米大リーグ、ジャイアンツのバリー・ボンズ外野手(43)が、ハンク・アーロンの持つ最多本塁打記録755本に、あと1本と迫った。国民的娯楽といわれる野球の、33年間も破られなかった大記録の更新は目前だが、全国的な盛り上がりには欠ける。ボンズにつきまとう薬物使用の疑いが、歴史的快挙に影を落とし、祝福にはほど遠い状況をつくりだしている。
(中略)
▽不滅にあらず
しかし、今月下旬、態度をあいまいにしていた大リーグのバド・セリグ・コミッショナーは「米国ではすべての市民が有罪とされるまでは潔白である」と、記録更新の瞬間にできる限り立ち会うことを明らかにした。スポーツ専門局のESPNはホームページで「歴史に敬意を払うことは大切」と、これを支持した。
流れが変わりつつあるのか。32歳の人気選手、アレックス・ロドリゲス内野手(ヤンキース)が500本塁打にあと1本としており「いずれボンズの記録を抜くだろう。それは遠い先のことではない」(ESPN)という現実的な読みが、おそらくあるのだろう。
簡単に言えば、薬物疑惑のあるボンズが、
MLBホームラン記録という重要な記録を抜くことに対しては異論も多いが、
本音としては、すぐにA-RODが抜くから、ちょっとくらい我慢しましょうや、って感じ。
でもさーそんなに簡単に抜ける記録なんだろうかね。と思って。
シーズン73本(2001年)のせいか、
ボンズはキャリアの後半に数字を伸ばしてる…という印象があったもんだから。
(両選手とも、走攻守揃った選手が後にスラッガーになっていく、という似た特徴がある)
ちょっと記録を見てみる。
まず、ボンズのキャリアから。
(記録は、2007年8月4日現在、MLB.comから抜粋)
Barry Bonds
YEAR | HR | |
---|---|---|
1986(22) | 16 | 16 |
1987(23) | 25 | 41 |
1988(24) | 24 | 65 |
1989(25) | 19 | 84 |
1990(26) | 33 | 117 |
1991(27) | 25 | 142 |
1992(28) | 34 | 176 |
1993(29) | 46 | 222 |
1994(30) | 37 | 259 |
1995(31) | 33 | 292 |
1996(32) | 42 | 334 |
1997(33) | 40 | 374 |
1998(34) | 37 | 411 |
1999(35) | 34 | 445 |
2000(36) | 49 | 494 |
2001(37) | 73 | 567 |
2002(38) | 46 | 613 |
2003(39) | 45 | 658 |
2004(40) | 45 | 703 |
2005(41) | 5 | 708 |
2006(42) | 26 | 734 |
2007(43) | 20 | 754 |
ざっと見ると、確かに2001年(当時37歳)の73本が目立ってはいるものの、
1990年(26歳)の時点で、十分に一流のスラッガーだったことが分かる。
次に、A-ROD。
Alex Rodriguez
1994(19) | 0 | 0 |
---|---|---|
1995(20) | 5 | 5 |
1996(21) | 36 | 41 |
1997(22) | 23 | 64 |
1998(23) | 42 | 106 |
1999(24) | 42 | 148 |
2000(25) | 41 | 189 |
2001(26) | 52 | 241 |
2002(27) | 57 | 298 |
2003(28) | 47 | 345 |
2004(29) | 36 | 381 |
2005(30) | 48 | 429 |
2006(31) | 35 | 464 |
2007(32) | 36 | 500 |
ボンズに比べて動き出しが3年早いが、始めの2年で5本。
ただ、スラッガーとして数字を残し始めたのは3年目の1996年(21歳)からなので、
ボンズに比べると結局5年ほど早いことになる。
(500本の最年少記録を更新したのもその辺りだろう)
仮に、ボンズが今年、770本まで数字を伸ばして、引退したとしよう。
(本人は、ヒット記録に拘っており、来年もプレーする可能性が高いが)
A-RODが、今年50本を打ち、524本まで数字を伸ばし、
来年以降もキャリア3年目からのアベレージ(12年間で495本、平均41.25本)で
数字を残していったとすると、
770本に到達するのは、6年後、2013年のシーズン終盤。
A-RODは38歳になっている。
38歳でプレーしている選手はたくさんいるので、確かに可能な数字ではあるけれども、
ハッキリ言って43歳でプレーし続けているボンズが特殊であって、
A-RODも同程度に長く活躍できるとは限らない。
ボンズの数字の凄いところは、33歳以降も数字が全く落ちていないこと。
2005年、2006年は、怪我のために数字を残せていないけれど、
その前年の2004年は、40歳で45本を打っている。
A-RODにその数字を追えるかなぁ…
『いずれ抜く』と自信たっぷりに言えるほどの数字ではない気もするなぁ。
こんだけ叩き気味、やけ気味にボンズに賞賛を送って、
A-RODが早めに引退したらどうするんだろう(苦笑)
ホームランを打つ能力は確かに、ボンズと同程度かそれ以上にあるけど、
長く一線で活躍できるかどうかは、未知数だしね。怪我もあるだろうし…
あ、でも、シアトルにいた頃から見ても、年間平均で155試合くらい出てるね。
1999年に129試合にとどまったのを除けば、健康そのものか。
(1999年に何かあったかどうかはよく分からなかった)
ニューヨークに移ってから、本数が減っているのが気になるけど、
でも、2005年に48本打ってホームラン王になってるし、
今年も50本くらい打ちそうなペースだし。
どーなるだろ。
ワクワクはするけどねー
追記
公式サイトの、Alex Rodriguez 1999 Career Highlightsによると。Started 129 games at short, the fewest of career…Was 2nd on club in runs (110), total bases (294), homers (42), and rbi (111)…Was 5th in league in homers (42) and 6th in slugging (.586)…Won A.L. Silver Slugger Award…Played in just 2 games before going on disabled list on April 7…Had surgery the following day to repair torn cartilage in left knee…Was activated on May 14 and homered in 1st bat that night vs. Kansas City…Missed 32 games with injury(4/7に、左肘軟骨手術のため故障者リスト入りし、5/14に復帰、最初の打席でホームランを打った。その間、計32試合を欠場した。)…Was at .315 at end of August before hitting .173 in September…Scored 15 runs in 6-game span, May 23-29…Recorded 100th career steal, June 1 vs. Baltimore.とあり、怪我のために試合数が減ったということらしい。なるほどね。
しかし逆に言えば、それ以外では怪我らしい怪我(長期欠場するような怪我)をしていないわけで、
そういう意味では体調管理もプロフェッショナルと言うことか。
凄いね。