恥ずかしながら「戦略」(strategy)と「戦術」(tactics)の違いが理解できてなかったのでまとめ。
Web上の文献からの引用
ざっくりと引用。「戦略」と「戦術」の定義
戦略 – Wikipedia戦術 – Wikipedia
- 戦略
- 長期的視野、複合思考で特定の目標を達成するために力や資源を総合的に運用する技術・科学
- 戦術
- 作戦・戦闘において任務達成のために部隊・物資を効果的に配置・移動して戦闘力を運用する術
戦略と戦術
- 戦略
- 全体的な方針。変更は困難。
- 戦術
- 戦略に基づいて細かい個所を決める。戦略に基づいていることが必須。変更は可能。
知って得する「戦略」と「戦術」の違い
- 戦略
- 戦略とは、わかりやすく言えば、見取り図のことです。なぜ見取り図が必要なのか。夢や理想の実現のためだけでなく、他方で最悪の事態も想定しつつ、それを避けるためです。
- 戦術
- 戦術は、戦略の下位概念です。軍事的には、一回の戦闘行為における戦力の使用法を戦術、と言います。一般的には、ある目的を達成するための方法が戦術です。
戦略と戦術 – Hirog
- 戦略
- 現状と将来像の間のギャップを埋めるもの
- 戦術
- 戦略を実現するための具体的な行動プラン
ネットビジネスにおいての戦略と戦術:売上を上げる14の戦術 | 清音のSEOブログ
- 戦略
- 収益を向上させるための大きな手段:例えば、コスト削減や、集客、ブランディングなど
- 戦術
- 戦略を組み立てる細かな手段:集客に関して言えば、SEO、PPC、SMO、ブログなど
②戦略 と 戦術の違い を理解しよう!
- 戦略
- 将軍の術 / 将軍の頭の中にある全体の効果的な勝ち方・ルール
- 戦術
- 兵士の術 / 武器を持ち繰り返し手・足・体を動かして働く仕事
地政学を英国で学ぶ : 戦略と戦術の違い
- 戦略
- 例)航空機だけで戦争に勝てるかどうか
- 戦術
- 例)航空機で戦闘に勝つ方法
(コメント欄)戦略レベルを七つに分けると、ビジョン、政策、大戦略、軍事戦略、作戦戦略、戦術、技術
戦略と戦術 PRINCESSE TAMTAM.net ブログ/ウェブリブログ
- 戦略
- 10年後20年後にどうなっていたいのか?またどうならなくてはいけないのか?何を武器に長いスパンで中期長期的に、考えて実行していくプラン
- 戦術
- 現状の今の要素を最大限に使って、より効果的な方法やリアルに結果をだす。プランニング
戦略と戦術の違い (と時間管理の話):時間管理術研究所 □□ 仕事と生き方、幸せの研究所 □□
- 戦略
- 資源の配分を決めること
- 戦術
- 与えられた資源を活用する方法
「戦略」と「戦術」の違い
カフェ経営News:「戦略と戦術の違い」どうして必要で、どんな効果があるのか?常にどうしてか?を考えると戦略が分かり、その方法が戦術です。役立つノウハウとは、戦略から導き出した戦術があり、作り出すこともできる。ダメなノウハウは、戦術だけしかない。ここが見分けのポイントです。
戦略=戦術 x n、ではない:Speed Feed:ITmedia オルタナティブ・ブログ
日本の企業の多くは戦術を積み上げて、その数字を集積したうえで、それを戦略と勘違いしているケースが多いようだ。戦略は戦術の積み上げではない。戦略とは英語でグランドデザインというが、将来を見越した世界観をまず作り上げることが戦略、それに向かって作戦行動をとることが戦術である。
「戦略」と「戦術」の分化について
戦略 – Wikipedia
マキャヴェッリは近代西欧における軍事思想の始祖的存在である。『戦術論』において戦争目的は、自己意志を相手に強制することによって、敵の完全敗北という成果を得、速やかに終結させなければならないと定め、敵の軍事力を破壊する戦略を主張した。ナポレオン1世はマキャヴェッリの思想を継承しており、当時「大戦術」という言葉を用いて通常の戦術と区別し、大局的な戦争指導を行って戦略と戦術の概念的な分化を行っている。この頃にマイゼロアは古代戦史の研究から西欧で初めて戦略と戦術という用語を区別して使用し、戦略の用語と概念を西洋に普及させた。
