スポーツの指導者が成功するとすぐに「組織論」的な書籍を出版し、しかもそれがビジネス書としてヒットするのが好きになれない。

1つの分野で成功したら、それを書籍に(特にビジネス書に、最近だと新書に)まとめるというのはこのところよくある流れなのだけど、個人的には、スポーツの指導者が1年や2年の成功で”組織指南書”見たいのを書いちゃうのがあんまり好きになれません。なんていうか、勝負の世界に身を置いていて、それってどうなのとちょっと思ってしまうんですよねぇ。


最近のプロ野球監督だけでもこんなことになってます。





読売ジャイアンツで優勝を重ねる原監督や毎年一定以上の実績を残し続けている落合監督なんかは、確かに「学びたい」と思わせられるのだけど、一方で就任時に好成績を残したもののその後、成績が尻すぼみという監督もたくさんいます。本が話題になってみんなで散々褒めて、次の年にBクラスとかどういうことなの?本に書いてあったのは結局たまたまの話だったの?とか。

著者もしくは取材対象の指導者としては、聞かれたから指導法を答えたまでであって、「どうだ俺凄いだろう」なんて言う気持ちはないだろうと思います。特に実績はなく目新しさが先行している場合、「ニューカマー・インタビュー!」みたいなノリでしょう。だから監督には罪はないだろうとは思うんですけど、それにしたってそれが世に出るときにはどれもこれも「勝てる組織はこう作る!」とか「あなたの組織はなぜ機能しないか」とかなんかそういう煽りが付いていて、しかも出した次のシーズンボロボロとか目も当てられません。本の中ではあれだけ立派だったのに。


成功したその年に何をしたのかというスポーツ的なドキュメントを書くのは良いと思うんですよ。それは貴重なドラマだと思いますし、それは次の年どんな成績だったとしても色あせないし嘘にはならない。でもそれをビジネス書として売っちゃうのはなんかなぁ。あんまり、立派な監督を矮小に見えるような安い売り方するのは止めて欲しいです。そういうのは、タレントだか知識人だかわからないような人たちを使ってやってくれればいい話で、本職が別にある(そして恐らく素朴な)人たちをほいほい便利使いしないで欲しいなと。



でもまぁ…


もしかするとそういう哀愁的なところも合わせて味わうのも、スポーツの味かもしれませんけどね…
「嫌だなぁ」「語るのはスポーツだけにして欲しい」という思いは変わりませんけどもね…