面接で言われたセリフに「歳を取って脱サラして飲食業界に入りたいって方、結構来られるんですけど、もっとなんというか『舐めた態度』なんですよ」というのがありました。飲食店を仕切ってるのってだいたい30前後の若い人間ですから、そういう人間に対して「お前らみたいな若い奴に偉そうなことを言われたくない」みたいな態度で面接に来るそうです。まあなあ。社会人として10年以上身を置けば、そりゃ若者よりわかってることもたくさんあるんですけど、なんですかね、僕あんまりそういう感覚が理解出来ないんですよね。相手の年格好を見て、話す前から相手より上の位置を占めたいと思うような感覚。
僕にだってプライドはあります。何言われても平気なんてことはなくて、できる限り自分の欠点を指摘されたくないとすら思ってます。でもそれがあんまり相手の年齢に結び付かないんですよね。前の会社の社長に対してこっぴどくダメ出ししたとき、「君感じ悪いな!君が年下の人間にそんな指摘されたらどう思う?例えばT君とか。絶対にキレるだろ」なんつて逆ギレされたんですけど、その感覚がもうダメ。明らかに僕の方が詳しいことに対して知ったかぶりでT君に指摘されて逆にやりこめたことはあります。でもそれと同じくらい、T君の意見を尊重し受け入れたこともあります。てかT君に怒ってたのは入社半年くらいまでで、入社1年後以後は頼りにしてた方が多かったんじゃないかな。キレるかどうかは年齢じゃなくて内容ですよ。当たり前じゃないですか。
飲食業界の話に戻れば、「プライド」を感じるのは自分が自信を持っている領域に関することであって、脱サラして何かを始めるみたいな、今まで自分が生きていた場所とは全然違う場所に飛び込もうって言うときに「年齢」なんて特に関係ないと思うのですよね。ましてや僕なんて、学生時代のバイトの経験を合算したとしても、飲食店の経験は1年あるかどうか。入社1年目、2年目の新人がその仕事や会社のやり方にどこまで習熟しているかを考えれば、自分にダメ出ししている人間が20歳だろうが25歳だろうが35歳だろうがそんなの関係ないんですよね。「ありがたい」以外の感想がない。現状僕に仕事を教えてくれている人間は20歳、21歳、25歳あたりですけど、彼らの方が僕よりもずっと上手にいろいろなことが出来るし、色んなことが見えている。そういう立場にいるとき、まずは自分より優れた人間の意見を採用してみるというのは至極当然の学習方法じゃないですか。ねえ。
半年くらい経てば僕にも「僕のやり方」ってのが出来てきて、他の人のやり方とすり合わせる必要が出来たり、また、自分よりキャリアの短い人に仕事を教える機会が生まれたりするのかも知れませんけど、今は全然そんなんじゃないです。自分の意見を検討しないのもダメだけど、それをするのは採用した周りの人間の意見を消化した後、何をすべきかが見えてからでいい。ましてや「舐めた態度」なんてねえ。面接時点はおろか今だって考えられないっす。自分がよく知らないことを「知ってる」と突っ張って学習機会を逃すような、そんな時間的余裕は僕にはないからなあ。