京都市は町名がバグってるのを何とかしろ

鴨川デルタ
京都市内の住所ってこんな感じで通り名付きの長ったらしいものになっています。以下は上京区役所が公式サイトに載せている正式な住所。


京都市上京区今出川通室町西入堀出シ町285番地


読み方を分けるとすればこう。


  • 京都市
  • 上京区
  • 今出川通
  • 室町
  • 西入
  • 堀出シ町
  • 285番地

文字で説明するならこう。


京都市上京区の今出川通と室町通りの交差点を西に行ったところにある堀出シ町の285番地



京都市は町名制度がバグってます

通り名がわからない人にはどこからどこまでが地名なのか解らないし、そもそも住所に通り名なんか必要ない、普通そう思いますよね。でも京都市というのは、基本的に町名の制度がバグってるので、通り名がないと機能しないんです。簡単に言うと、町名の数が多すぎる。

例えば、京都市上京区の町名をすべて書き出してみましょう(Wikipedia「京都市上京区の町名」から引用・編集)。

京都市上京区の町名一覧

瑞光院前町、天神北町、上天神町、下天神町、寺之内竪町、若宮横町、若宮竪町、筋違橋町、新ン町、北仲之町、仲之町、前之町、東千本町、西千本町、社突抜町、社横町、西若宮北半町、西若宮南半町、竪社北半町、竪社南半町、東若宮町、東社町、中社町、薬師前町、田畑町、扇町、森之木町、竹園町、下清蔵口町、岩栖院町、内構町、玄蕃町、継孝院町、上柳原町、下柳原北半町、下柳原南半町、室町頭町、柳図子町、裏風呂町、上木下町、下木下町、木下突抜町、大心院町、畠中町、道正町、内藤町、安楽小路町、挽木町、禅昌院町、本法寺前町、射場町、納屋町、古木町、妙顕寺前町、宝鏡院東町、裏築地町、上立売東町、高徳寺町、上御霊竪町、上御霊前町、上御霊中町、上御霊馬場町、上立売町、新御霊口町、相国寺門前町、蒔鳥屋町、築山北半町、築山南半町、北小路室町、福長町、小島町、瓢箪図子町、畠山町、今図子町、一松町、中御霊図子町、元新在家町、徳大寺殿町、一条殿町、新北小路町、玄武町、今出川町、堀出シ町、梅屋町、武者小路町、岡松町、御所八幡町、観三橘町、杉若町、閻魔前町、西五辻北町、花車町、作庵町、牡丹鉾町、西社町、戌亥町、木瓜原町、西芦山寺町、北玄蕃町、歓喜町、中猪熊町、新猪熊東町、西熊町、真倉町、姥ケ北町、姥ケ東西町、姥ケ西町、姥ケ寺之前町、姥ケ榎木町、桐木町、井田町、新猪熊町、大黒町、蛭子町、竹屋町、北舟橋町、山名町、花開院町、新美濃部町、大北小路東町、伊佐町、樋之口町、曼陀羅町、硯屋町、紋屋町、古美濃部町、聖天町、百々町、東西町、妙蓮寺前町、芝之町、芝薬師町、幸在町、阿弥陀寺町、土田町、藤木町、東石屋町、西石屋町、慈眼庵町、西北小路町、大猪熊町、末広町、佐竹町、南佐竹町、若松町、片原町、東柳町、西柳町、末之口町、滝ケ鼻町、鳥居前町、馬喰町、柏清盛町、風呂屋町、溝前町、老松町、東今小路町、西今小路町、観音寺門前町、紙屋川町、南上善寺町、西上善寺町、真盛町、社家長屋町、笹屋町四丁目、笹屋町五丁目、大文字町、元観音町、烏丸町、三条殿町、西今出川町、一観音町、松永町、毘沙門町、神明町、突抜町、玉屋町、北町、有馬町、竪亀屋町、上善寺町、南辻町、泰童片原町、北伊勢殿構町、一色町、西五辻東町、北小路中之町、東上善寺町、般舟院前町、中宮町、西亀屋町、元中之町、元四丁目、松屋町、笹屋町一丁目、笹屋町二丁目、笹屋町三丁目、西北小路町、菱屋町、今出川町、革堂町、橘町、五辻町、西船橋町、北猪熊町、元伊佐町、横大宮町、橋詰町、南門前町、富小路町、寺今町、元妙蓮寺町、桜井町、下石橋町、石薬師町、南舟橋町、橋之上町、竪門前町、堀川上之町、徳屋町、晴明町、竪神明町、横神明町、弾正町、芝大宮町、観世町、薬師町、北之御門町、元北小路町、栄町、毘沙門町、桝屋町、近衛殿表町、近衛