レストランの仕事は覚えゲー

「なんでも仕事は覚えることから始まるだろ」


それはそうなんですけど、なんですかね。マニュアル対応できる部分や、パターン化できる部分が少ない気がするんですよ。例えばホールの仕事なんか顕著だと思うんですけど、基本的な仕事の流れはあるにしても、当然お客様は皆同じではないので、「こういう場合はこうするのがベター」というのがお客様の数だけあるわけです。この間はこう対応したから今度もこれで正解、とは言い切れないような。相手が若者かお婆ちゃんかで変わるし、出している料理がアヒーヨかパエリアかで変わるし、夏か冬かで変わるし、17時か22時かで変わるし、その日儲かってたかどうかで変わるし、明日定休日かそうでないかで変わるし……理想はあらゆる「パラメータ」をぶち込んでパターン計算して正解を引き出すことだけど、実際にはそんなのは無理で、1回1回シチュエーションとセットで正解を覚えていかなくてはならない。お婆ちゃんがパエリアを夏の17時に食べるから、スタッフが取り分けてあげる……みたいな感じで。


2つ、3つサンプルを集めるとパターン化できるような気がするんだけど、その程度のパターンではすぐに破綻してしまい、特例だらけになってしまう。結局は、覚えられるだけ覚えて、引き出しに入れられるだけ入れて、なにか対応すべき状況に出くわしたとき、引き出しの中にかならず対応するパーツが入っているという状態にしなくてはならない。簡単に言うと、考えたところで正解にはたどり着けないし、百歩譲ってたどり着けるとしても考えていたのでは時間が掛かりすぎて良いサービスにはならない。


つまり要するに、覚えゲー。覚えていないといけない。事務仕事というのはたいていの場合、もっと簡単にパターン化できるものだけどなあ。コンビニやファミレスの接客もしかり。でも、きちんとしたサービスを提供するなら違う。色んなことに気付いて、色んなものを引き出しに入れていかないと。今は出来なくても明日は出来るようになっていかないと。