マンションオーナーから退去要請が送られてきた件

引っ越しのトラックのイラスト
2016年1月に引っ越してきてから6年ちょっと。地下鉄へのアクセスが若干わるいものの、買い出しその他様々な点で便利に気に入って住んでいたのですが、今年の3月で京都市が家賃を補助してくれる「とくゆうちん」が終了しオーナーが変わって風向きが変わりました。誤解を恐れずに言うと、どうやら追い出されることになりそうです






「とくゆうちん」が終わって何が起きたか

「とくゆうちん」というのは京都市が指定したマンションで新築から20年間、収入に応じて家賃を補助してもらえるという制度です。例えば家賃15万円のマンションであれば、収入のレベルに応じて、14万、13万、12万といった3段階に分かれる……といった具合。僕らは共働きなので大きく減免されるということはありませんでしたが、マンション内には年金で生活されている高齢者のご夫婦も住んでいて、多分彼らはかなり安い家賃で暮らせていたんじゃないかなあと想像します。聞いたわけじゃないのでわかりませんけど。


今年4月に築20年を迎え、それを気にオーナーが地主さんからビル管理会社に変わりました。

もともと「とくゆうちんが終わったら周りの相場に合わせて適切に家賃が再設定されると思います」というようなことを聞いていたのですけど、蓋を開けてみたら、新オーナーの通達は「京都市補助を抜いた正規の家賃を支払ってもらう」「一切の減額をしない」というものでした。僕らの場合でさえ月約2万円の負担増になりました。高齢者のご夫婦だったらどれほどの値上げになっていることやら。

今、京都市の家賃は高騰しているので「相場に合わせた」結果がこの賃料だと新オーナーは主張したいのでしょうが、いくら何でも横暴すぎ。この時点でマンション内の2割ぐらいの家族が引っ越していきました。僕らも引っ越すつもりで物件を探し始めましたが、今のマンションがたいそう気に入っているので「もし良い物件が適当な家賃で見つかったら」というぐらいの物件探しでした。引っ越しは面倒だし大変だし出費も大きいですからね……



そして退去を求める通達がやってきました

賃借人は借地借家法で守られており、正当事由なくして貸主から契約を解約されることはありません。文字通り「出て行け」とは言えないわけです。そういう状況において出て行って欲しいオーナーはどんな条件を用意するのか?それがこれです。







抜き書きしてみると、


  1. 令和5年6月末日までに退去してくれたら一律10万円
  2. 退去を確約する書類を提出してくれたら退去日までの間家賃30%オフ


10万円ではとても引っ越し費用にはなりませんが、家賃30%オフで退去期日までいれば合わせて60万円弱お得になります。引っ越し費用を差し引いても十分にお釣りが来ます。借主はお金をもらい、貸主は物件を自由に出来るようになってWin-Winですが……これどっかで見たことあったなと思ったらバブル期の地上げですね。金積んで追い出すやつね。もしこのまま黙ってたらマジで実弾積まれるのかも。



龍が如く0 スナックなませ



こうやって追い出すんすねー。実際に当事者になるとなんかいろいろ感じるものがあります。



というわけで引っ越すことになりました

居座ったところで特にメリットもなさそうですし、僕らも引っ越すことにしました。まだ引っ越し先は全然見つかっていないし予定も立っていない、なにより早くに引っ越してしまったら「家賃30%オフ」のメリットが目減りしてしまうので、以前よりはエネルギー掛けて物件を探しつつ年内ぐらいに引っ越し先が見つかれば良いかなといった感じです。

電話で問い合わせたところ「まだ退去が決まっていないのであれば、退去日は目一杯の令和5年6月末日にしておいて頂ければ大丈夫です。退去が決まった段階で、こちらで変更可能です」とのことだったので今のところ決まっているのは「1年後に引っ越しする」ということだけ。それまでの1年でマンション内のどれだけの人が退去していくのか解りませんが……幸いファミリータイプには「たくさん物件が出てくる時期」というのはなく年中まんべんなく出てくるらしいので(不動産屋さん談)、良いご縁を気長に待とうかなと。



ところで事業変更って何よ

先ほどの張り紙にはこうあります。


事業変更の見直しに伴い大規模リニューアル工事を行う運びとなりました


単純に築20年を経過して資産価値を上げるためのリニューアルであれば、部屋単位でやれば済む話です。玄関をオートロックにするとか宅配ボックスを設置するとかも考えられますけど、全戸退去を求める必要まではありません。やりたければ勝手にやれば良いじゃないですか。全戸退去を求めると言うことはもうこの価格帯の家賃では貸さないということでしょうし、邪魔だから出て行けと言うことに他なりません。リニューアル後は月15万から20万ぐらいのマンションになるんでしょうか。


もしくは……

最もあり得るパターンとしては今さらでもホテルへの改装。ですかね?

ホテルの倒産や閉鎖が相次いでいる京都ですが、同時に新しいホテルのオープンも相次いでるんですよね。マンションやビルがホテルに改装される例も引き続き多くあり、新型コロナウイルスの影響が収まりつつある現在、そこに投資チャンスを見る人がいても不思議ではありません。京都市では数年前にオーバーツーリズム解消のため安いホテルの新設を抑制する方針を打ち出したはずですが、今でもあまり効果が出ているようには見えません。ホテルなんかもうこれ以上いらなくね?

物件探してて思うのは、6年前に比べて確実に家賃の相場が上がってると言うこと。今と同じ条件のマンションなんか見つからないんですよ。見つかっても月20万とか。そんなの払えるわけないだろ。分譲貸しだとポツポツ見つかったりもするんですけど……なかなか難しい。京都市の財政が苦しいのはわかるし、それでとくゆうちんの制度自体が終わるというのも理解出来るんですけど、もうちょっとなんとかしてくれないかなあ。


いやあもうほんとにね。マジでろくでもねー。


そんなこと言ってても仕方がないので今日も引っ越し先を探すのでした。どっかなんかこう住みやすくて静かで日当たりの良いところ、ないかなあ。