殿北口町、元本満寺町、常盤井図子町、大峰図子町、上小川町、中小川町、実相院町、針屋町、靭屋町、革堂西町、革堂仲之町、東今町、戒光寺町、元百万遍町、西今町、村雲町、竪富田町、御三軒町、水落町、堀之上町、弁財天町、北兼康町、南兼康町、飛鳥井町、元図子町、西川端町、西無車小路町、一条横町、仲之町、西大路町、革堂町、東町、西町、頭町、不動前町、桜木町、薮之下町、阿弥陀寺前町、十念寺前町、歓喜寺前町、上片原町、毘沙門横町、北横町、本満寺前町、立本寺前町、幸神町、上神輿町、下御輿町、松之木町、真如堂前町、真如堂突抜町、染殿町、大原口町、大原口突抜町、柳風呂町、上塔之段町、下塔之段町、革堂ノ内町、常盤井殿町、後藤町、青龍町、梶井町、九軒町、新夷町、一真町、鶴山町、表町、北之辺町、二神町、相生町、三栄町、三芳町、中御霊町、大宮町、扇町、栄町、毘沙門町、大猪熊町、米屋町、三軒町、白竹町、利生町、稲葉町、長門町、一番町、二番町、三番町、四番町、五番町、六番町、七番町、東町、西町、東竪町、下竪町、西上之町、川瀬町、天満屋町、下之町、大上之町、下横町、大東町、三助町、堀川町、西東町、行衛町、鳳瑞町、新建町、仲之町、突抜町、大宮町、北町、須浜池町、智恵光院前之町、山里町、下山里町、今新在家町、高台院竪町、亀木町、福本町、東西俵屋町、菱丸町、長谷町、山王町、東石橋町、西中筋町、仲御霊町、百万遍町、革堂前之町、北新在家町、南新在家町、革堂之内町、伊勢殿構町、泰童町、新白水丸町、多門町、新桝屋町、加賀屋町、田丸町、丹波屋町、須浜町、高台院町、新柳馬場頭町、信濃町、愛染寺町、西富仲町、玉屋町、亀屋町、堀川下之町、皀莢町、奈良物町、福大明神町、南俵町、北俵町、小寺町、猪熊一丁目、猪熊二丁目、飛弾殿町、庇町、榎町、北小大門町、南小大門町、新元町、梨木町、糸屋町、常陸町、藤五郎町、和水町、東堀町、下石橋南半町、下鏡石町、如水町、役人町、鏡石町、杉本町、須浜東町、菊屋町、神明町、竜前町、薬屋町、花立町、清和院町、正親町、仕丁町、元頂妙寺町、讃州寺町、小川町、下小川町、油橋詰町、甲斐守町、松之下町、主計町、広橋殿町、三丁町、東日野殿町、西日野殿町、元真如堂町、西之口町、元浄花院町、元土御門町、土御門町、有春町、橋本町、東長者町、中橋詰町、菊屋町、頭町、亀屋町、東橋詰町、突抜町、一町目、二町目、東町、仲之町、左馬松町、南清水町、秤口町、天秤丸町、白銀町、弁天町、分銅町、櫛笥町、北伊勢屋町、南伊勢屋町、天秤町、中務町、福島町、十四軒町、聚楽町、東辰巳町、西辰巳町、山本町、坤高町、新御幸町、二本松町、東天秤町、西天秤町、金馬場町、田村備前町、東神明町、西神明町、尼ケ崎横町、浮田町、中村町、下丸屋町、田中町、中書町、西院町、主税町、一町目、二町目、三町目、四町目、小山町、長尾町、上堀川町、下堀川町、元福大明神町、丸屋町、直家町、木屋之町、藁屋町、吉野町、北蟹屋町、南蟹屋町、森中町、小伝馬町、清元町、家永町、西橋詰町、橋西二町目、講堂町、中御門横町、西丸太町、桝屋町、一町目、四町目、亀屋町、蛭子町、荒神町、大黒町、中之町、菱屋町、丁子風呂町、東裏辻町、夷川町、茶屋町、勘兵衛町、八幡町、上鍛冶町、大黒屋町、西裏辻町、五町目町、六町目、薮之内町、紹巴町、東魚屋町、西山崎町、桜鶴圓町、堀松町、春日町、勘解由小路町、武衛陣町、大門町、御霊町、常泉院町、門跡町、今薬屋町、両御霊町、春帯町、西鷹司町、中出水町、西出水町、五町目、東立売町、養安町、三町目、四町目、米屋町、西大路町、東橋詰町、近衛町、鷹司町、上之町、南町、真町、袋町、俵屋町、駒之町、上生洲町、出水町、伊勢屋町、東土御門町、高島町、新烏丸頭町、信富町、錦砂町、東桜町、宮垣町、松蔭町、中之町、桝屋町、亀屋町、荒神町、京都御苑


京都市の中の上京区だけで町名が578もあります。


そんなに覚えられねーよ!


