「中国人の仕事」と「日本人のストライキ」

スペインにはそういう表現があるそうです。面白いなーと思ったので紹介。

中国人の仕事(Los chinos completa Shishi)

これは、面倒くさくてやりたくない仕事。例えば、白ごまと黒ごまが混ざった中から黒ごまだけを選り分けるとか、お皿にあけた米粒の数を数えるとか。使い方としては、
そんな中国人の仕事、やりたくないよ
みたいな感じ。 なんで中国人なのかはよくわかりませんけど、イメージで言うなら、移民として世界で苦労してる華僑の人たちは、人が嫌がるような仕事もどんどん引き受けていくことで、社会に溶け込んでいったんだろうなあという感じかな。アメリカでクリーニング屋というと韓国系とか、そういうのと同じことなのかなと。その結果としてなのか、スペインは中国資本が幅をきかせているわけで、中国人てすげえよなと思います。好きかどうかはともかくとして。

日本人のストライキ(Huelga de los japoneses)

一方、こちらは日本人のイメージの話。 ストライキというと通常はボイコットのことですね。「こんな給料じゃやってられないから、今日の午後はもうみんなで休んじゃおうぜ」とかそういうのが普通のストライキです。大規模になると、交渉の間業務を停止したりしますね。まあ日本では最近あんまり聞かなくなりましたけど。 で、「日本人のストライキ」というのはどういう表現かというと、「もっと働く」。 最初聞いた時は意味が解らなかったんですが、どうやら、会社が望む以上にもっと働いて給料を払わせて、会社を困らせてやろうみたいな抗議の仕方のことを言うらしいです。「俺らがストライキって言ったらさぼるだけだけど、日本人だったらこうするぜ」みたいな感じか。 この辺も日本人のイメージがあって面白いですね。中国人の目立ち方とはまた違いますが、ヨーロッパで基礎を築いたかつての日本人も、周りの人間の何倍も働いて成果を出し貢献することで、自らの価値を高めていったんでしょう。現代の日本人にそれが出来るのか僕はあんまり自信が持てませんけど、僕らが世界で働くとき……というか僕のように外国人と仕事をするような時でも、先人のそういった努力の恩恵にあずかっているんだなあと少し感慨深く思いました。 ちょっとしたスラングにも、文化的な背景があって面白いですね。

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「シエスタ」のある生活に対する印象の違い

ヨーロッパではランチに1時間とか掛けるし、スペインではシエスタ(午睡/昼寝)の時間があるし、朝から晩まで場合によっては昼休みも切り詰めてきりきり働いてる日本に比べて優雅で良いよね、なんて思っていたのですけど、スペイン人の働き方をあれこれ聞いてみた結果、別にそれで労働が楽ってわけじゃないっぽい。 昼休みが3時間ある場合の1日のタイムスケジュールは、こんな感じ。

  • 朝9時 …… 出勤
  • 昼13時 …… 午前中の仕事終わって帰宅、昼食、シエスタ
  • 昼16時 …… 再び出勤
  • 夜20時 …… 定時、退勤
昼休みが3時間ある分、単純に拘束時間が長くなるんだね。それだけ。 実際に働いてるときには、間にシエスタが入ることで「4時間ずつの仕事になるから気分的にはすごい楽で、まだかまだかと短い感じしてた」と言ってたけど、うーん、習慣の問題ではあるんだろうけど、僕だったら昼休み1時間で良いからさっさと終えて家に帰りたいなあ。あとにやることが残った状態でのんびりするのはあんまり好きじゃない。でもスペイン人はそうじゃないんだな。シエスタ込みで、その長い仕事の時間を楽しむということなのかしら。 僕ら日本人はシエスタのことを「余り働かない」という印象で見ているけれど、スペイン人のシエスタの印象はそうではなくて、シエスタは「よく働くこと」の証。労働時間が短くなるわけじゃなく、「朝から晩まで一日中よく働くからそのために昼間少し休む」んだと。昼寝ってなんか優雅な印象があるんでいまいちピンと来ないけど、そういう文化なのだろうなあ。シェフに「今の君はスペイン人みたいな働き方だね」と言われて褒められてるのか注意されてるのか解んなかったんだけど、どうやら朝早く起きて別の仕事して、仮眠取ってレストランに来るっていう長時間労働を「スペイン人みたいに頑張ってる」と言ってもらってたみたい。 ああ、感覚が違うなあ。

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