衝動的に購入してから半年…
ようやく読み終わりました。
日本人の魂の原郷 沖縄久高島 比嘉 康雄 集英社 2000-05 by G-Tools |
この本では、沖縄の中でももう殆ど残っていない古来の祭祀を、
(少なくなってはいるものの)現在でも語り継いでいる、
久高島の祭祀の詳細と、その根源にある世界観を紹介しています。
この中で描かれているのは、
古来の祭祀が色濃く残っていた最後の時代、1980年前後の話で、
その独特な世界観、生活と一体化して、
宗教というよりも生き方と言うべき思想が、
丹念に描かれています。
僕にとって、殆ど触れたことのないそういう文化を、
非常に分かりやすく説明してくれるという点で、
色々考えさせられ、また楽しめた本だったんですが、
印象的なのは…そこまで、きっちりと伝統を守っているにもかかわらず、
時代の流れに対して、非常に柔軟に対応しているところ。
島の若者が減ったり、血統が絶えたりして、
祭祀で重要な役目を果たす役が消滅しているのは、
まだ仕方がないにしても、
例えば、水道の導入とか(沖縄本島から引かれてるそうです)、
葬儀の習慣とか(以前は完全に風葬で、骨も葬所に放置されていたそう)、
コンロの導入とか、そういう様々な変化に対して、
それらを私たちの世界観に沿って解釈すると、
こういうコトになるよね、という、
そういう対応の仕方が、
自分たちにとって大事なことはなんなのか?ということを、
きちんと皆が把握しているという点で、凄いな、と思いましたね。
大事なのは、儀式の様式とか、祠のデザインとかじゃないんだよね。
面白い本でした。
そうそう、面白いと言えば、
久高島の伝統の「結婚」ってのがなかなか面白い。
結婚は、独身の男性と女性、それぞれの両親が話をして決まるそうで、
本人の意思は全く汲まれないとか。
そしてそのまま、結婚の儀式をする…のだけど、
もしそこで終わったら、なんというか、悪しき伝統の何ら変わりません。
でも、ここからが、少し変わっていて、
結婚しても、最初は女性は男性と一緒には暮らさない。
昼間の家事や、御飯の支度だけしてそれを食べずに、夜は、家を出る。
実家に帰ることは許されていないので、口の硬い友人の家や、
男性が入れないような聖地に身を潜めるらしい。
で、最終的に男性が女性を捜し出し、
捕まえたところで結婚は成立して、
一緒に暮らすとか。
以前の記録では、1年以上も逃げた女性もいて、
そのうちに男性が遠海へ漁に出てしまい、
破談になった例もあるそうです。
半ば無理矢理ながら、女性にも拒否権があると言うことかなぁ。
あと、意外なというかなんというか、離婚率も高いんだそう。
そんなに合わないことが分かってるなら、
最初ッからやらなければいいのに、とか僕は思うけど、
年長者は、そのことの良さも、知っていたんでしょうねぇ。
(僕には分かりませんけど)
何はともあれ、また沖縄に行きたいなぁ、と思ったのでした。
激闘!西表島の副音声を毎日聴きつつ。