「サラリーマンなんて指示された仕事をこなすだけだから楽」とその女性は言った

ニヒルな笑いのイラスト(女性)
飲食店で働くある女性が「サラリーマンなんて指示された仕事をこなすだけだから楽」(飲食はクリエイティブだからサラリーマンよりも大変、というニュアンス)と語っていたという話を聞きました。周りは怖い(または面倒)もんだから、特に反論はせずそのまま言わせてるみたいなんだけど、ものを知らずに「イキる」ってほんと恥ずかしいなあと、自戒を込めて思ったエピソードでした。無知って怖い。


視野の狭い大人であってはいけない(自戒)

サラリーマンの皆さんに聞きたい、自分は毎日指示されたことをこなして帰るだけですっていう人、どれくらいいますか?ていうか、そんな人存在してますか?市役所や区役所に行けばわかるけど、紋切り型と言われがちな公務員だって日々違うシチュエーションにどう対応すべきか苦慮してますよ。「型」のない民間企業ならなおさらそうでしょう。

先の女性のような人が「サラリーマン」と呼称するとき想定しているのはなぜか入社2年目の平社員とかばかりなんだけど、当たり前だけど、仮に「指示された仕事をこなせば良いだけの人」がいたとして、その人に指示をしている人もサラリーマンなんですよ。その人に指示しているのもサラリーマン、場合によっては経営者もサラリーマン、社外取締役も監査役もサラリーマンなんてことだってあります。「サラリーマン」は主語として大きすぎるんですよね。



飲食業は特別にクリエイティビティだろうか?

重ねて、飲食で働いているからわかりますけど、飲食の方が「決められたことを決められたとおりにこなす」という性質は強いですよ。特に厨房。予定に沿って仕込みを行い、予定に沿って調理して提供する、それが(時間ベースでは)業務のほとんどでそこにクリエイティビティは無いです。料理長が良くいってるけど、営業中の調理は「料理」ではないですからね。あれは組み立ててるだけだから。

予定を立てることにクリエイティビティがあり、また安定した予定の遂行にプラスしてどんなことをやれるか、それが飲食店の善し悪しを決める大事な部分なんですが、でもそれはサラリーマンだって変わらないです。全体を見てみればどっちが楽と言うこともない。職業に貴賎無しといいますが、飲食だろうがサラリーマンだろうが経営者だろうが、働くということは大変ですよ。まあ経営者が一番大変かなとは思いますが、だからといって他を楽だという資格まではないかな。



「たこつぼにハマる」

先の女性にもっと社会経験があり、自分と似通った人とだけではなくもっと色んな人と交流があれば、こんなバカみたいなことは言わないんでしょうけど、それをさせてしまうのが無知ということなんですよね。似たようなことは40歳前後以上の個人経営者や管理職にもしばしば見られる傾向です。今自分が見ている世界がすべてなんだと、得心してしまう感じ。錯覚なんですけどね。繰り返すけど、ものを知らないってのはほんと怖い。「たこつぼにハマる」という表現がピッタリ合う。


そこから何が見えますか。