遅刻を繰り返すスタッフと罰金制度 – NOBODY:PLACE
3ヶ月前当時は改善の兆しが全くなく退職も時間の問題だと思われたんですが、8月ぐらいから改善の兆しが見え始め最近では2週間に1回程度の頻度にまで減りました。月の罰金総額も恐らく5,000円程度で収まっていると思われ、何とか仕事は続けられそうな案配です。バイヤーとしても事務作業としても普通ぐらいのクオリティはあるようなので(他部署なので詳しくは知らないけど)、今後もしばらくは順調に働いてくれるんじゃないでしょうか。
結局罰金制度が優秀だって話になっちまうんだよな
あんまり言いたくはないんですけど、でもそうなんですよね。罰則の強化が抑止力になっているという点で、飲酒運転の罰則強化と同じような効用が見られ、働いている方は「不自由だな」と思いつつも実際問題効果が出ちゃってるのでこれが廃止されたり緩くなったりすることはないという。個人的にこういう制度は好きでは無いけれど、実際問題くだんの彼のように個人の資質が他のスタッフに大きな迷惑を掛けている場合にその是正措置として有効ではあるので(前日定時で上がってて翌日2時間遅刻とか意味がわからんもんな。。)、仕方ないかなあと思っています。
思っていたんですが。
今ちょっと調べ物をしていてこんな記事を見つけてしまって、この記事や先の記事を削除しようか迷っているところです。
Q)私の会社では「罰金制度」があります。遅刻や欠勤、営業成績などで罰金を取られるのです。上司などは、ゲーム感覚のようにとらえている部分もあるようなのですが、正直、私は納得がいきません。従業員から罰金を取ることは法律的には違法ではないのでしょうか?
従業員への罰金制度は法律違反です。 | 弁護士谷原誠の法律解説ブログ 〜日常生活・仕事・経営に関わる難しい法律をわかりやすく解説〜
A)使用者は労働者に対して罰金を支払わせる契約を結ぶことはできません。もし罰金を課している会社があれば、労働基準法違反に問われる可能性があります。
マジか。ただその後のテキストを読むと絶対違法というわけではなく条件がありそう。
罰金制度は違法なのか
もう少し調べると東洋経済に少し詳しい解説がありました。「会社が従業員に罰金を科すことは合法か違法か」という「そもそも論」でみると、原則は違法だが一定の条件を満たせば合法になる場合もある。
従業員への「罰金」はいったい何がマズいのか | ワークスタイル | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
従業員に対する罰金制度が原則違法となる法的根拠は、労働基準法第16条である。
労働基準法 第16条(賠償予定の禁止) 使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。
この条文により、たとえば「目標を達成できなかったら罰金○円」とか「備品を壊したら罰金○円」といったような罰金制度は原則として違法とされる。
次に、労働基準法第91条という条文をご覧いただきたい。罰金制度が例外的に合法となる場合を定めた根拠条文である。
労働基準法 第91条(制裁規定の制限) 就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。
本条を法的に解釈すると、具体的には次の5つの条件をすべて満たした場合、罰金制度は合法となる。
基本的には禁止されているが条件を満たせば合法と。
で、その「5つの条件」というのがこちら。
- 罰金制度が「就業規則」に定められていること
- 罰金の目的が「企業の秩序維持のため」であること
- 罰金が賃金から天引きされる形で徴収されること
- 罰金の額が法律で定められた上限を超えてはならないということ
- 就業規則に定められた「行為」と「罰金」のバランスが、民法第90条の「公序良俗」などに反せず、社会通念上相当であるということ
これを踏まえてうちの会社のことを考えると、まず就業規則で額と計算方法が明確に記述されているので1はOK。遅刻による同部署スタッフへの負担や上司の時間的コスト、取引先やお客様への影響を考えると2も妥当かなと。3もその通りなのでOK。1個飛ばして5についても大丈夫そう。問題なのはとばした4番、罰金が法律で定められた上限を満たすかどうかということ。
法律で定められた上限は以下の通り。
一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。
時給1,000円で1日8時間月22日働いているスタッフの場合、1日8,000円、月176,000円になるので、1回の罰金で科すことのできる罰金の上限は4,000円まで、月の罰金総額は17,600円までということになります。一方、うちの会社の現行ルールに則って計算すると、2回目の遅刻で早くも罰金額が4,000円に、3回目で8,000円になってしまうので月3回以上遅刻したスタッフに対する罰金額は違法です(念のため書くと、そこまで適用されることはまれです)。また総額で見ても3回目の遅刻で総額14,000円、4回目で30,000円になって総額上限を超えます。1回の罰金上限を4,000円に固定した場合は4回で16,000円なので5回目で超えます。
実際問題こんな罰金を科せられるスタッフはほぼ皆無なのですが、ルールに記載されている以上是正が必要でしょうね。上限を超えた場合には給与の見直しなど他の形を考えれば良いのかな。だけどその手のスタッフは多分時給も最低賃金ギリギリなので減らしようがない。。まあそんなヤツをいつまでも雇っておくなという話でもあるんですけれども。人手不足って大変。
まとめ
罰金制度の運用は計画的に。経営者が感情的に運用すると、法律違反になる可能性が高いです。
早速明日、就業規則の改定を提案したいと思います。