何となく思うことがあります。
僕が初めて自分のカメラを買ったのは19歳の時で、カメラはニコンのF70でした。いわゆるエントリーモデルの一眼レフフィルムカメラで、標準ズームがセットで8万くらいで買ったんじゃなかったかな。
カメラを買うことになった理由は、ごくごく単純なことで…要するに好きな女の子の写真を撮りたかったと言うのが偽らざる所です。まぁ、別に彼女でもなんでもなくて、同じ部活の先輩だったわけなんで、動機としては微妙な話だなぁとは思うんですけど、本当だから仕方がないです(苦笑)
んで、先輩でカメラをやっていたYさんに色々教えてもらったり、本を借りたりしつつ、時間を見ては色んなものを撮って写真の撮り方を学んでいったわけですが…やっぱり金がない。圧倒的にない。フィルムカメラの悪いところは、撮れば撮るほど金がかかるってところで、それはもうフィルム代も現像代も馬鹿にならなくて、ちゃんと焼こうと思ったら24枚撮っただけでフィルム代と現像代合わせて1本500円とかになるわけですよ。あまりにきつい。きついから、撮影枚数を節約するようになるし、撮影してもなかなか現像に出しに行かないようになるし、かといって節約したらいい写真が撮れるかっていったらそんなことあるわけはなくて、5本撮って10枚あれば程度の話で、本当にそれのためにバイトするくらいじゃないと良い写真は撮れなかったし、元々の目的だった(風景や馬を撮るのが好きになって時々しか思い出さなくなったけど)、女の子を撮るのだって満足に出来たとは言い難いなと。様々なものを全て完璧に準備した上で、人さじの幸運が降りてきて初めてアルバムに入れたくなるような写真が撮れるっていうかね。そんな感じでした。
で、表題の感想になるわけです。
もし、あの頃に今持ってる一眼デジカメもってたら、と。
もし持ってたとしたら、多分、試合の日なんかには1日1,000枚くらい撮ってたかもしれません。今でも、1日出歩いたら500枚くらいは普通に撮りますし。それに様々な構図にチャレンジできるし、絞りを1/3段ずつずらして撮影するなんてことをしなくても、設定を変えながら様子を見て写真を仕上げることが出来るし。そして、多分今持ってるよりももっと良い写真をたくさん残せていたんじゃないかなぁと。
ただね、フィルムカメラの感覚みたいのを、ただ不便なだけで終わらせたくないっていう想いもあって。全然、理屈は通っていないかもしれないけど、例え不便だったとしても1枚が大事だったあの頃の写真はそれはそれで思い入れがあるような気がするんですよね。いや多分実際は結構適当にシャッター切ってたんだけど、そんなこと思って見返すと重いような。そうでもないような。カメラの性能どうこうという話ではなく、フィルムカメラを持っていた時にしか撮れなかった写真ってのはたくさんあるんじゃないだろうかと。
…それでもやっぱり、思ってしまうのだけど。もしあの頃今のデジカメを持っていたら、あの頃あった色んなものをもっとたくさん良い形で残せていたんだろうな、と思います。同じ場所には行けても、同じ写真は撮れないもんね。そればっかりは、後でどうしようもない。
消極的だった僕がより積極的に写真を撮れるようになったという意味で、今のデジカメには感謝したいと思うのです。それが、何らかのフィーリングを失わせているのだとしても、なお余る価値が僕にとってはあるんだと。