カルテルがあったのに任天堂が値下げして無くてライターがぶちぎれてる件。


1行でまとめても何かよく分かりませんけれども。
関連というか発端ニュースはこちら。

任天堂DS液晶でカルテル、2社に公取委立ち入り調査 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
爆発的なヒット商品となった任天堂の携帯型ゲーム機「ニンテンドーDS」と後継機種「ニンテンドーDS Lite(ライト)」の液晶パネルをめぐり、価格カルテルを結んでいた疑いが強まったとして、公正取引委員会は28日、独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで「シャープ」(大阪市)と「日立ディスプレイズ」(東京都千代田区)を立ち入り検査した。

これに関して、とあるフリーライターの方が、
任天堂は利益を追求しすぎだ!と騒いでる(超どうでもいい)って言う香ばしいお話です。
コレをわざわざエントリにしてる僕も含めて生暖かい目で見てやってください。


構成としては今のところ、上記ニュースに関する任天堂糾弾記事(元記事)と、
それに対するリアクションへの返答記事(レス記事)の二部構成。

どっちもなかなかにアレなんですが、とりあえずレス記事の方から見てみたいと思います。
ツッコミビリティ溢れるレスをピックアップしつつ、
解説は後ほど元記事の引用と合わせて。


ではゴー。

ニンテンドーDS向け液晶パネルのカルテル問題 まとめ|デジマガネット

  • Q. 任天堂は悪いのか?
  • A. 法律的には全く問題ない。しかし穿った見方をすれば、両社がカルテルをしなければいけなくなるほど値下げを迫ったとも考えられる。

  • Q. 値下げの必要な価格だったのか?
  • A. 仕入れ価格がわからないので正確には答えられないが、ニンテンドーDSは液晶パネルを2枚使用しているため、シャープや日立にとって利益率の良い取引であった模様。ただし、小型液晶パネル業界は厳しい値下げ競争にさらされており、巷で出回っている営業利益率1%というものは日立ディスプレイズ全体のもの。ちなみにシャープの液晶パネル部門は3%前後。任天堂は23%である。

  • Q. 企業努力によって下がった原価は消費者に還元するべきなのか?
  • A. 強制ではない。しかし利益を拡大しておきながら消費者に対して還元しないという姿勢は、喜ばしいものではない。

  • Q. 利益は消費者ではなく株主に還元するべきでは?
  • A. 君は正しい。しかし世の中正しいだけでは生きていけない。その証拠にスティール・パートナーズがひどい目にあっているだろう?任天堂が行っているのと同じように、値段を下げられるなら下げろと消費者も声をあげる。誰だって、どこの会社だって安いにこしたことはない。当たり前田のクラッカーな話。

  • Q. シャープと日立が価格カルテルを結んでいたため、ニンテンドーDSの価格が下がらなかったのか?
  • A. 数値を把握できていないので答えられない。ただし、液晶パネルだけ値下げを要求しているとは考えられず、そのほかの部品も同様に価格が下がっているはずである。液晶パネルの価格維持は決定打とはなりえず、任天堂側に(少なくとも現段階では)下げる意志がなかったと見られる。

  • Q. デジマガネットはアンチ任天堂なのか?
  • A. 違うよ。全然(後略)



はい、いかがだったでしょうか。
全13問のQ&Aから6問を抜粋してみました。
Qの方は当然このライターの方、Aの方が元記事の読者の反応らしいです。
Aの方は当然このライターの方、Qの方が元記事の読者の反応らしいです。 これだけ読んでもあんまりよく分からないですね。
(激しく間違ってた…読めば分かってもらえるとは思いますけれども…)


じゃあ、元記事の方も合わせてみてみましょうか。

諸事情でトリミング気味になっちゃいますが、
とりあえずこれも基本的な部分を抜粋してみます。


任天堂の殿様商売の悪夢再び|デジマガネット

シャープと日立の子会社がニンテンドーDSの液晶について、価格カルテルを結んでいた疑いがあるというニュースがゲーム業界を騒がせているが、本当に悪いのはどこだろうか?

