【レビュー】最近読んだ本をざっくり紹介してみる(2021年8月)

読書感想文のイラスト
長い文章で時間を掛けて「読書感想文」を書くのではなく簡単な感想であってもきちんと読んだ本を紹介していく方が大事なんじゃないか(書かないよりマシなんじゃないか)と考えて、最近読んだ本をざっくり紹介してみることにしました。






書籍一覧

大迫傑 / 走って、悩んで、見つけたこと。




東京オリンピック男子マラソン6位入賞を果たした大迫傑選手の、東京オリンピック延期前、2019年夏頃までの思いをまとめた本です。Numberなどで饒舌に喋るわけではないけれど熱い思いを秘めた選手だということは知っていたのですが、その彼が思いの丈を等身大サイズで語っている本書を通してその思いにより近づけた気がして嬉しい一冊でした。近著「決戦前のランニングノート 大迫傑が考案したランニングノート付」も購入済みなので、近々読む予定です。



地図・地名からよくわかる! 京都謎解き街歩き




東京と同じぐらい名所旧跡があふれる街京都において、さまざまな「あまり知られてない京都の小咄」を集めた一冊。京都本は好きで結構読んでいて自分でも割と色んなこと知っているという気はしていたのですけど、それでも知らないこともかなり多く書かれていてなかなかに楽しい一冊でした。個人的に面白いなーと思って読んだのは、「京都にも「お伊勢さん」が鎮座する」と「「上賀茂神社」と「下鴨神社」、なぜ上社が加茂で下社が鴨か」の2つかな。伊勢神宮にも「遷宮元」というのがあったんですねえ……昔は人口と文化のほとんどが畿内に集まっていたんだから当然ではあるのですけど、それが現存してるというのがまた。京都に京都はほんと奥深いぜ。



蝸牛くも/黒瀬浩介 / ゴブリンスレイヤー




スクウェアエニクスのマンガアプリで読んでいて面白かったので単行本も買ってしまいました。その辺は去年11月に感想を書いてます。

「ゴブリンスレイヤー」がめっちゃ面白い – NOBODY:PLACE

単行本になって物語が変わるわけではもちろんないわけですけど、自分のペースでまとめて読めるのはやっぱり良いですね。そういう意味ではフィジカルなコミックスではなくて電子書籍でも良いんでしょうけど、電子書籍には「中古」が存在しないからなあ。今後も最新刊を買っていくことになると思います。



あずまきよひこ / よつばと!(15)


待ちに待った、というか、正直に言うと生きている間ずっと常に待ち続けている「よつばと!」の最新刊。14巻が2018年4月で、15巻が2021年2月なのでその間2年10ヶ月。いやあ掛かるなあ。あずま先生もそうかも知れないけれど、ファンであり読者である僕らにとってもよつばと!と付き合っていくことはライフワークといってもいいかも知れない(ちなみに15巻はこれまでに比べて若干厚い)。内容はいつも通り素晴らしい日常のお話しなのですが、その中でよつばがゆっくりゆっくり成長していて“父ちゃん”がそれを戸惑いながら優しく見つめていて、それを取り巻く周囲の温かさがあってほんとに尊い。このペースで行ってよつばが成長するまで何年かかるんだよという気はするものの、ゆーっくりで構わないので、そして何巻になろうとも待ち続けるので、今後もよつばの成長を見て行けたらなあと切に願います。



鈴木成宗 / 発酵野郎!




大学時代の研究からの好きが高じてビール醸造所を始めてしまった餅屋ご主人の一代記(現在進行形)。伊勢角屋麦酒といえば、基本的な麦酒のクオリティが高くそれでいて「なんでこんなのを」というチャレンジングな製品も数多くリリースする意欲的な醸造所という印象でしたが、本書で知る社長の人となりが伊勢角屋麦酒そのものであってなんかもうすごく安心しました。かつては地ビール、現在で言うところのクラフトビールにこういう人が存在してくれていることは、ある意味で良心だと。かつての地ビールブームとは違い、最近のクラフトビールの人たちが勉強し研鑽しクオリティの高いビールを造り続けているその基礎には、鈴木社長のような人たちがいて常に影響与え続けているからなんだろうなと強く思いました。なにかっつうと流行に流れがちな世の中において、鈴木社長のような存在は本当に重要だと思います。



西川恵 / 皇室はなぜ世界で尊敬されるのか




普段あまり意識することのない皇室の話。僕もまったく詳しくないんですけど、本書を通して皇室が他国との交流の中でどんな役割を果たしているのか、また天皇陛下や皇太子殿下がどんなことを考えて行動されているのか、さらにはそうした皇室の活動が他国にどんな影響を与え日本に対する印象を決定づけているのか。そうしたことを垣間見ることが出来てとても興味深い時間でした。そうか、「日本国の象徴」というのはこういうお仕事なのですね……生まれてから死ぬまで逃れられない立場の中で日本のために役割を果たされていること、そのことに関しては右左関係なく感謝の気持ちを持つべきことなのではないかなと感じました。
(「感謝」という用語が皇室に対する用語として適切かどうか自信がありませんが)



