個人的な「感傷」ポイントはやはり最後20分のボール回し。かつての日本代表の試合では、なんて言われてたか知ってますか。
こういうとき、強豪国だったら無理に攻めたりせず、自陣でボールを回しながら上手く時間を使っていくもんだよ。でも日本にはその技術はないし、逆にボールを奪われて失点するのが関の山だから、そうなるくらいなら次の得点を狙って攻撃していくのが良いんだ。攻撃こそ最大の防御だよ。
「攻撃こそ最大の防御」、それ単体では意味がある言葉ですが、このシチュエーションでは単純に技術の足りなさや、巧いゲームメイクが出来ないことへの言い訳でしかありませんでした。現在のスコアで止めたいのであれば、ボールを回し続けることは有効だ、それはもうずっと前から常識で、でも日本代表には出来ないことだったんですよ。
その日本が、決勝進出がほぼ決まった段階で、ボールを回して時間を使っている。正直に言うと「セネガルが1点取ったらどうすんだよ……」とも思ってましたが、でも、W杯で時間を使うシチュエーションに辿り着いたこと、そしてすべきことを実行できるだけのチームになったこと、またそれを支える技術が個々人に備わったことに、とても大きな感慨がありました。日本も世界と渡り合えるチームになったんだなあと。例え、その席がまだ一番下であったとしても。だから僕は、あの退屈な20分間が良くなかったとは思いません。難しいメンバーと一緒になったグループリーグで、あのシチュエーションまで辿り着いたチームを称えたい。変わったなあ。
試合自体は、正直言って勝つべき試合だったと思っています。長谷部がやっていた仕事を柴崎が請け負っていましたが、柴崎が空けたスペースの使い方、岡崎が空けたスペースの使い方がイマイチで、攻撃として上手く連動していませんでした。宇佐美も頑張っていたと思うけど、スタイルとしてマッチしているとは言いがたかった。高徳はちょっと頑張ってたかなあ。DFラインの前のスペースがゆるゆるで、走り込みたい放題だったのに、そこを全然活用出来なかったのはほんともったいなかったです。宇佐美が下りてきて長友に預けて柴崎がスペースに入って受けてミドルとか、DFラインに入ってのビルドアップは蛍がやるとか、そういうのもできたと思うんだけど。ここまで2戦流動的な連動で良さを出してきたので、そういう意味では物足りなかったかなあ。
ただそれでも、これだけのチームを組まざるを得なかったのも事実でしょう。コンディショニング厳しそうだったし、怪我明けの選手も多いし。そういう中で、大迫と長谷部と乾は途中出場したけれど、何人かの選手を休ませることができ、結果的に決勝トーナメントに行けたのは、薄氷だったとは言えすげーなと思いました。どんだけ度胸あるのよ、西野。えぐい。控えメンバーも納得してベンチにいる様子だったし、雰囲気は悪くなってなさそう。
(でも痛んだ岡崎は心配……)
次戦ベルギーは…………まあ、正直言うと、コロンビアとセネガルを足して2で割らないくらい勝ちが期待できないけど、いやでもここまで来たらそういうことじゃないでしょう。ベルギー相手に戦う姿をまた見たいと思います。頑張れ日本代表!応援してます。