サラリーマンだとなかなか興味もたないかも知れませんが、今、最低賃金ってものすごく上がってます。僕が学生の頃はバイトの時給って650円くらいからだったんですが、今京都府の場合、最低賃金が807円。東京や神奈川は900円を超えています。
地域別最低賃金の全国一覧 |厚生労働省
京都府最低賃金のお知らせ/京都府ホームページ
しかもじわじわ上がっていったと言うよりも、毎年わりとがっつり上がってる感じ。京都府の直近の推移は上に掲載したグラフの通りになっていて、2015年は前年比で+18円、最近3年で48円も上がってます。下手すると、長く勤めて上げてもらった時給より上がり幅大きい人もいるんじゃないかしら。
これに伴って、京都市内のアルバイト募集の時給(昼間)はもうだいたい807円か810円で統一されることになりました。650円だった1998年頃に比べると150円も上がってるし、1日4時間週4日働いたとしたら月間で10,000円も変わります(ちなみに消費者物価指数でいうと2015年は1998年とほぼ同じ水準)。
そう考えれば学生やフリーターにとっては良い話……なんですが、不思議なもので、「最低賃金が807円」て聞いてしまうと、810円の時給が高く思えなくなってしまうんですよね。最低ラインが810円だから……と思って、900円とか950円とかの仕事を探してしまう。雇う方からしたら、ただ店頭に立ってもらうだけのアルバイトに900円も出せないよと思うと思うので、そのあたりが心理的ギャップになってしまってる感。
しかも今、非正規の有効求人倍率は「1.62」とかなりの売り手市場になっているわけで……そりゃ人集まらないよね。
労働市場データ | アルバイト採用・育成に役立つ人材市場レポート「an report」
最低賃金が上がると、経営者は当然厳しくなるわけで、そろそろこの辺でいいんじゃないかなという気持ちもありつつ……
「非正規」と一括りに出来ない
ただ……見方によって印象は変わるんだよね。「810円」と言う時給は、学生が余暇にするアルバイトや、主婦が自分もパートタイムとして働きに出ると言ったスタイルであれば、十分な額だと思います。物価、仕事の内容と照らし合わせてみて、これ以上を要求するのはなかなか難しい。それにそこそこの待遇でたくさん仕事が見つかるようになって、学生にとっては良い時代になったなあと言う感じです。
でもフリーターだったり、正規雇用を目指していたりする人たちが、これで生計を立てようというにはちょっと厳しい数字でもあります。810円で、1日8時間週休1日で働いて月の収入がいくらかになるか?というと、17万円程度です。そこから所得税なり、社会保険なり、住民税なりを支払うと、手取りは13万円ちょっとにしかなりません。で、家賃、光熱費その他を払うと、手元に残るお小遣いは食費込みで5万円くらい。一人暮らしでもつつましいし、ましてや、結婚して子供作るとかまあ難しいよね。
「仕事内容がそれなりだからそれなりの給与しかもらえない」という正論はまあ合ってることも多いんだけど、そのマッチョ思想は、「仮にそれなりじゃない仕事をしたとしてももらえる給与はやっぱりそれなり」という現実を加味してない部分もあり、非正規だからというので簡単にくくれないよねーと思ってます。世の中「ちゃんと仕事するひとにはたくさん払う」っていう人ばっかりじゃないからね。というか、そんなことしてたら会社潰れちゃうし。払いたくないからバイトで採用するんだし。
こういう事情を加味すると、一口に「非正規の待遇改善」「最低賃金を上げろ」っていうのは難しいのかなあと思ったりします。賃金の水準にもう少し幅があっても良いと思うんですけど、「同一労働同一賃金」とかいうと結局は、正規雇用社員の給与を下げざるを得ないっていう。だって財布の大きさは変わらないんだからさ。どうするべきなんだろうねー