやすい本と、なかなか書きづらい本とあるよね。