野球関連。

先日、野球国際試合の移り変わりに関する雑感について書きました。

世界の野球は変化しているのかも。 – NOBODY:PLACE – MUTTER

世界の野球は変化しているのかも。(関連資料編) – NOBODY:PLACE – MUTTER

それらに関連して、いくつか文章を読んだので、
その辺りまとめておきます。


まず、僕の文章へのレスという形でOgawaさんがエントリを上げてらっしゃいます。

Re: 世界の野球は変化しているのかも。 – Ogawa::Memoranda
勘ぐり過ぎかもしれないが、別に世界の野球が変化しているわけではなくて、日本のプロ野球で審判の地位が異常に低いのが遠因なんじゃないかと私は思う。

Ogawaさんのロジックとしては、

  1. プロ野球の審判の地位が低い(監督や選手との相対的な地位)
  2. 例えばストライクゾーンを共通化し厳格に守らなければならない
  3. 厳格で動かないストライクゾーンが、自分のストライクゾーンを確固として持っていてゾーン外の球には手を出さないクレバーな打者の育成を促す
  4. クレバーな打者の増加が、国際試合でのぶれるストライクゾーンへの対応を鈍らせる
  5. 勝てない

という感じかなぁ。

ロジックの流れについてはYESともNOとも言えないけれども(勘ぐりなのでw)、
確かに…日本での審判の地位の低さは、少しかわいそうになりますね。



よく言われているのは、日本の審判は野球選手をドロップアウトしてなっているので、
監督や選手から見下されていると言うこと。
確かに「第二の人生」とかそういうのはドキュメンタリで見たことある気がするし、
印象としてあるなーと僕も思っていましたが、
実際に調べてみると案外そうでもなかったり。

プロ野球審判員の経歴は主に次の3つ。(Wikipediaから転載)

  1. 引退したプロ野球選手からの採用
  2. アマチュア野球審判員からスカウトする
  3. 一般公募

さすがに審判全員を調べるのは難しい(面倒くさい)ですが、
セパ両リーグの審判部長、副部長、主任の経歴の内訳は、
元プロ野球選手6、アマチュア出身3、一般公募5。
はっきりしない人もいるので厳密ではないものの、
全員がドロップアウト組というのは実は当たって無くて、
野球経験はないが審判に興味があってーという人もいるってことみたいです。

…となると、完全にプロ野球の悪習ってことになるのかな。。


MLBで審判に暴力なんかふるったらそのシーズン出場停止でも文句は言えないし、
他の競技…例えばサッカーでももっと重い処分がきっちり決まっているみたい。

以下、転載。

Jリーグの選手は審判のジャッジに不満でも暴力を振るったところを見たことがありま… – Yahoo!知恵袋
私は、審判の保護の差と考えます。

今シーズン、今岡選手が審判を突き飛ばしましたが、「たった」1試合の出場停止処分でした。
Jリーグの場合は、粗暴な行為で4試合の出場停止。2度目以降は8試合の出場停止と明文化されています(暴力行為と判断されると、この倍の処分)。それも審判への暴力行為という項目を別枠で作ってです。
プロ野球より試合数の少ないJリーグで4試合の出場停止はとてもとても重いものです。これだけ重ければ、安易に審判に暴力行為はできないでしょう。

8試合っていうと、シーズン34試合の約1/4に当たります。
野球で言うと、2ヶ月の出場停止くらいかな。
暴力行為であればこの倍らしいので、シーズン半分の出場停止ですね。


これは、誤審や審判の技量とは関係のない部分の話。

制裁を下すのは監督や選手の役割ではなくNPBと審判部の仕事。
その辺の自制というか規制というかが甘いというのは言えるかもしれません。
サッカーの審判でもよく言われることですが…審判に必要なことは断罪ではなくて試合を作ること。
カードを出す審判より出させない審判が優秀なわけですが、
日本のこの環境だと確かに断罪以外に試合を進行する術がなさそうです。


国際球の採用もそうですが…NPBはもう少し野球の枠組みを考え直すべきですね。



もう一つは、NumberのWEBサイト上でMLB WESTというコラムを連載されている菊地靖さんの特別寄稿。
菊地靖さんのブログからの連続なので、そちらも読んだ方がわかりやすいと思います。

寂しいというか…怒りさえ感じています – 在米スポーツライターの独り言
もちろん日本でもいろいろな報道がされていると思いますが、私の感情はタイトルの通りです。星野監督始め現場で戦った人たち以上に、日本代表チームを束ねる組織、幹部の人たちの無為無策に憤りを感じざるを得ません。

