例えば僕が1/22に作ったおでんの分量。
- 水 … 1.5リットル
- 昆布 … 適宜
- 醤油 … 1/4カップ
- みりん … 1/4カップ
- 酒 … 1/2カップ
もちろんおでんだからこれはあくまでベースで、入れる具材によって調味は変わるし、これが絶対というわけじゃない。ベースは定性的に、調整はアドリブで。つまりここで言う「レシピ」というのは味の完成形ではなくて、欲しい味へのショートカットなんですよね。「前回これでやってここまでやった」と言う実績があれば、次も同じようにやればそれに近いところまでは到達できる。もしそれがなかったら、また始めからやり直し。始めが本のレシピだったら、そこから自分に合う味を探す作業をまた始めるはめに。それだと調味するのはしんどいし、出発点から目指す味までの距離が遠い分味見の機会も増え、失敗する確率も高くなってしまいます。もう解ってる分量があるんだったら、そこから再開した方がずっと楽。
メモする際には、その結果についてもメモっておくと便利です。プロの料理人ではない以上、上手くできる日もあれば上手くできない日もあると思いますが、上手くなる人とそうでない人の差は、反省して改善していけるかどうかです。んで、人の舌の記憶って結構いい加減。それは、塩昆布と一緒に食べるぜんざいが超甘く感じるのと同様、簡単に騙されるし、すぐに心変わりする。全然信用できない。そのときメモがあれば、全体が曖昧な中でとりあえずの1つの基準ができます。
先ほどのおでんレシピの下に「ちょっと醤油が辛かった」なんてあれば、次作るときは、「じゃあ醤油を少し減らして様子を見よう」とか「みりんと酒を1/4カップずつ増やそう」とか出来るわけで、フィードバックになる。舌で完全に覚えていつでも同じ味が作れるなんて、よっぽど熟練したプロならともかく普通は出来ないですよ。出来てる人がいたとしたらそれはその人の才能なので、大事にしたらいいと思いますけど、僕は無理。ていうか、「出来る」と思いこんでるから料理下手な人ってのは一杯いるような。
あと、メモすると味が解らない人でもだんだん解るようになります。料理は美味しいと不味いしか基準もない、なんて人がたまにいますけど、食べるだけならともかく美味しい料理を作ろうとするとそれは結構キツイ。美味しい料理を作りたいと思っても、なにをどんな分量で入れながら調味するか?がつかめないと、美味しくなりません。先ほどのおでんの場合であれば、今欠けている味は醤油なのかみりんなのかはたまたお酒なのか?が解らないと、調整すら出来ないわけです。そしてそれはやったことがないとわかんない。
メモをとれば、何をどう加えると自分がどう感じるようになるかが、客観的に把握出来るようになります。具体的な手順と自分の感覚を結びつけてメモすることによって、そこに因果関係があることを理解できるようになるし、じゃあ、この感覚の差を埋めるのはこれかな?という試行錯誤が行えるようになります。そうした反復が、味を理解する手助けになると思うのです。
まとめ
分量をメモる利点は以下の3点。- 欲しい味へのショートカットを作ることが出来、手順が短縮される
- なぜその味になったのか?が解るから次の機会に改善できる
- 手順と味とを結びつけることで、舌が味を理解できるようになる