東証マザーズと福証Q-Boardに上場する(株)ホープ(TSR企業コード:872231720、福岡市)に注目が集まっている。 電力小売事業(新電力)に参入して業績を急拡大してきたが、電力調達価格の高騰で一転して窮地に陥った。2021年12月の持株会社化に伴い会社分割した(株)ホープエナジー(TSR企業コード:137083300、福岡市)は、電力会社からの送配電取引契約を解除され、破産することを2022年3月22日に公表した。負債総額は概算で約300億円にのぼる。 ホープエナジーが担っていた電力小売はグループの中核事業で、グループ売上高の93.1%(2021年6月期)を占める。売上高の9割以上を喪失し、屋台骨が揺らぎかねない状況で、信用回復に向けた取り組みが急がれる。
新電力子会社「破産」でホープが失ったもの ~ 会社分割から3カ月での「破産決議」~ : 東京商工リサーチ
新電力事業者とは
PPSとは「Power Producer and Supplier」の略で、日本語に訳すると「特定規模電気事業者」という意味になります。その名の通り、特定の規模(50kW)以上の需要者に対して電気が供給できる電力会社を指します。
PPS(新電力)ってどんな意味?今までの電力会社とどう違う? | エコスタイルでんき
(中略)
電力会社といえば発電所を持っていて、そこで電気を作って送電線を通じて会社や家庭に電気を供給しているというイメージがあるかもしれません。
しかし、PPSは必ずしも発電所を所有していて自前で発電をしているわけではないのです。
(中略)
PPSでは自社発電所を持っていない会社も数多くあります。その場合は、一般電気事業者などから電気を買ってお客さまに販売します。いわば大手電力会社は電気という商品を製造するメーカー、PPSは電気を仕入れてお客さまに販売するスーパーマーケットやコンビニのような小売店、といったイメージです。
自前で発電所を持っている企業もありますが、発電所を持たずに電力会社から電気を買って販売する企業もあるとのこと。「株式会社ホープエナジー」はそういう企業の1つです。
破綻した理由
1月以降、日本卸電力取引所(JEPX)での電力取引価格が高騰したのだ。電力の調達コストが跳ね上がり、自社で発電設備を持たない新電力は調達コストが急上昇した。
新電力子会社「破産」でホープが失ったもの ~ 会社分割から3カ月での「破産決議」~ : 東京商工リサーチ
さらに、こうした企業の多くが多額の不足インバランス(電力の調達ができなかった場合、電力会社に支払うペナルティ)を背負い込んだ。
新電力子会社「破産」でホープが失ったもの ~ 会社分割から3カ月での「破産決議」~ : 東京商工リサーチ
(中略)
資金不足から借入金の返済はおろか新たに発生した不足インバランスの支払いも厳しくなった。ホープのリリース資料によると、未払いが続いたことで、すべての一般送配電事業者との託送供給契約が解除された。
まず燃料の高騰などを背景に買っていた電力の価格が高騰。そのせいで調達コストが上がって商品である電力を調達できなくなりました。
さらに電力を調達できない場合は電力会社が肩代わりするためか「不足インバランス」という料金を逆に電力会社に支払う仕組みになっているそうで、「売る商品ないんですよ」「休業ですね」では終わらないんですね。電力供給出来なかったら大問題ですからね。でも電力調達できない会社に電気料金を支払う能力があるわけないですよね……破綻は想定してない仕組みなんでしょうか。ちょっと足りないときに補うぐらいの?
イギリスはもっとやばい
英ガス電力市場監督局(Ofgem)は3日、最も多くの世帯が利用するプランの上限価格を4月から54%引き上げ、年間1971ポンドにすると発表した。世界的なガス価格の高騰により、英国のエネルギー供給業者30社近くが経営難に陥っていることが背景にある。
イギリス、4月から光熱費54%値上げ 政府は120億ドル投じ家計支援|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
イギリスではガスの高騰で発電所を持つ新電力事業者も破綻しているとか。
英国でエネルギー小売事業者の破綻が相次いでいる。天然ガス価格や卸電力価格の高騰が要因だ。供給を継続できなくなった事業者は過去2カ月間で10社に上り、計173万5千件の顧客が影響を受けた。クワシ・クワーテング・ビジネス・エネルギー・産業戦略相(BEIS相)は「経営危機に陥った小売事業者を救済することはない」と明言しており、リスク管理を怠った事業者の淘汰が進む。
イギリスの電力小売、ガス価格高騰で破綻相次ぐ | 電気新聞ウェブサイト
日本もこんなことになるんでしょうか。電力の自由化ってこんな脆弱な基盤の上に構築されたものだったのか。。