痛いところを突かれた大人はこう逃げる

仕事の話の流れで双方の意図が食い違い、テキストベースで議論になることがたまにあります。元々僕がそういうことに拘りがちの面倒くさい人間だということもあるのですが、往々にして先方の適当な態度が発端です(んで、最終的には言い過ぎて/書きすぎてしまう僕が悪くなります。ダメじゃん)。

普段自分が部下に対して厳しく言っていることを自分自身が延々行っていたり、年齢が上だったり経験が長かったりすることだけを理由に横柄な態度を取っていたり、誤魔化しているのは明らかなのに上手く言いくるめて逃げ切ったつもりでいたり、和やかな雰囲気を醸したいのか仕事のメールで顔文字を使ったり草を生やしたり。そういうことを指摘せずに黙っていれば穏やかに進む…なんてのは僕には出来ません。斬れぬものなど、あんまりない。

…まぁ、取締役社長と半径3メートルという零細企業にいるからこそ、そんな僕でも路頭に迷わずに済んでると言うこともあるのですけど。度量のでかい社長には本当に感謝です。




で、そういう「大人の誤魔化し」を正面からぶった切ったときに必ず大人が打つ「逃げ」ってのがあって、これって何か遠い昔に記憶があるなあと思っていたのですが、さっき思い出しました。そうそうこれ、抗議され詰め寄られたときの高校教師たちの言い訳でした。何か?

  • いまここはそんな話をする場所じゃない!
  • そんなに絡まれたんじゃ仕事の話も出来やしないじゃないか
  • お前がいろいろ解って偉いってのは解ったよ、それで?
  • 早く自分の仕事に戻れ

どれも同じことを言ってますね。意訳すると、「お前の相手なんか面倒でしてらんねえよ。良いから黙って仕事しろ」。高校生相手だったら最後の「仕事しろ」が「勉強しろ」に変わるだけです。こんなことを言っているおっさん達が高校時代に教師とどんな関係だったかは定かではありませんが、年を重ね、自分より「下」の人間に対する何らかのプライドを持ち、自分の中に短時間に相手を納得させるような言葉を持たない場合に、まぁ大体こんな感じになります。良いから黙れと。良くねえよ。



教師の気持ちが解らないってことはないです。彼らの仕事は授業さえしていれば生徒と雑談していて良いってわけではなくそれ以外に大量のデスクワークがあるし、学校を出れば知らぬ存ぜぬのプライベート空間に入れるってわけでもないし、仕事が人生に近付いていく中で何とか上手くこなしていかなければならないわけで、思春期特有の屁理屈的な抗議をいちいち話し合って収めていたら体がいくつあったって足りません。それでなくても大変なのに。

逃げを打つ大人も同じ。ここで年下の男に仕事の態度や意志決定の筋や計画進行の不備について10分も20分も時間を取られたら、その分給料にならない残業が10分も20分も増えるわけでしかも気分も悪い。「うるさい」の一言で済ませたいんでしょう。でもさ、自分で言うのも何だけどさ、そんなことを面と向かって言ってくる人間てあんまりいないよ。大人が大人にそれだけのことを言ってるんだから、確たる論理があって言ってるに決まってるじゃないですか。聞くだけでも聞いてみれば?



僕ももう35歳なんで、あと10年経ったら今僕が見ているような大人になるんだろうなあと思ってしまうわけですけども、一方でそういうんじゃない自由な大人も身の回りにはたくさんいて、なんとかそっちの方へ行けないだろうかなあ。こんなんじゃ無理か。普段Webで様々な言論を見ているときには「他人のことなんざしらねー」と思って見ているのですけど、こと仕事のことになると抑えられないんですよね。気がついたら「お前のその態度、何様のつもりだよ」とか始めてます。あと10年経ったら、慣れと老いで自らの行動には甘くなりつつ、年下はしかり飛ばして上から目線で語るみたいな大人になるんだろうなあ。いやだなぁ。謙虚にならねばならぬなあ。出来るかなあ。