ヲチとは
順を追って説明すると「ヲチ」というのはネットスラングで、語源は「ウォッチ(watch)」。ニコニコ大百科に良くまとまっているので引用します。
ヲチとは、ウォッチ(Watch)またはウォッチング(Watching)を意味するネットスラング。ざっくり言えば、ネットの内外を問わず、個人や企業、メディア、サイト、国家などを観察してニヤニヤするという極めて悪趣味な行為。雰囲気としては昆虫観察や野鳥観察のように「対象に気づかれぬようひっそりと遠巻きに見守る」ニュアンスがある
言葉自体は多分、ネット黎明期から存在しているんじゃないでしょうか。大百科には、
ネットウォッチ板とは (ネットウォッチイタとは) [単語記事] – ニコニコ大百科
東芝クレーマー事件についての板として発足した「東芝サポート板」が前身。
そのすぐ後に東芝クレーマー事件以外も広く取り扱う「ネット事件全般を観察する板」としてネットウォッチ板が新設。2ch閉鎖騒動の煽りを受け一時閉鎖されるものの、2週間弱で復活する。初期2ちゃんねるは銃夢騒動などネット事件のたびに名を売り規模を拡大していたこともあり、ある意味主力板の1つであった。
とあって、東芝クレーマー事件は1999年なので、遅くとも2000年には単語として確立していたのであろうと想像できます。はてなにおいても僕がはてなのアカウントを取った2006年初頭には存在していましたし、はてなキーワードの「ヲチ」も2005/02/11にid:anotherによって作成されています。
ヲチとは – はてなキーワード
ヲチするに当たって重要なこと
最も重要なことは「手を出さない」こと。前述のニコニコ大百科から引用しましょう。本来、文字通り「見る」「観察する」行為を指すはずなのだが、近年ではヲチを自称しつつヲチ対象に直接攻撃を加えるという、荒ぶる新世代の台頭も懸念されている。
※凸や攻撃を伴う行為はヲチではありません!
最後の一文が非常に重要です。例えばツイッター経由で絡んだり、ブログコメントで論争を仕掛けたり、はてなブックマークでdisったりと言った行動は、ヲチではありません。ヲチとは、その対象者に悟られないように時にはヲチャー同士で情報交換しながら、あくまでも生暖かく見守っていくことです。安易に手を出してしまうと、自分が観察されていることに気付いて言動を控えてしまったり、証拠隠滅を測ったりと、観察に悪影響が起きるため、特別な炎上物件に昇華するなどの展開がない限りは手出し御法度です。
有事の際には燃料投下の最前線に立つ
「有事」が起きた場合のヲチャーの役割は主に兵站です。鮮やかな炎上の現場には、それまでヲチの対象であった人間と、それに対して対決を挑んだ人間(こちらもヲチの対象であることが多いですが)とが存在し、お互いにうんこを投げ合うような展開が起きています。炎上は一度起こると、炎自体がそこに存在する可燃性の資材をすべて燃やし尽くそうという意志を持ち、資材を燃やし尽くした時点で炎上は終了します。
兵站の役割は、その炎を絶やさぬよう、場合によっては戦いを繰り広げる両陣営に対し、これまで蓄積してきた各種燃料を継続的に提供することです。それによって、燃え上がる炎はさらに色鮮やかなものとなり、美しき歴史の1ページとして残るのです。どんな強力な軍隊であっても兵站が途絶えては戦えない。ヲチャーはその軍隊を生かすため、日々資材を蓄積しているのです。
いや、そんなことを書きたかったんじゃなかった
ごめん、ちょっとなんか大袈裟に書きすぎた。ホントのこと言うと、ただ見て楽しんでたいから見てるだけであって、後の炎上のこととかまあ別に計算してるわけじゃなくて、持ってたら燃料くらい投下するよくらいの話かな。炎上起きた時点でその炎が収まるまでホントの意味でのヲチは停止するわけなので。この記事ではそんなに熱くヲチについて語りたかったわけじゃなくて、僕自身に対する印象として「すぐに義憤みたいなの感じて文章書こうとしちゃうあたり、俺ってヲチャーに向いてないよなー」という感慨であり、淡々と観察しながらヲチ板に書き込んだり、ときおり当たり障りなくFacebookとかTwitterとかに書いてる「本職」の人たちはすげえな、ということであり、こういうのも含めて「ヲチりヲチられ」であるし、まあ僕自身もこの危ういところをヲチられてるのか、いや別にそんなに有名じゃないしそこまではねーか、みたいなことでありました。
そもそも2ちゃんねらーでない時点でヲチャーにあてはまらんのかも知れないけど。