私は断言する。それは任天堂だ。

(中略)

任天堂は2社に対して3ヶ月(4半期)ごとに相見積を行っていた。そしてそのたびに納入価格が下落する傾向にあった。(中略)3ヶ月ごとに2社の利益は失われ、任天堂の利益は増えたのだ。

(中略)

ニンテンドーDS Liteが発売された時には既に価格の下落が始まっていたのだ。しかし、実際の値段はどうなっただろうか?あがっているではないか。

(中略)

ニンテンドーDS Liteの値段は(中略)何も変わっていない。16,800円のままだ。液晶の価格は3ヶ月ごとに下がっているはずなのに、値段は全く下がっていないのだ。つまり液晶の価格下落は消費者には全く還元されず、任天堂のみが吸収しているのだ。

(中略)

圧倒的な購買力を背景に、3ヶ月ごとに見積りを出しなおさせるなんてとんでもないことだ。

(中略)

1996年03月15日に発売されたゲーム「ダービースタリオン96」(中略)定価で12,800円だ。

(中略)

その後任天堂はご存知ソニーのプレイステーションに破れ、没落した。そして今再び、任天堂はニンテンドーDSとWiiで、ゲーム業界の王者の位置に返り咲いた。消費者に対して利益を還元しない任天堂がこのまま居座れば、どうなるかは誰でも考え付くだろう。

来年にはWiiのソフトの定価は8,980円。DSのソフトは7,480円ぐらいになってるかもしれない。まったくもって笑えないが、そうならないことを願うばかりである。


一瞬、はまちちゃんに倣って、サブリミナル効果を見抜こうかと迷いましたが、
いや今回はマジメに検討するのだと言い聞かせて踏みとどまりました。
手抜き?違うよ、ぜn

ぶっちゃけ、ツッコミビリティが溢れすぎて切れません。


ただまぁざっくり言うと、
過去の高かったソフトウェアの想い出が強くあるんだなぁって感じ。
(確かにROM高かったよね。『ダビスタ96』僕も買いましたよ…)

なので、証拠とかデータとかそう言うことはもう関係なく、
その結論ありきで論理を組み立ててるので、なに暴論?その指摘がナンセンスです。
むしろそれがデフォルトです。
雰囲気としては、サイレント・マジョリティに近いね。
ただ、そう言うキーワードを織り込めないところが、
有名小説家とフリーライターの違いかな。




じゃー練習がてら突っ込んでいこうか。


  • Q. 任天堂は悪いのか?
  • A. 法律的には全く問題ない。しかし穿った見方をすれば、両社がカルテルをしなければいけなくなるほど値下げを迫ったとも考えられる。

なんというか、証拠もなくこういうこと書けるのは、
週刊誌か夕刊紙くらいですなぁ。
そしてそれらに説得力があるかって言うとねぇ。
フリーライターの一部の人…それも40代くらいの人には、
まず大風呂敷を広げて耳目を集めておいて、
その上に論理を組み立てる感じの人がいますが…ハッキリ言って痛い。


例えば、値下げを迫ったと考えられる理由は何なのよ。

今のところカルテルの疑いがあるという状況証拠しかないんだが。
せめて公正取引委員会の発表を待つか、
そうでなければ、例えば日立/シャープの原価率とか、
3ヶ月毎の仕入れ価格の下落率から予想される採算ラインおよびその期限とか、
そういうデータ用意してくださいよ。
その程度のデータも無しになに妄想書いてんだって言う。

ま、僕もそういう文章を書いたりするんで、普通っちゃーそうなんだけど、
仮にもライターっていう肩書きを名乗る人がねぇ…香ばしい。



  • Q. 値下げの必要な価格だったのか?
  • A. 仕入れ価格がわからないので正確には答えられないが、ニンテンドーDSは液晶パネルを2枚使用しているため、シャープや日立にとって利益率の良い取引であった模様。ただし、小型液晶パネル業界は厳しい値下げ競争にさらされており、巷で出回っている営業利益率1%というものは日立ディスプレイズ全体のもの。ちなみにシャープの液晶パネル部門は3%前後。任天堂は23%である。

何かよく分からないけど…気になることだけ上げてみますね。

  • DSはシャープや日立にとって利益率の良い取引
  • 両社がカルテルをしなければいけなくなるほど値下げを迫った(前項Q&A)

おや?