その上、同じ区内にすら同じ名前の町名が存在します。飛び地ではなくて全然別の町名です。当たり前だよなあ。こんだけあったら被るだろ。

上京区内に同一町名が複数存在するもの

一町目(3か所)、今出川町、蛭子町、扇町、大猪熊町、大宮町、頭町、亀屋町(4か所)、菊屋町、北町、荒神町、革堂町、近衛町、米屋町、栄町、三町目、神明町、大黒町、鷹司町、玉屋町、突抜町(3か所)、中之町、仲之町(4か所)、西大路町、西北小路町、西町(3か所)、二町目、東橋詰町、東町(3か所)、菱屋町、毘沙門町(3か所)、桝屋町(3か所)、四町目(3か所)
注記のないものは各2か所

京都市上京区の町名 – Wikipedia


どう考えたって合理的じゃない。その上、同じような数の町名が、下京区、中京区、東山区などにもそれぞれ存在しており(右京区や左京区は旧大字を町名に冠しているため町数は多いが区別は可能)、当然のことながら区を超えて同一の町名も多数あります。町名として区別して運用することを完全に放棄しているとしか思えないし、その町内および近隣地域の極狭い部分でしか通用しない、限られたコミュティ内の呼び名でしかありません。

京都市にずっといる人は知らないんでしょうが、他の街はこんなカオスでバグった状態じゃないですよー。昔はいざ知らず近代はきちんと整理されて、合理的に運用出来るように整備されています。例えば静岡県静岡市の町字名一覧がこちらで確認出来ますが、「一丁目」「二丁目」という区分を別に捉えたとしても行政区当たりの町名数はせいぜい180から250と言ったところです。静岡市全部合わせても500あるかどうか。普通そうですよね。


静岡市の町字名一覧(住居表示実施・未実施区域一覧)・静岡市の町界町名街区案内図:静岡市



歴史的事情は尊重すべきだけど統廃合しようぜ

いろいろ町名にも歴史があるんだと思うんですよ。近隣の寺社仏閣であったり、川であったり、かつてその場所で栄えていた産業であったり、なんやかんやとあるとは思います、愛着もあるでしょう、でももうそろそろ統廃合しても良いんじゃないですか。もし行政が「統廃合しましょう」なんていったら、そりゃもう各方面から反対の声が上がってクソ面倒くさいことになって「やらなきゃよかった」ってことになるのが明白だから、多分誰もやりたがらないだろうと思うんですけど、それにしても細分化しすぎだって。しかもデカい通りを跨がって存在してたり、川や通りに沿ってだらだら続いていたり、人口が0の町名が残っていたり、実情にそぐわないこと甚だしい。住所って何だっけ、ってなるレベル。よほど郵便番号の方がわかりやすいわ。


住所に通り名を付けましょうってのはこういう事情によるものです。通り名を付けないと文字通りどこかわかんないんですよ。マジで。こういうことしてるから「京都は京都人以外にはツラい」って思われるんでは。場所探すとき、まちなかでは町名を手がかりにしたらダメですよ。必ず通り名を手がかりにしましょう。町名は京都人によるトラップです。お気を付けください。



もうひとつ言っとく:旧学区を廃止しろ

なんだか知らないんですけど、京都の行政って小学校の学区で区を分割したがるんですよ。しかも今は統廃合が進んで学校が無くなっている地域もあるというのに、区割りを変更せずに昔あった小学校の区分をそのまま残して「旧学区」と呼称して。

「旧学区」って地名じゃないから地図には載ってません。自分がどの学区にいるかは、注意深く町内会の張り紙を見ないとわかりません。それなのに行政からは「旧学区」単位でのお知らせが届いたりします。それがどこからどこまでかなんて京都に生まれ育ったような人しかわからんのに、今でもなお「旧学区」をベースに行政やるってそれ間違ってない?街に住んでるのはそんな人ばかりではないって、街見たらわかるっしょ。町名が多すぎるから「旧学区」で束ねたいというのはわかる気がするけれど、それだったら町名の方を廃止して、「旧学区」+「一丁目」とかで運用して欲しい。それならわかる。

でもそうではなく、なんか知ってる人だけわかることだよね、知らない人もいるかも知れないけど昔からそう呼んでやってきてるから仕方ないよね、みたいなぼんやりした感じで区割りをし続けるの、端的に言って行政の怠慢だと思うんですよ。行政なら区民全員がわかるような行政のやり方を模索して欲しい。間違ってますかね。