猛烈な眠気に襲われて布団に入ったが
眠りに落ちる前に ふと とある想い出につきあたって
目が覚めてしまった
特に理由なんか無いはずなのだが
昔付き合っていた女の子との会話を思い出していた
僕は今でも後悔している ひとことがある
そのことを彼女に伝えたことは まだない
ずっと僕の中にあり たぶん これからも僕の中にある
今考えれば ひどくちいさなことなんだ
ふたりが一緒にいるなかで そんなこと どうだっていいんだ
大事なことだけど たとえそれが無くても
おぎなって余りあるものを 彼女は持っていた のに
それは 性に関することだった
健康的な問題でもあるし 心理的な問題でもある
非常にナーヴァスな そして解決も難しい
そんな問題だった
僕はそのことをよく分かっていたつもりだったし
理解していたつもりだった
でも僕のなかで ふたつのこと
彼女を理解することと 僕自身を認めることとの間には
妥協点を見出せなかった
結局 僕は 『つもり』でしかなかったし
彼女を理解なんかしていなかったのかもしれない
今になって思えば
僕がパートナーに対して 一番に求めていることは
そういうことではない、 と思う
朧気だし確信はないが
大事なことは 僕を知ってくれた上で 見守ってくれることだ
彼女は僕を理解してくれたし
僕には なんの不満もなかった
なぜ あの言葉を?
僕は思う。
今はもう 取り返せない言葉だ
『出来ないなら 悩んでも仕方のないことさ』
僕がよく言う言葉の通り これは悩みなんかじゃない
でも この思いが溶けないうちは
心にわだかまりを残してしまうような気がしている
僕が 伝えようとしている言葉は きっと
もう 必要のない言葉なのかもしれない
でも そう望まなくても
彼女は 僕という生き方の中に
いつまでも 形をとどめている