新聞はやっぱり面白い。けど。

新聞の購読を止めてもう7年くらいになる。
購読を止めた理由は、忙しくて全部に目を通せず月額契約で取るのがもったいなかったから。ニュースそのものを知りたければwebで十分知ることが出来るし、不便なのはふとしたときにまとまった紙が手元にない(油の処理をするとか)時だけで、そのために紙を買う必要はないと思ってやめた。

それから暫く読むのはたまに行くラーメン屋でのスポーツ新聞くらいだったのだけど、最近、勧誘のつもりなのか朝日新聞の夕刊がたまに投函されている。請求されても困るし(過去のあれこれから新聞の販売店は基本的に信用してない)、長く続くようなら電話を入れようと思っているのだけど、向こうの勝手でやってることに対してこっちから連絡取るのも馬鹿馬鹿しいので今のところは放置。で、まぁ一応読んでみるかっていうんで目を通してみると、存外に面白い。そう、忘れかけてたけど新聞って読むと結構面白いんだよな。


夕刊の構成は朝刊に比べると随分シンプルで全12面構成、ニュースが1面、経済が8面、スポーツが9面、社会面が10面と11面。これらの情報は、一見して偏向していたりリアルタイム性が欠けていたり、紙面の都合上内容が浅かったりして特に読む価値はない。でもその合間に入っている文化欄は、他のメディアではなかなか出来ない取材と編集で読み物として素直に面白い。

今日さっき読んだのは、インドに建立されている日本仏教のお寺「日本寺」で活動する青年層の記事、百人一首の寺社を巡る記事(第2回の今回は上賀茂神社)、アンデス発掘の話、千利休について武者小路千家第15代目家元の方が語る話などなのだけど、どれも興味深く読んだ。こういう話を安定して供給できるメディアってそんなにはない。十分にお金を出す価値はあると思う。



でも。

「じゃあ明日から夕刊だけでも購読されますか?」

と聞かれれば、答えはもちろん、ノー。

なんというか夕刊だけ購読は出来ないのもさることながら(朝刊セットで3,925円)、夕刊だけで月1,050円だと言われても要らない。主力面である「ニュース」「社会」「経済」「スポーツ」が不要である限り無駄が多すぎる。文化面だけで、週一発行で、月525円(『ののちゃん』付きなら630円でも)だというのであれば考えてもいいけど…オマケ的な扱いの文化面でそんなことするかは微妙。


「新聞はニュースではなく生活面で儲けている」と言ったのはGoogleのチーフ・エコノミストHal Varian氏だけど、むべなるかなという感じ。個人的にはHal Varian氏の「これらの分野の要求に答えるニッチなサイトがいくらでもある」という指摘では、いろんなカテゴリの話を浅く広く摂取できる文化面のメリット全てを奪えるとは思わないけれども(webメディアではどうしても気が散ってしまうのが良くないと思う。情報の連続性との諸刃の剣)、それでもやっぱり深く知ろうと思ったら検索か書籍になるし、新聞で始まり新聞で終わるようなことは多分もう無い。



もう終わったメディアとして新聞を潰してしまうのは、一次情報の確保という面で見てもかなりな社会的損失だと思うし、こういう表面上金にならない文化面を真面目に作り込めるメディアを失うというのもちょっともったいないかなと思うけれども、だからといって自分の金を出してサポートする気もさらさら起きないんだよなぁ。

もったいないと思いながらいずれ消えていく運命にあるのだろうなぁ。