[MLB Column from West 番外編] なぜ同じ過ちを繰り返し続けるのか – goo スポーツ:NumberWeb –
MLBの話題を提供する本来の趣旨からは逸脱してしまうのだが、今回はどうしてもこの話題を取り上げずにはいられない心境だったことを察して頂きたい。それほど北京五輪での日本代表チームの惨状は、嘆かわしく、腹立たしかった。

 ただし冒頭の不満をぶつける相手は、星野監督でもなければ五輪を戦った選手たちでもない。日本代表チームを束ねるNPBであり、日本プロ野球界の中枢にいる責任者たちに対してだ。彼らの怠慢、無為無策ぶりをこれ以上許していいのだろうか。

(中略)

実際端から見ていて、NPBの代表チーム選考は無責任としか思えない。大会ごとに場当たり的に監督を選んで、後は現場に任せっきりという体質が、今回の代表チームに関する報道から窺い知れる。その端的な例が、3位決定戦終了後の星野監督の発言だろう。

 「最初の試合で投手も野手も(日本とは違うストライクゾーンに)怖々やってしまった。他の世界でやっている感じ」

 さらにいくつかのスポーツ紙サイトで、予選第1戦のキューバ戦後に、好投できなかったダルビッシュ投手が国際球に違和感を持っていたと報じられていたし、帰国後に上原投手がNPBに対し国際球を使用することを要望したい発言をしていたことも報じられた。これらの使用球やストライクゾーンの違いは、今大会に限ったことではなくずっと以前から指摘され続けてきたことなのだ。確固たる長期戦略があれば、解消できた問題だったはずだ。

寂しいというか…怒りさえ感じます パート2 – 在米スポーツライターの独り言
とりあえず通常のコラムと同じ分量にしたため、まだ言い足りないことも残っています。

今でも星野監督を批判の矢面に立たせているだけで、こちらには上層部の人間たちからの自分たちの責任を問う言葉はまったく聞こえてきません。コミッショナーは次回WBCの監督人事の話をしているだけだし、アマチュア野球連盟の会長も星野監督批判を行いまったく他人事です。


このコラムを星野監督の擁護だとかそういう視点で見ると、
菊地靖さんのコラムのポイントを見誤ります。

確かに星野監督の選手起用や戦術選択などには失敗もあり、
試合の進行については明らかに責められるべきである、と。
しかし問題は彼を叩いて済む問題ではなくて、
そうした実際の試合の責任以外の部分についても、
全て星野監督に責任を押しつけたままにしているNPBは異常であるというのが趣旨かなと。

代表戦についてはサッカーの方がわかりやすいので比較のために考えると、
試合の勝敗や、戦術について監督が責められることはよくあります。
もちろんそれが原因で辞任することも日常茶飯事ですし、それが仕事でしょう。

ただ、代表の強化について監督個人が責任を負わされることはありません。
基本的に監督は代表強化プロセスの上に載せられるものであって、
そのプロセス自体は日本サッカー協会がデザインすべきものです。
だから会長や強化部長が叩かれるわけです。

それはチームの育成も同じ。
試合の勝敗について激しく叩かれることはあっても、
どんな選手を獲得してどうチームを強化していくかという点について、
監督が責任を負わされることは、一部の例外(GM兼任など)を除いてありません。



そうした例を今回の状況に当てはめてみると、
星野監督について言えることは、国際試合でチームを指揮する能力が劣っている、
ということであって、それはメダルを逃したことの責任全部ではない、と。

考えてみれば長嶋監督の時から、
この代表を作っている人間というのが見えた試しはありませんでした。
未だにアマチュアだプロだと権力闘争している組織も馬鹿馬鹿しければ、
金持ちが寄り集まって何一つ決められないオーナー会議も糞みたいなもんです。

星野監督の責任を追及し続けるのは個人の自由なので良いのだけど、
それじゃあ監督変えたら強くなるかっていうとそうじゃないよね、というお話。
WBCで星野監督に任せるのは勘弁してもらいたい、それが前提で、
その上で強化のために何すんの?っていう話を聞きたいんですけどね。

あんまり、真面目に野球する気がないのかもしれませんね。
天下りみたいなもんですしね。



ちなみに菊地靖さんの特別寄稿(Number編集部に要望されたわけではないらしい)を、
素早くWEBにアップしてきたNumber編集部は凄いな、と。

ジャーナリズムとして、大事なことだと思います。