首都圏近郊にお住まいの方なら一度は目にしたことがあるのではないか。新宿東口の工事中に工事の板にガムテープで組まれた案内表示の数々。独特のバランス感覚と、テープでつくられたとは思えない素晴らしい造形が気になっていた人も多いはず。そんな文字についてのドキュメンタリーを発見!この文字をデザインしたのは、なんと警備員の佐藤修悦さんという方だった!
え。マジ?
東京在住じゃない僕にとって、そこまで馴染みがあるとは言いがたいけど、
でも、実際の文字を見るだけでも、
そのデザイン性の高さ(しかも視認性が高い)がハッキリと分かるというか。
で、エントリ内にも上げられている、ドキュメンタリによると、
この佐藤さんという方は、本当にごく普通の警備員の方で、
仕事上の必要から、やむを得ずガムテープでこの案内を作り始めて、
それが、駅の担当者に受け入れられて本格的に色んな場所に作り始めた…
とのこと。
佐藤さんは、昔からゴシック体に興味があって、
文字に対してこだわりを持っていた(ご自分の字が上手くなかったから、らしい)、
と言う話が、インタビューの中で語られているのだけど、
それにしても、このフォント。
ややもすると、固い、味気ない文字になりがちな案内用フォントが、
もの凄く遊び心に富んだ出来になってる。
なんかねー、
父親の書き文字とか、思い出すんだよね。
(測量の図面とか書いてたせいか、凄く特徴的な丸文字っぽく、
かつカチっとしたフォントで書いてた)
同じく、ドキュメンタリ内で質問者の方がおっしゃっているけど、
ガムテープで作るわけだから、
例えば、『7?14』なんてのは本来、
ハイフンで済ませられるもののハズなんだけど、
きちっと、造形を作ってる。
うーむ。
美しい。
この質問に対する佐藤さんの回答は、
『あーそうですねぇ…』
というもの。
んー、そうだよな。
感覚なんだろうな。きっと。
あと、この、
トリオフォーというグループが作成したドキュメンタリを通して思った、
もう一つ大きなことは、
この『案内文字』は、いずれは全て撤去される運命であると言うこと。
歩道に貼られた文字は、日々人々に踏まれ続けてるし、
工事が終われば不要になる。
“作品”ではあるけれども、
いずれ必ず無くなる、無形なものなんだよな。
砂で作る彫刻、なんかと同じような。
ひょっとすると、誰かが、フォントとしてまとめるかもしれないけど、
それにしたって楽な作業じゃないし、
やっぱり、失われていくものなんだよなぁ。
ん、でもそれがいい。
わびとかさびとか、一期一会とか、
なんか、そういう、味わいに繋がる何か、なんだよなぁ。
語彙が無くて、上手く書き表せないけど。
“修悦展”は、現在、JR日暮里駅にて開催中のようです。
近郊にお住まいの方は、一度ご覧になってはいかがでしょうか。
ナントカグループ トリオフォー[34]
場所っプ
(トリオフォー山下さんのブログ。“修悦体”の最新情報があります)
(一応、YouTubeも貼っておきます)
YouTube – 新宿ガムテープ道案内のこと(1)
YouTube – 新宿ガムテープ道案内のこと(2)
YouTube – 特報・ガムテープ文字道案内 2007新作予告