競泳で1秒を縮めるのはどれくらい凄いのか? – スピード社TUEEE…北島はもっとSUGEEE


スピード社製水着のお披露目会と化したジャパンオープン。ついにこんな記録が。

スポーツナビ|北島、男子200平で世界新=「スピード」着用、驚異的タイム?競泳
競泳のジャパンオープン最終日は8日、東京辰巳国際水泳場で行われ、男子200メートル平泳ぎ決勝で北島康介(25)=日本コカ・コーラ=が2分7秒51の世界新記録を樹立した。ブレンダン・ハンセン(米国)が2006年8月のパンパシフィック選手権でマークした従来の記録(2分8秒50)を1秒近く縮める驚異的なターム。北島は英スピード社の水着「レーザー・レーサー」を着用した。


1秒っていう縮め方がどれくらい凄いもんなのか気になって調べてみたら、
アテネ五輪(’04)の時にサンスポの記者の人がまとめてくれていたので、
それをベースとして引用させていただいた上で、
SWIMNEWS ONLINEのデータを引っ張ってきて、まとめてみた。


■男子200メートル平泳ぎ・世界記録の変遷■

名前 国籍 記録
1984 デービス カナダ 2分14秒58
1984 デービス カナダ 2分13秒34
1989 バローマン アメリカ 2分12秒90
1989 ギリンガム イギリス 2分12秒90
1989 バローマン アメリカ 2分12秒89
1990 バローマン アメリカ 2分11秒53
1991 バローマン アメリカ 2分11秒23
1991 バローマン アメリカ 2分10秒60
1992 バローマン アメリカ 2分10秒16
2002 北島康介 日本 2分9秒97
2003 コモルニコフ ロシア 2分9秒52
2003 北島康介 日本 2分9秒42
2004 ハンセン アメリカ 2分9秒04
2006 ハンセン アメリカ 2分8秒50


競泳に限らず、突出した選手が一人出ると記録が一気に縮まる傾向があるので、
一概に何年とはいえないかもしれないけれども、
例えば、北島が更新する前のハンセンの記録2分8秒50までの1秒を見ると、
およそ3年かかっていることがわかる。
その記録(コモルニコフ/2分9秒52)までの1秒ではなんと11年掛かっている。
そして今回の記録更新は約2年。
1秒を縮めることがいかに大変かわかる。



次に、北島康介個人の記録を見ていくと、
2007年は2分9秒80で、世界ランク1位、2006年は2分10秒61で、世界ランク3位。
2008年のベストタイムは6月2日時点で2分8秒84(2008年世界ランク暫定1位の記録)。
これが実質的にジャパンオープンまでの北島の生涯ベストタイム。

アテネ五輪後の2005年は怪我もあって記録は出ていないけれども、
2006年以降はある程度記録が出ている。ただ、ベストタイムには及ばない。
2008年になってようやく更新したけれども、それも、0秒58縮めたに過ぎない。
…いや、『過ぎない』という用語は不適切だろうな。こんなに息の長い選手はそうはいない。
記録上ピークと思われる2002-03年からもう一度、記録上の最前線に戻ってきたわけだから。
しかし、今は「1秒」に焦点を当てているので、不適切とわかってはいるけど、
0秒58はやはり、1秒に比べれば、「過ぎない」。



そして、今回一気に0秒99。

北島自身の記録で考えると、ベストタイムより1秒33も縮めてる。
もちろんその1秒33には、トレーニングの成果も多分に含まれているだろうとは思うけれども、
2008年の記録(2分8秒84)は、4月19日の日本選手権の記録。
アテネ以来ようやく数字として結果が出たその記録からわずか2ヶ月後に1秒33。
(8月が本番だと考えれば、今はピークではないはずなんだけど)



以下まとめると、

  • 世界記録1秒を縮めるにはある程度の時間が必要。現代では、2-3年は掛かる。10年以上掛かることも。1秒を縮めるのは大変なこと。
  • 北島は4月に自己のベストタイムを5年ぶりに更新している。
  • その更新からわずか2ヶ月後に1秒33縮め… → させるスピード社TUEEE
  • 5年ぶりのベストタイム更新、その上さらに世界記録まで → 北島SUGEEE

てことでしょうかね。


世界記録のレベルでのこれほどの縮め方は、1984年のデービス以外に例がない。
しかも当時と比べると6秒も速くなっている世界で。
(残念ながらデービスの記録更新スパンはわからなかったけど)

これはやっぱり…水着の構造的、精神的効果を認めざるを得ないんじゃないだろうかね…





それにしてもやっぱり北島は凄いな。
トレーニング技術が発達してきたとはいえ、過去の平泳ぎ200メートルの記録では、
ピークを取り戻して記録を更新した人はいないわけなんで。

恐るべし。