「信じる」ことを否定すると「信じない」ことを要求される

なかなかすっきり晴れないなあ #sky


「何でもかんでも反対するよね」

そういうつもりではないのだけれど。

彼女の人と対話を重ねていくうちにそんなことを言われた。僕にしてみればそういうつもりではないのだけれど、同じような指摘を繰り返すことになってしまったためにそう受け取られたらしい。彼女はいわゆる「そういう人」ではない(この文章に出てくる「白黒付けたがる人」も彼女ではない)ので、僕がちょっとやり過ぎてしまったのかも知れない。ごめん。ただこの言葉はとっても示唆的だったのでこれをきっかけに少し書いてみる。




ウェブ検索で表示されているのは正しいことでは無くて数の多いもの

生きていく中で「早急な決断が求められる場面」というのはしばしばあるけれど、ウェブで検索して決めるようなことにはそんなに早急な事象というのは無くて、それを「早く決めなくちゃ!」と思うのは単純に焦っているだけであり、それが繰り返されるのであればはっきり言って病的。

参考:
放射能パニックからの生還=ある主婦の体験から ― 自らの差別意識に気づいたことが覚醒の契機に: Global Energy Policy Research

ウェブの検索結果は正しいことが表示されているのでは無くて、数の多いものが表示されているだけなのだから、それを信じたいのであればそれが真実かどうかはきちんと調べないといけない。自分が「こうあって欲しい」と思っていた情報に当たったときには特に。きちんと調べるのが面倒な場合には「どうだっていいや」という意味での「ネタ」という分類が便利で、信じるわけでも無く信じないわけでも無く話題として消費する。万が一新展開があったらば、その時に初めて咀嚼する。



人に薦める人が調べるのでは無いのだろうか

彼女の人のセリフがどんな文脈で出たかというと、ウェブで読んだことを「へーそうなんだ」と素直に納得し薦められたので、よく分からないことを鵜呑みにするのは良くない、ましてやネタ元が無いとかなにやら怪しいとかいう場合には特にそうだよという話をしたせい。たまたま似たような事象が連続で話題に上ったので、それぞれひとつひとつ質問していったらばこうなった。「何でもかんでも反対するよね」。

善意の提案に乗り気で無いばかりか、重箱の隅をつつくような質問を繰り返されて気分を害したということらしいのだけど、でも僕にしてみれば、自分で実行するだけで無く人に薦めるくらいなんだからそれがどういう事なのかきちんと調べるのは当たり前だろうと思う(実害があったらどうするの?)。自分に調べ足りない点が見つかったなら薦めてる人が調べて報告するんじゃ無いのだろうか。違うのだろうか。それとも自己責任でやってねって言うことか。

まぁ興味が無いなら質問などせずに適当に聞き流しておけば良かったんだけど、僕もあんまり大人じゃ無いのでつい。それで「そんなに文句言うなら自分で調べたら」と言われても、興味が無い上に僕が調べる筋合いも無いからなぁ。うーん。どう対応して良いのかイマイチ分かんない。



「信じる」ことを否定すると「信じない」ことを要求される

「信じる」の反対は「信じない」ではないわけよ。白黒付けたがる人と話をした場合、「信じる」ことを否定すると「信じない」ことを要求される。信じない証拠を出せと。でもね、それは、あなたの二元論の話であって、僕の中では信じるか信じないかだけで世の中を見ていないのよ?

信じる証拠も信じない証拠も不十分である事象について、「とりあえず信じる」も「とりあえず信じない」もする必要は無く、それを知る前の状態のまま置いておけば良いじゃないの。一時保管。知った瞬間から「信じる」「信じない」の二者択一を志向する必要性が僕には良く理解出来ない。解らないからとりあえず信じるという心境もよく分からない。なんでなのだろう。

そう焦って、新しい情報を自分の考えと融合させていかなくても良いのに。



白黒つけなくていい

世の中のほとんどのことなんてこの程度で十分だと思っているのだけど、前述の話に限らず、どうもすぐに白黒はっきり付けたがる人がいてちょっと馴染めない。多分そういう情報で右往左往する自分が好きなのだろうと思う。僕はそういう自分が嫌いだから多少判断が遅くなってでも注視したいと思っているし、実際にそう努力している。まあ、小心者で慌てやすい性格だってのを自分でよく分かってるからねぇ。

こんなエントリも書いてる。

脳内に「一時保管フォルダ」を持とう(追記あり) | mutter
【メモ】Twitterが浸透すればするほど「一時フォルダ」の容量が必要になる | mutter
「真偽不明」のものは「真偽不明」以上でも以下でもない | mutter


上の二つは震災前のエントリだけど、今でもそのまんま当てはまる気がする。

こういう状況はなかなか変わらないね。時間が経っても。