【今日のニュースから】現代で金本位制って可能なの?そもそもなぜ終了したの?

金の延べ棒のイラスト
ロシアが金本位制に戻るかもってニュースが






【ロンドン時事】ロシア大統領府は29日、通貨ルーブルと金やその他商品の交換比率を固定することを検討していると明らかにした。ペスコフ大統領報道官が記者団との電話会見で「この問題をプーチン大統領と話し合っている」と表明した。ロイター通信が報じた。

 実現すれば約1世紀ぶりの金本位制復帰となる。しかし、ロシア中央銀行のナビウリナ総裁は記者会見で「いかなる形でも議論していない」と語っており、実現可能性は不透明だ。

ロシア、金本位制復帰検討 実現なら1世紀ぶり:時事ドットコム


ロシアルーブルが弱くなっていることで変動為替相場をやめるというのはある意味納得感はあるんだけど、「金本位制」って教科書で単語として出てきただけで中身を全知らないことに気付きました。ちょっと調べてみましょう。


疑問点

  1. 金本位制とは?
  2. 金本位制が終わった理由は?
  3. ロシアが金本位制にするメリットは?
  4. ロシアは金本位制に復帰できるの?



1. 金本位制とは?

金本位制とは、金をお金の価値の基準とする制度です。政府の銀行が、発行した紙幣と同額の金を保管しておき、いつでも金と紙幣を交換することができる制度で、19世紀から20世紀のはじめにかけて、世界各国で取り入れられていました。

金本位制と管理通貨制度 | NHK for School

狭義では、その国の貨幣制度の根幹を成す基準を金と定め、その基礎となる貨幣、すなわち本位貨幣を金貨とし、これに自由鋳造[注釈 2]、自由融解を認め、無制限通用力を与えた制度である。これは特に金貨本位制という。つまり、金そのものを貨幣として実際に流通させる事である。実際には、流通に足りる金貨が常備できない、高額になりがちな金貨は持ち運びが不便、使用により磨耗するなどの理由により、金貨を流通させられない場合が多い。そこで、中央銀行が金地金との交換を保証された兌換紙幣(だかんしへい)および、本位金貨に対する補助貨幣を流通させる事により、貨幣価値を金に裏付けさせる事が行われた。これを金地金本位制(きんじがねほんいせい)という。

一般には、金貨本位制と金地金本位制を含めて金本位制という。

金本位制 – Wikipedia


説明に書かれていることが全てですが、簡単に言えば通貨と金の交換を国が保証する制度で通貨のレートは安定しますが、それを支えるために発行通貨と同量の金を保有している必要があります。


2. 金本位制が終わった理由は?

経済の仕組みが変わるにつれ、金本位制は次第に崩れ、1930年代には、ほとんどの国で廃止されてしまいました。

(中略)

金本位制は、保有する金の量によって、発行する貨幣が制限されますが、管理通貨制度では、国の信用によってお金の価値が決まります。

金本位制と管理通貨制度 | NHK for School

金と交換できる唯一の通貨がアメリカ合衆国ドルであり、それ故にドルが基軸通貨としてIMF(国際通貨基金)を支えてきたのがブレトン・ウッズ体制であったが、ドルの金交換に応じられないほど米国の金保有量が減ったことにより、戦後の金とドルを中心とした通貨体制を維持することが困難になった

ニクソン・ショック – Wikipedia


通貨レートが安定するのは前述の通りですが、経済が世界規模で拡大していくと当然通貨の流通量は増えますが、流通量を増やすには金を確保しなければなりません。が、金というのは有限です。なので簡単に総量を増やすことが出来ません。いずれ成り立たなくなるのは自明と言えます。



3. ロシアが金本位制にするメリットは?

金本位制はほかのドルペッグ制などとは違った固定相場制としての特質を持っている。それは金流出国と金流入国との間の金融政策の非対称性である。例えば、自国において金流出が起こったとする、その国では民間の兌換請求によって金を買い戻していることになるから、必然的に自国通貨のマネーサプライの減少をもたらし、均衡に至る。しかし、金流入国においては金流入によって民間より金を買い入れて、マネーサプライの拡大をすることになるが、当該国がマネーサプライの拡大を嫌った場合、他の資産を民間に売却することによって自国通貨供給の拡大を阻止するという操作が可能であり、このような金不胎化政策はかならず他の国に金融引き締めを強いることになるため、金本位制というのは本質的に強い引き締め圧力を持ち、拘束性を持つ政策レジームである。

金本位制 – Wikipedia


つまりインフレ抑制に効果があるってことですかね?通貨レートが安定しインフレを抑えられれば、当面の経済政策としては上手く行きそうです。ただ将来的には通貨の流通量を増やしにくいので、経済が回復局面に入ったときにどうするの?という疑問はあります。気軽にオンオフ切り替えられるような制度じゃなさそうですし。



4. ロシアは金本位制に復帰できるの?

通貨の流通量を十分に支えられるだけの金をロシアが保有していれば可能なのかも知れません。ロシアはクリミア併合後、ドルを売って金と元を増やしてきたそうなのでもしかすると可能なのかも知れませんが……


プーチンがドル建て決済に代えて増やしてきたものが金だ。ロシアの金保有量は1995年には史上最低の20億ドル(現在の為替レートで約2300億円)相当に減っていたが、足元では1300億ドル(約15兆円)相当まで積み上げ、外貨準備の2割を占めている。ロシアより金保有量が多いのは米国、ドイツ、イタリアの3カ国だけだ。

プーチン大統領、「戦費」も準備万端 金など外貨積み上げ(Forbes JAPAN) – Yahoo!ニュース


ロシア連邦上院が昨年末に可決した連邦予算案によると、今年の歳出は23兆6942億ルーブル(約35兆円)。

ここにきて「プーチンの自滅」が現実味を帯びてきた…ロシア「一日3兆円の戦費」の衝撃中身(週刊現代) | マネー現代 | 講談社


ロシアの金保有量は2,300t(約15兆円)。ロシアの国家予算は約35兆円。予算と通貨の流通量とは別に関係がありませんけど、国家的な規模で言ったら15兆円分では少なすぎるような?アメリカドルは基軸通貨だったから金が枯渇して大変だったけどルーブルはそうじゃないから良いのかな。うーん。



まとめ:ロシアさんちょっとやってみて

何かちょっと調べた感じ、「通貨安くなって信用無くなってしんどいけど金いっぱい持ってるから金本位制にすればなんとかなんじゃね?」的な素人考えっぽい感じがして危うい気がするんですけど、大丈なんでしょうか。どうなんだろう。試しにやってみて欲しい気もしないでもないです。現代でそんなことやった結果どうなるのか見てみたい。