なんか本の紹介って言うか、ああそういえば話が長くなりすぎたので。
テレビももっとWebをツールとして使うべき(Webは免許が必要なメディアなんかじゃなくて誰でも使えるツールなんだし)、という文脈の中で『水曜どうでしょう』はインプレスTVで番組を販売していてそれを全国の北海道出身者が見て成功した、というような記述があったんだけど、んーどうだろう。この文脈で言えば正しいことなんだけど、『水曜どうでしょう』全体で言うとそれは枝葉かなーとも。
基本的には、『どうでしょうリターンズ』という名前での番組のパッケージ化から全ては始まったと思うんだよね。これは当初は、番組の定期的な休止の穴埋めだったようだけど、結果としてこのパッケージなら他の放送局に売りやすいということで、身近な存在だった東北の系列局に番組を配信していくようになる、と。これがまぁ、全国に広がる嚆矢になったと。
1999年
- 1999年8月6日
- 秋田朝日放送(AAB)『どうでしょうリターンズ』放送開始
- 1999年10月2日
- とちぎテレビ(GYT)『どうでしょうリターンズ』放送開始
- 1999年10月5日
- 東北放送(KHB)『どうでしょうリターンズ』放送開始
北海道と距離が近い秋田や宮城ならまだしも、栃木も2番目に放送開始してるんだよね。何らかの縁があったせいかもしれないけど、HTBの営業も販売するという目的で相当頑張ったんじゃないかなぁと思う。現在のテレビにも通用することだと思うけど、番組を買いやすいパッケージにしたり、売る努力をしたりと言うことを他のテレビ局はあんまりしていないんじゃないかと思う。いや古いドラマとかは、地方局で日曜の昼間とかにやってたりするけどさ…使い捨てられてるバラエティとかもっと使い道があると思うんだけどね?
インプレスTVでの番組販売までにはまだもう少し間があって、続く2000年には静岡が。
2000年
- 2000年4月12日
- 静岡朝日放送(SATV)『どうでしょうリターンズ』放送開始
さらに、2001年には福島、山口、青森、千葉でも放送開始。
2001年
- 2001年1月19日
- 福島放送(KFB)『どうでしょうリターンズ』放送開始
- 2001年4月11日
- 山口朝日放送(YAB)『どうでしょうリターンズ』放送開始
- 2001年5月4日
- 青森朝日放送(ABA)『どうでしょうリターンズ』放送開始
- 2001年7月1日
- 千葉テレビ(CTC)『どうでしょうリターンズ』放送開始
Webがまだまだ不安定だった時代、これ以上の配信は無かったと思われ。
で、2002年になってようやくインプレスTVでの配信が始まるわけです。
2002年
- 2002年2月
- インプレスTVにて有料配信開始(資料)
こうやってみてみると、大事なのはWebをツールで使うことだけじゃなく事前にどれだけの準備をしておくかっていうこと。もちろん『水曜どうでしょう』の場合は、結果としてWebで展開できるようになっただけで、それを狙っていたわけではないでしょうが、ともかくWebはツールであるが故にそれ使いさえすれば問題解決ってことにはならなくて、それをどういう状況でどう使うかっていうところがキモなんだろうなと。それは、この当時の話だけじゃなくて、現在のテレビにも十分通用する理屈で、上手く使えば成功するし下手ならしない。ただ番組情報を垂れ流したり、アーカイブ置いておいたりすればいいってわけじゃないと。
難しいことではあるんだけども、でも成功例がないってわけもないわけだし。
HTBはインプレスTVのサービス終了後は、自社で有料配信も始めてるわけで…
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他のテレビ局だってやってやれないことはないはず。
なにか、面白いことをやっていって欲しいものであります。はい。