消費税増税の「景気条項」について

どのメディアでも「消費背増税は決定」みたいな報道のされ方をしています。まあだいたい合ってますけど、一応消費税増税法案には先の「三党合意」に基づく「景気条項」、つまり景気が回復してこの条件を満たしたら消費税を増税しますよ、という条件が付けられています。今回選挙のマニフェストの話ではなくて、法律で決まっている話です。 具体的には「消費税法」に関する法令「平成二十四年八月二十二日法律第六十八号」で規定されている「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律」の第十八条。抜粋します。

(消費税率の引上げに当たっての措置) 第十八条  消費税率の引上げに当たっては、経済状況を好転させることを条件として実施するため、物価が持続的に下落する状況からの脱却及び経済の活性化に向けて、平成二十三年度から平成三十二年度までの平均において名目の経済成長率で三パーセント程度かつ実質の経済成長率で二パーセント程度を目指した望ましい経済成長の在り方に早期に近づけるための総合的な施策の実施その他の必要な措置を講ずる。 2  税制の抜本的な改革の実施等により、財政による機動的対応が可能となる中で、我が国経済の需要と供給の状況、消費税率の引上げによる経済への影響等を踏まえ、成長戦略並びに事前防災及び減災等に資する分野に資金を重点的に配分することなど、我が国経済の成長等に向けた施策を検討する。 3  この法律の公布後、消費税率の引上げに当たっての経済状況の判断を行うとともに、経済財政状況の激変にも柔軟に対応する観点から、第二条及び第三条に規定する消費税率の引上げに係る改正規定のそれぞれの施行前に、経済状況の好転について、名目及び実質の経済成長率、物価動向等、種々の経済指標を確認し、前二項の措置を踏まえつつ、経済状況等を総合的に勘案した上で、その施行の停止を含め所要の措置を講ずる。
現実的に考えれば、GDPの上昇と第3項にある物価の上昇(自民党のマニフェストではインフレターゲットを2%に設定するとある)をもって判断すると言うことになるのだろうなと思います。守っても守らなくても良いものに成り下がってしまった「マニフェスト」とは違ってこちらは法律なので、この手順は必ず守られます。うがった読み方をすると「平成32年度までに平均で名目3%成長するよう努力しさえすれば消費税を上げられる」とも読めますし、「そのために消費税増税が必要」と言われたときなんと反論したら良いのか分かんないんですけど、党自体の支持率は大したことないのに大所帯になってしまった自民党で強引な手法が通るかって言うと微妙なので(何かこういうときって大体m党内で与野党をやって揉める気がします)大丈夫じゃないかなあと個人的には思っているのですが。 「経済成長率3%って僕らの生活できちんと実感出来るレベルなの」とか、そもそもの部分の「消費税増税ってホントにいるの」というところは正直よくわかんないす。自民党をきちんと注意深く見ていかないといかんよねと思います。

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「若者よ、これを読んで選挙に行こう」と紹介されていた「Yo!VOTE」が酷くて笑った

選挙も終わったことだし、作った人周りに回覧されて批判されてるっぽいし、「何を酷いと言ってるのか」について言及しておきますよ。最下部に追記。
昨日の夜、キュビズモのチャーベさんが紹介されていたので見物に行ったのですけど、正直笑えるほど酷くて実際笑った。 Yo!VOTE 特に酷いのは「誰に投票すれば良いの?」というリンクから飛べる政策早見表みたいなページ。 誰に投票すれば良いの? | Yo!VOTE 乱立する政党の政策を「脱原発」「消費税増税」「国防軍/憲法改正」の3つに絞った上で、各政党の傾向を3-4個のグループに分けてざっくりと紹介しています。「脱原発」だったら「原発をやめます」「やめる気はありません」、「消費税増税」だったら「増税反対」「11%に」、「国防軍/憲法改正」だったら「外国で戦いません」「今すぐ軍隊を持ちたい」と言った具合。 わかりやすいかもしれんけどざっくりしすぎだろう(あくまで印象であって事実と異なることも多い)と思ったのですけど、これを薦める人たちのタイムラインを眺めた感じだと「わかりやすかった!」「これで選挙に行ける!」「これ知らなかったら危なかった!」などなどの声が聞かれるあたり、この分類を「妥当」だと感じる人たちが大勢いるようです。すごいなあ君ら。マジすげえな。 突っ込んだり良い解説を紹介したりしようかと思いましたが、それを読める人はそもそもこのサイトの微妙さが解る人なわけだし、無駄なので止めました。あーなんて言えば良いんだろう。なんて言えば良いんだろう。「これ便利!」とこの手のサイトが回覧されることへの絶望感をなんて表現したら良いんだろう。

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投票に行くことは「義務」ではない

投票は「義務」ではない

選挙の投開票日まであと3日となりました。選挙における投票は、道義的にはともかくとして法的には権利であって義務ではありません。国民の義務は憲法第三章「国民の権利及び義務」で規定されていますが、その中の次の部分がそれに当たります。

日本国憲法

第十五条  公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。 ○2  すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。 ○3  公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。 ○4  すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。

一方で義務である「教育を受けさせる」「勤労」「納税」については下記のように書かれています。

日本国憲法

第二十六条  すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。 ○2  すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。

日本国憲法

第二十七条  すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。 ○2  賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。 ○3  児童は、これを酷使してはならない。

日本国憲法

第三十条  国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。

投票が「権利」である以上、それを行使するかどうかは国民1人1人に任されています。また行使しないことで何らかの罰則を科されることもありません。比喩的な表現として「投票は国民の義務」という言葉もありますが、それは単純に「もっと政治に興味を持って社会を良くしていこうぜ」程度の意味合いです。 投票に行くことはとても大事なことだと思いますが、「義務感」みたいなのはほどほどにしておいて良いかなと思います。少なくとも他人に強要するようなタイプのことではないかと。興味が持てない人に押しつけても仕方がないですしね。

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