『エスカレータで歩かない』…出来るかなぁ…無理じゃね?(心情的に)

「エスカレーターでは歩かないでください」。横浜市営地下鉄は今秋から、全32駅構内に設置されたエスカレーターの乗り口にこんなポスターを掲示した。昇降客のために関東は右空け、関西は左空けがルールと思い込んでいる人も多いが、国土交通省によると、エスカレーターの構造はもともと、利用者が歩くことを想定していないという。
 

『利用者が歩くことを想定していない』と書かれているけど、
それはもちろん強度の話ではなくて、構造上転倒の危険は防げない、ということだろうね。
こんだけ多くの人が歩いてるのに、強度の算定で想定してなかったら、
それは非現実的すぎるだろうしね。
まぁ、じっとして乗っているときに比べて、バランスが大きく変わることによる、
予測不可能性的なことなのだろうけども。


社団法人 エレベータ協会にはこんな記述がある。

片側をあけると重量(荷重)バランスが崩れ、不具合を誘発することがあります。また歩いたり走ったりしたときに起きる振動で安全装置が働き、緊急停止することがあります。
 

なるほどね。


産経新聞の記事にもこんな記事があった。

このうち16年8月30日から12月31日の4カ月間に発生した313件の事故について分析したところ、転倒・転落が304件と97%を占めていた。その6割が61歳以上の高齢者だった。

 原因を分析すると、87%はけがをした本人の行動が原因となっており、なかでも「よろけた、バランスを崩した」が166件と最も多かった。さらに、バランスを崩した理由として、一般成人の場合は酒酔いや意識障害(めまい、発作)の生理的要因があげられるが、高齢者では生理的要因がない人も多いという。
 

僕は、エスカレータで転倒して事故、というのを体験または目撃したことはないけど、
実際には一定の頻度で起きている、ということだ。
推奨できないし、危険だと。


うーむ。

当初、マスコミの論調を揃える感じとか、日本の駅なんかで特徴的な、
過剰な注意喚起、自己責任を矮小化させる態度に、それどうよ、と思って、
何か反論を、と思ってエントリを書き始めたのだけど、
現実問題として、エスカレータで事故が起きているということであるならば、
ある程度のキャンペーン的注意喚起は仕方がないかなぁと思う。


…思う、思うけれども。


東京に殆ど行ったことがない僕の中での、衝撃的な光景の1つは、
朝の地下鉄のエスカレータの光景。
ないしは、大阪の終電間際のエスカレータの光景(京阪だったかな)。

歩くのがデフォルトで、止まっている人は左右どちらのレーンにもいない、
パッと見、軍隊の行進のようにも見えるような。


どんなに注意したって、禁止したって、アレは無くならないと思うよ。
ラッシュ時のエスカレータは、ある意味で戦争だからね。戦いなんだよ。本気で急いでるし。


で、社会人の多くは、毎日少なくとも1回、その戦いに身を投じてるわけで。
そういう人からしたら、何を馬鹿なことを、と。
必要でもないのに歩いてるわけ無いだろ、てかそれが普通だろ、と。

しかし一方で。
そういう経験をしている大多数の人…が利用している時間帯は、
24時間というスパンで言うと実は凄く短い。
駅視点で見たときの、大部分の時間帯はラッシュ時間ではないわけだよね。
歩いても良いし、歩かなくても良いんじゃないの、っていう感じのノリの時間帯。
そういう時間帯の利用が多いヒトから見れば、そのノリの方が普通で、
朝のラッシュ時の光景の方が異常。


その辺の温度差は…多分、解消されることがないような気がする。
だってもうしょうがないもん。



1つだけ思うことは、禁止とか、そういうことではなくて。

  • 歩いても良いけど自己責任で
  • 歩いても良いけど周りに迷惑を掛けない

という感じが、暗黙の了解の範囲かなぁと思う。


最初の記事の中の『歩く人がいることで困っている人』の描写はこんな感じだけど、

「エスカレーターに孫と手をつないで並んで立っていたら、後ろから来た男性に『どけ、どけ』と言われ、孫が押された」「右側に乗ってしまった高齢者が左によけることもできず、後ろから来た人にせかされ、歩かされていた」

どかせる、歩かせる人の人間性の問題でもある気がする。
必ずしも、エスカレータを歩くことだけの話か?と。
こういう人間はきっと、他の話題でも同じような問題を起こしているのでは?

同時に、エスカレータは現実問題としてそういうもんなわけだから、
どちらに立つかはよく注意する必要があるし、
孫を連れているならエレベータを利用するのも手だと思う。

止まりたい人と、歩きたい人がどちらも大勢いるんだから、
システムとして譲り合わないと、結局上手く回らないでしょ、と。



まぁでもやっぱり、最後まで考えながら書いて思うのは、
余計なお節介には違いねーな…とか。

火の鳥の未来編だったっけかな。
一般人と戦士のエスカレータが別れてるっていう描写があった気がする。
どうせなら、急行と普通とを分けて作ればいいんじゃね?

そんな金もスペースもないんだろうけどさ。

火の鳥 (未来編) (秋田CD文庫)火の鳥 (未来編) (秋田CD文庫)
手塚 治虫
Amazonで詳しく見る
by G-Tools