この戦略の概念は当時ナポレオン戦争の研究を行っていた多くの軍事学者たちに影響を与えた。クラウゼヴィッツは個々の戦闘で問題となる戦術と対比し、「戦略とは戦争目的を達成するために戦闘を組み合わせる活動だ」と述べ、戦略を戦争での使用目的に限定した。これは後にクラウゼヴィッツ主義の軍事研究者たちによって過剰に教条化され、決戦至上主義を生み出すことになる。またジョミニによると「戦略とは地図上において戦争を計画する技術であり、作戦地全体を包括する」と定義して戦略を戦争目的に限定した。さらにモルトケは「戦略は知識以上であり、実際生活への応用であり、流動的な状況に従う創造的な思考の発展であり、困難な状況における行為の芸術である」と述べている。
自分なりのまとめ
それぞれ用語の定義にブレはあるものの、そもそも軍事用語として発生した概念を軍事以外の様々な局面に合わせてアレンジしているのだからニュアンスが変わって当然かなと思います。実際の運用で言えば、言葉の定義を明らかにしておくよりもイメージや具体例を持つことの方が大事だと思いますしね。本当は参考文献としてせめてWikipediaで引用されている文献にいくつか目を通してみるべきなんでしょうけど、ここまでで少し自分なりに整理しておくと。
- 戦略
- 勝利条件の選定とそれを満たすための方策
- 戦術
- 戦略を満たすための方策
と言ったところが妥当かなと思います。
「戦略」「戦術」の混同が起こるのは、「勝利条件」の認識に差があるからではないでしょうか。
例えば、あるチェーンの支店(仮に名古屋店)の今月の目標が「月間売り上げチェーン内No1」だったとしましょう。この場合、その支店の行う該当での客引きやクーポン券の配布は戦術と言うことになります。今月の目標「月間売り上げチェーン内No1(その結果ボーナスを獲得する/発言の主導権を握る/出世する/多くの予算を獲得する)」という戦略に付随する戦術です。
でもチェーン全体で考えると、そんなのはただの戦術に過ぎません。チェーンの戦略は全国シェアを現在の3位から2位に押し上げることであったり、年商のレベルを一桁上げるであったりするわけで、前述の名古屋店の目標はあくまでそのための戦術です。
さらにそのチェーンを統括している持ち株会社があったとするのなら、そのチェーンですら自らの一部でしかありません。勝利条件は外食産業でトップシェアを築くことであったり、念願の農産物流通に参入することだったりするわけで、チェーンのシェアはそのための戦術でしかありません。
戦争の場合、勝利条件は隣国の占領であったり自国の維持であったりしてあまり種類が無く明確なのですが、一般に広げると勝利条件は多岐・多層に渡ってくるので、一様に定めること自体に無理があるのじゃないかと。
結局の所、戦略にせよ戦術にせよ、最も大事なことは勝利条件の確認ではないでしょうかね?
ある程度の規模で諦めて「これが最終目標である」と定めるところから、「戦術」と「戦略」が始まります。「戦術」と「戦略」の使い分けが曖昧なのは、その2つの言葉の定義を混同しているからではなく、起点となる「勝利条件」の設定が甘いから(もしくはメンバーによって曖昧だから)であろうと。「戦術」と「戦略」とを混同していることに対する批判は、その2つの違いを把握していないことではなく、最終目標たる「勝利条件」の把握が不十分であることに向けられるべきで、「戦術」と「戦略」について再考すること自体には大した意味はない(ゲームを始める前にルールを決める程度のこと)んでしょうね、多分。
あと、僕が仕事上嫌な顔をされることがたまにはあるのは、誰か(例えば違う部署のベテラン社員とか)が熱心に進めてきた企画に対して「その戦術は戦略の遂行において大して重要ではなくもっと効率的な代替案がある」と言うような意味で「そんなんやっても意味無いしボツ」とか言っちゃうからなんじゃないかって気もしました。相手にとっての戦略レベルをもう少し理解すべきだし、自分の戦略レベルが必要以上に高くなりすぎていないかを考える必要があるし、彼我でズレがあるならその確認を行うべき(勝利条件がずれているのかもしれない)なんだろうなと。
もちろん真に相手がボンクラという可能性も大いにあるけど別に僕が優秀なわけでもなので(単に理屈っぽいだけだ)、その辺の確認とすりあわせを行いつつ、「ボツですよね」といわなくちゃいけないんでしょうね。めんどくさいんですけどね。