あと、営業利益率って…

売上から「売上原価」「販売費・一般管理費」を差し引いた額。本業の損益

だそうなので、そんなもの持ち出しても何のデータにもなりませんよ。
液晶業界がアジアに押されてヤバイっていうだけの話。
人件費や管理費が高く付くんでしょう。

そういう意味で『穿って』考えれば、
他で苦しいからDSで利益確保しておこうと思ったとも考えられる。
まぁ妄想だけど。
それならば、カルテル、利益率、任天堂の合い見積もり、の説明は付く。


ちょっとググれば、業績に非常に左右されやすい数字だってことがわかるし、
業界によって大きく違うなんてことは常識で、任天堂の数字を並べて出すのは恣意的すぎ。
例えば日立ディスプレイズの営業利益率が3%から1%になったとして、
それが任天堂のせいである理由は特にない。規模から言っても。

持ち出すなら、当たり前だけど、原価率でしょ。
DSの液晶パネルそのものに関する。



  • Q. 企業努力によって下がった原価は消費者に還元するべきなのか?
  • A. 強制ではない。しかし利益を拡大しておきながら消費者に対して還元しないという姿勢は、喜ばしいものではない。

『喜ばしいものではない。』

いやいいんじゃね別に。

例えば、DSが今現在不当に高いのであれば話は別。
商品の値段というのは言うまでもなく、
原価率と販売数、需要と供給、顧客満足度などで決まる。
僕らはその商品にどれだけ値下げの余地があるかを考えて、
ものを買うわけではないわけなので。

DSがこれだけの数を売っていることが、
その価格が適正であることを示してるでしょ。
もし状況として、販売数に陰りが見えてきている…ということであれば、
この主張にはもう一枚厚みが出てくるのだけど…薄っぺらい。

個人の感情論から出てないんだなぁ。
それじゃ食えないんじゃね?

『喜ばしいものではない。』

君は正しい。しかし世の中正しいだけでは生きていけない。
正しいと確定しない場所で利益を確定して我々は生きているのだ。



  • Q. 利益は消費者ではなく株主に還元するべきでは?
  • A. 君は正しい。しかし世の中正しいだけでは生きていけない。その証拠にスティール・パートナーズがひどい目にあっているだろう?任天堂が行っているのと同じように、値段を下げられるなら下げろと消費者も声をあげる。誰だって、どこの会社だって安いにこしたことはない。当たり前田のクラッカーな話。

『その証拠にスティール・パートナーズがひどい目にあっているだろう?』

ギャグですかwwwwww

あのね、教えておいてあげますが、ひとっつも酷い目に遭ってないのよ。
グリーンメーラーだと判を押されようが最低5億円程度の利益は出してるわけよ。
(それで満足してるかはともかくとして)

失うものなんか何にもないし、
結局損してるのは、勝ったとか言って喜ばれてるブルドックであって、
(ブルドックの人たちは財務事情知ってるから素直には喜べないだろうけど)
正しさを煙に巻こうとして引っ張り出した屁理屈がギャグにもならないっていう…

正しくもなく、ライターとして生きてもいけないのではないかと心配です。


あと、さっきも書いたけど、価格は下がればOKではない。
買う方が満足できる価格まで下がればOKなんであって。
石油がいくら高いからと言って、アメリカと同じレベルまで下げろと言う人はいない。
120円程度まで下がれば文句を言う人は減るだろう?

