情報革命バブルの崩壊 (文春新書) 山本 一郎 文藝春秋 2008-11 by G-Tools |
“切込隊長”こと、山本一郎氏の新書。
書かれていることは読んでわかることもあれば、わからないこともあったし、
隊長の知識レベルあってこその理解という側面もあったので、
全体として評価をということは書けないのだけども、
主題としての無料コンテンツをとにかく撒き散らすビジネスモデルが、
通信的な限界や、投資、利益の分配の不均衡さなどから見て、
限界に来ているという見方については、確かになるほど、と感じた。
新聞業界のあり方あたりは、先日書いたようなこと(新聞記事の価値は毀損していないが、
新聞というメディアの影響力は著しく落ちている)が書かれていて、
正直に書いちゃうと、ちょっと嬉しかったんだけど、
その上でビジネス的な新聞社の失敗(努力してたんだけどダメだった)も書かれていて、
はてさて、どうしたもんかという感じ。
結局、記事にもう少し高い値段を付けるしかないのか。
(制作部門と営業部門を分けるというのは、面白いアイディアかもしれない)
今後のネットについては、
無料コンテンツでユーザを集めて収入を得るというのは、
元はと言えば、Googleが脚光を浴びることによって一般的になったビジネスモデルで、
Googleの場合は無料コンテンツの対価が広告収入だったわけだけど、
結局、今ネットにあるサービスの殆どはそのビジネスモデルの焼き直しなわけで。
そのモデルは初期投資が絶対的に必要で、
要するに「有り余る世界の金」を前提にしていたわけで、
(TechCrunchのスタートアップに関するニュースを見てればわかるな)
こうなっちゃった以上、今後どうなるかわからんよーという感じ。
まぁだからと言って、今後どうすればいいか、または儲かるか、と言う話ではないので、
言ってみれば近未来に対する警告と、今回の件の総決算といった感じ。
結局のところ…通信費の定額廃止にせよ、値上げにせよ、
コンテンツの有料化(一昔前の新聞社の有料アーカイブみたいな)にせよ、
何らかの形で金が掛かるネットにするしかないのかなぁ。
転送量への課金は、サーバ管理費に跳ね返ってきて、
なんかもうがっかりな未来しかならないんだけど、その辺なんとかなる可能性はないんかなー