坂井律子 / 〈いのち〉とがん: 患者となって考えたこと




癌と闘うことになった元NHK記者、坂井律子さんの手記。ネタバレではありますが、でも最初期の部分で既に示唆されていることでもあるので書いておくなら、坂井さんは闘病の末に亡くなられてしまうわけですが、その中で有効な治療法を探したり治療を行う、経過を観察する中で感じる患者の様々な思いや医療現場の今を言葉にして残されていること、そのひとつひとつに彼女の生きた軌跡を見るような気がしてとても感じることの多い一冊でした。もし自分が癌になったとき、自分の近しい人や家族がなったとき、自分はこんなに前向きに生きられるだろうか?と不安に思うのですが、その中で坂井さんの前向きな行動には「やっていた人がいる、だから僕にも出来る」そう思わせてくれる力があると思います。つらい記録ですが、道に迷ったときに再読したいと思っています。



梅林秀行 / 京都の凸凹を歩く -高低差に隠された古都の秘密




「ブラタモリ」で有名になったらしい梅林秀行さんの京都紀行。特に高低差に着目して京都にかつてどんなことがあったのかを明かしていく一冊なのですが、これがねえ、とにかく面白い。個人的に今住んでいる場所が「聚楽第」の近くなのでそれにまつわる高低差にはすごい興味が湧きましたし、本書で紹介されている「聚楽第」に関する場所には実際に全て行きました。いやあロマンでした。「聚楽第」以外にも普段走っているコースの近辺に「御土居」に関連する史跡が多いこともあり、それを追うランニングコースを作るなんてこともしましたね。とにかく歩くだけで本書が提示する魅力を実感できるので、ほんとに楽しい一冊です。京都在住でなく観光で訪れる方にも買っていただきたい一冊。



竹中功 / 吉本興業史



吉本興業というとなんとなく古くからのエンタメ、ヤクザとの付き合いみたいな印象があるんですけど、実際のところはそうでもないというか社業を立ち上げ存続することで手一杯でそれどころではないという感じの「吉本興業史」。今でこそジャニーズと双璧をなすような一大エンタメ企業なわけですけど、ここに至るまでには大変なことがたくさんあったんだなあというのがよくわかる一冊です。会社に歴史あり。吉本だけでなく古い企業はみんな、こういう軽いタッチで読める社史みたいなのを新書で出すといいと思うんですよね。京都にも読んでみたい会社たくさんありますし。どうですか、そういうのやりませんか。



村上春樹 / 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年



この本を読んだのはなんと2013年のことで、もちろんもう本の内容はまったく覚えていないのですが、なぜか下書きのまま公開していなかった読書感想文があったのでそこから抜粋。


多分この本は、そうやって読んでも楽しめるように書かれている一方で、解る人にはもっと解るように、ストーリーを立体的に捉えられるように書かれているんだなあと。僕が読んだのは、大樹が地に落とす影だけなのかもなーなんつて思いました。悔しいことに僕には解らない。


村上春樹が提示する世界観に対する自分の知識の乏しさを嘆きつつ、特別好きというわけでもない村上春樹の「手触り」に対して愛好者の人たちほど共感できないというもどかしさを感じていたようです。初期の何作かは、それを読んだ当時の葛藤を抱えた状況(たぶん高校生だと思う)と相まってとても印象に残っているのですが、大人になってからはあまり感情移入できませんでした。本には、出会うタイミングというものがあるのかも知れません。



あとがき

この形式で読んだ本を紹介した理由

長いこと「読書感想文」を書いていませんでした。

僕にとって風呂の時間とは読書の時間と同義であり、定期的に本自体は読んでいます(マンガだったり雑誌だったりすることもありますが)。その中で何か感じるものがあり、読書感想文(レビュー)も書こうと思ってタイトルだけ書いた空の下書き記事を用意することもよくあるんですが、どうにも書くタイミングを逃し読後感も失ってしまってそのままというパターンがずっと続いています。書こうと思った本だけで10冊はあるので、読んで何もアウトプットしていない本というとほんとたくさんあるんじゃないかと。数えてませんが。

書くタイミングを逃してしまう理由は、1つの記事に仕立てるのが大変だからです。もともとあんまり書評的な記事は得意ではなくて(読書感想文も昔から得意じゃない)、結局はあらすじと個人の感想を並べるだけで終わってしまう、本や著者の魅力を表現できないような記事しか書けないんですけど、それでも僕なりに頑張って書いてはいるんです。書こうと思った時点でその本に思い入れがあると言うことなので。でも逆に思い入れがあるにもかかわらずその程度の文章しか書けないってのがすごく歯がゆくて、頑張って書こうとしてどんどん大変になっていき、結局書かないということになるわけですね。ダメじゃん。

長くその状態を仕方がないと思ってきたんですけど、それでもやはり何かをアウトプットはしたい。ということでその解決策として、最近読んだ本を3行程度の簡単な感想を付けて紹介するという方法を採ることにしました。本の魅力を表現するという意味ではまったく無意味なことかも知れませんが、個人的な感想や感じたことをアウトプットするという意味では、僕にとっては意味のあることです。短い感想でも気になる本があったら読んでみていただければと思います。



ちなみに、なんとなくで10冊紹介してみたんですけど、結構大変でした。5冊ぐらいにしておけば良かった。次回は5冊ぐらいに減ってるかもしれません。