だから、まず資料を集めよう。
DSの値段は高いのか?
値段に関する糾弾はそれからでも遅くない。



  • Q. シャープと日立が価格カルテルを結んでいたため、ニンテンドーDSの価格が下がらなかったのか?
  • A. 数値を把握できていないので答えられない。ただし、液晶パネルだけ値下げを要求しているとは考えられず、そのほかの部品も同様に価格が下がっているはずである。液晶パネルの価格維持は決定打とはなりえず、任天堂側に(少なくとも現段階では)下げる意志がなかったと見られる。

> 数値を把握できていないので答えられない
> 数値を把握できていないので答えられない
> 数値を把握できていないので答えられない

『私は断言する。それは任天堂だ。』(元記事)

『値下げを迫ったとも考えられる』(レス記事)
『利益を拡大しておきながら消費者に対して還元しない』(レス記事)
『任天堂が行っているのと同じように』(レス記事)


断言の意味がわかんね。

この人は、ライターとメディアについて考え直すべきじゃないかな。
金貰って文章書いてる(んでしょうきっと)あなたより、
その辺のブロガーの方が良い文章書いてるよ。
金貰ってる人間は取材力があるとかウソじゃん。結局。

ブロガーは確かに取材力無いし、
プロ記者に一次ソースを寄生して生きてるけど、
情報取捨には長けてるねっていう感じ。

まぁブロガーも今や色々ですけどねー。



  • Q. デジマガネットはアンチ任天堂なのか?
  • A. 違うよ。全然(後略)

はいはい、マーク・パンサー、マーク・パンサー。

これ、置いておきますね。






あと蛇足ながら…この辺にもコメント。

結局言いたいことは、カルテルとかどうでも良くて、
思い出話だと思うので。


その後任天堂はご存知ソニーのプレイステーションに破れ、没落した。そして今再び、任天堂はニンテンドーDSとWiiで、ゲーム業界の王者の位置に返り咲いた。

確かに、当時のメーカに対する任天堂の殿様商売はひどかったって聞くね。
一強だったしね。

価格高騰の根本的な理由は『ROMだったから』なんだけど、
(CDとでは基本的な原価が全く違う)
その辺を上手く処理しようとすらしなかった任天堂はねー…どうかと思うよ。同意。

でも、これは僕の性格だろうけど、
あのとき『ダビスタ96』に払った12,800円は払っちゃった金だからもう関係ないんだよね。
ソフトは面白かったし、はまったし。
そういう意味で言うと、あれとさして変わらない値段で本体が買える現状は、
むしろ安いとさえ思えるw(←単なる洗脳)

僕の例は特殊だろうけど、
一般的にもDSが高価な買い物だという感じは持たれてないんじゃないだろうか。
だからこそDSは売れてるんだし、逆にだからこそPS3は売れてないんだし。
少なくとも僕には割高感はないな。



で、最後はやっぱり結局我田引水だよね。

消費者に対して利益を還元しない任天堂がこのまま居座れば、どうなるかは誰でも考え付くだろう。

任天堂の殿様商売と、その後の没落を言うんであれば、
歴史的流れから考えると還元すべきはまずメーカーに対してであって。
(ソフトウェアの価格はメーカーが決めてるわけだし)

同じ路線で考えると出てくる結論は、値下げしろ!ではなくて、
圧迫するな!一択じゃないんだろうか。
他のゴチャ付いたとこは要らない。


それから、価格が理由無く上がることについてはチェック機能があって良いけど、
現状以下に下げる必要は特にない。
なんなら、ソフトウェア価格の平均推移でも調べてくれればいいのに。
GIGAZINEでもそれくらい余裕でやると思うなぁ。
(自分では計算しないけど、絶対どっかから持ってくる)




結論!

久々にダビスタやりてぇ。



追記。

毎日新聞(2/29朝刊 )だとこういう論調ですね。

DS液晶カルテル:「ドル箱」維持狙う? 背景に韓国メーカー参入 – 毎日jp(毎日新聞)
任天堂は「娯楽品は消費者には常に値ごろ感を感じてもらいたい」(同社幹部)とメーカーに価格引き下げを要求していたという。業界関係者は「2社のカルテルのおかげで安く売れなかったとすれば、消費者に対する背信行為だ」と指摘している。

他の新聞社はここまで書いてないっぽいので、
ライターの人は自分の結論がまずありつつ、
毎日新聞ベースで書いてるんじゃないですかね。

『1台につき2枚のパネルが使われるDSはシャープにとって有力な収益源』とか、
どっかで見た感じの表現だしなぁ。