「ビタミンCは加熱に弱く調理すると失われてしまう」はウソ

ビタミンのイラスト(栄養素)
職場で先輩が「かぜ防止のためにドリンク作るわ」つってホットはちみつレモン的なドリンクを作ってくれるんですが、それを飲みつつ「でもビタミンCって加熱すると失われるんじゃなかったっけ」と思っていました。でも、それウソだったんですね。しらんかった。



ビタミンCは加熱しても壊れにくい

ビタミンCが本当に分解するのは体内の酸化型ビタミンCが加水分解を受けて不可逆的に代謝されていくときであり、通常の野菜の調理過程でビタミンCが壊れることはほとんどありません。実際、すりおろしたにんじんと大根を混ぜたもみじおろしでは、60分経過後に総ビタミンCに占める酸化型ビタミンCの割合が81%に増加したものの、総ビタミンCは91%が残存したという実験データがあります1)。

(中略)

加熱調理しても同様で、「ビタミンCが熱に弱い」という通説は間違いです。ただ、水溶性であるビタミンCは茹で加熱では茹で水に溶け出していくため、茹で時間が長いほど野菜中のビタミンC含量は低下することになります。

野菜の調理によってビタミンCが壊れると言われていますが、本当にそうでしょうか? – 野菜・果物に関するFAQ | v350f200.com


ということで、ビタミンCは水溶性なので多く含む野菜を茹でた場合などに、ゆで汁の方へ溶け出してしまって、結果的に摂取量が下がるということはあるけれど、ビタミンC自体が過熱で壊れるというわけではないそうです。正確に言うと「壊れにくい」



どれぐらい壊れにくいのか

どの程度の研究結果を引用すれば良いのか悩ましいですが、検索して最初に出てきた宇都宮女子高校のレポートを見てみると(そんなの検索に引っかかって良いのかという気はしますが)、

  • ビタミンC水溶液を攪拌しながら120分間加熱したが濃度に変化は見られなかった
  • 同様に26時間加熱したところ、75%程度にまで減少した(ただしこの実験は加熱時の水分の蒸発を考慮していないので、実際にはもっと減少していると思われる)

といった結果になっています。さすがに26時間も加熱すると減少してしまいますが、通常の調理に要する時間内では減少量はごくわずかであるようです。

還元型ビタミンC「L-アスコルビン酸」に限っていうとph次第で減少するという報告もありますが、しかし最初に引用したとおり時間が経過することで「L-アスコルビン酸」が「デヒドロアスコルビン酸」に変化するだけで、体内では「L-アスコルビン酸」に還元されるためビタミンC総量としては実はかわらないとのこと。



ということは

  • ビタミンCが過熱で壊れるのを防ぐために油で加熱時間を短縮する
  • じゃがいもはデンプンを含むのでビタミンCが壊れにくい
  • 蒸し料理はビタミンCが壊れにくい

といったことはすべて、ウソだということになりますね。加熱しても変化しないので油を使う必要はないし、調理時に「壊れにくい」といわれているのは単に水に溶け出しにくいということです。そうだったのか。


というわけで、先輩が作ってくれるホットはちみつレモンドリンクは、加熱した後でも十分にビタミンCを含んでるってことです。なるほど。風邪対策になると良いなー。