伊豆のアクセス。

Ogawa::Memorandaさんのエントリを読んで。

唐突に思い立って、有給休暇をとり、西伊豆の土肥温泉に行ってきた。

すっげー羨ましくなったんだけど、
文中、というかエントリの最後に伊豆のアクセスについて書いてあった。
ところで東京から西伊豆に行く場合、東名沼津ICから国道1号線経由136号線で南下するだけなので道に迷う心配はまったくないのだが、その国道1号線部分は立体化が不十分でやたら混雑してしまう。理想的には沼津から修善寺道路に繋がる有料道路ができればよいのだが、それが無理でも周辺の生活道路と分離してほしい。アクセス自体は悪くないのになあ。
この件について、僕はきっと、
東京の人とも、地元の人とも意見が違うだろうなぁ、と実感した。

静岡県出身とはいえ、静岡県はやたらと幅広いので、
元静岡市民は、伊豆や浜松の地元民とは、全く言えないんだが、
それでも、小さな頃から毎年、2-3回通っていて、
伊豆の海、というのは本当に思い入れのある場所だ。

そういう僕のような人間にとって見ると、
必ずしも『アクセスがいいこと』というのはいいことではなくて。
なぜなら、アクセスが良くなった地域から、順々に、
関東の人間につぶされていくからだ。
戸田より北の西伊豆は、はっきり言ってもうダメだ。
あー、10年前の時点でもう死んでた。
土肥だって怪しい。

伊豆中央道のおかげで、下田近郊もやばい。
伊豆スカイラインのせいか?(コレはあんまり関係なさそうだが)、
東伊豆は、城ヶ崎のあたりまで壊滅状態。
そうやって、道路が整備されていくのに従って、
地元民の交通の便は良くなり、
皮肉にも、環境も破壊されていくわけだ。

地元民は、環境リスクと引き替えに交通の便を手に入れ、
観光客(例えば関東の人たち)は、より手軽で、
自分の住んでいる地域よりもずっと綺麗な海や温泉地を手に入れるわけだが、
アクセスが良くなる前から、伊豆を愛してる人間にとっては、
ただ、海を失うだけだ。何も得るものはない。

んーだからといって、I.C.周辺のアクセスくらい整備しても良いんじゃないの?
と言うことではあるけど、うんまぁそうだけど、
その辺りから含めて、出来れば、伊豆市辺りまでで、
一般の観光客の人は満足してお帰り頂きたい、
というのが、はっきり良いって正直な気持ちだ。
伊豆半島の人たちにとっては、
アクセスが増えれば観光客も増えて潤うのだろうけど…(今厳しいだろうから余計に)
でも、素直には喜べない。


同じことは、南紀のとある駅で、
普通列車を1時間半待ってるときも思ったのだけど、
不便に対する不満を、無視するくらいで、
丁度良い場所もあるんじゃないのかな、と思うのだ。
特に伊豆半島は…紀伊半島や、房総半島に比べれば小さいわけだし、
本気で整備したら、本当にすぐにアクセスできてしまいそうだ。

車で訪れるたびに、沿岸線に新しいトンネルができて、
渋滞が解消されて、おおー便利になった!と感動しながらも、
やはり一抹の不安と、
恐らく、誰も(利用者、行政)そういう視点を持っていないんだろうな、
ということが、寂しく感じられる。

伊豆の自然はいつまで残ってるのかなぁ。

追記(2006/04/03 11:34)
OgawaさんのエントリにInspire(not インスパイヤ)されて書いたエントリで、
基本的に論点がずれている(僕の目はほぼ南伊豆の環境維持にだけある)ので、
トラックバックは送らなかったのですが、Ogawaさんからコメントを頂きました。
ありがとうございます。

というわけで、言い訳っぽい追記。
私の書いているのは、半ば工業団地として発展してきた沼津・三島の産業・生活道路と、それ以外のアクセスを分離せよということだけです。246というバイパスがあるにも関わらず国道1号は持続的にオーバーフローしているように見えます。
そうですね…いやしかし、あの地域はあれでもまだ良くなった方なんですね。
I.C.前の道が拡張されて、かなり緩和されました。

…というかですね、あれ、知ってる人は、I.C.を出て、左の大通りではなく、
右の山側の道を通って市街地に抜ける、というのが昔からの定石なんですよ。
一見広くて便利そうな目の前の道は、246号線との合流、1号線との合流で
えらいことになることが分かってるので、そこは使わないんです。
右の道をそのまま進んで、沼津駅のところで国道414号と合流。
これがあの辺りの生活道路(産業除く)です。

Ogawaさんの言われる『それ以外のアクセス』は、
例えば、沼津以西から東京に向かうアクセス、
もしくは伊豆方面に向かうアクセスだと思うのですが、
前者は恐らく東名で何とかしてください、という解決でしょうね。
後者の解決は、伊豆縦貫自動車道ということになるかと思います。
現在工事中(予定?)のこの道路が出来れば、伊豆地方へのアクセス、
また、伊豆中央道、伊豆スカイラインを経由した伊豆地方各地へのアクセスが
スムースになるでしょう。

で、もちろん書かなくても分かると思うんですけれども、
それが果たして伊豆の環境にとって良いことなのか、僕はもの凄く心配だ、
必要である、ということは理解してるんだけれども、
沼津当たりでごちゃごちゃやって、
せき止めてるおかげで守られてるんじゃないかなぁ、
なんて言う不埒なことを考えているわけです。
不便が環境を守るってそういうことだろうな、と。
もし、沼津から下田までのアクセスがスムースになれば、
観光客はより一層増加するのは想像に難くありません。

それはそれとして、小田原・湯河原に連なる立地に加え、伊豆急のアクセスもある東伊豆に比べて西伊豆は放置されてきました。東京の人からすると地名も分からないくらいでしょう。上京して10数年、西伊豆の存在も半ば忘れていた私ですが、魅力を「再」発見した感じです。機会があれば何度も足を運びたいなと思っています。
そうですね。
いいところです。田舎でね。ゆっくりできて。
観光地っぽくないところも残っていたり。
いやでも、こういうと気分を害されるかもしれませんが、
やっぱり、『すみません、内緒にしておいてください…』てのが正直なところです(苦笑)

実際は、堂ヶ島など、観光と環境をきちんと両立できている場所もあるので、
自治体の取り組み次第で、良い環境を、
多くの観光客に提供できることもあると思いますけど、
あー心配性なんでしょうね、きっと。郷愁と相まって。
静岡に住み続けていたら、また違った感想を持つかもしれません。

ちなみに、恐らく伊豆縦貫道が出来てもアクセスが最悪な地域、
南伊豆町にも結構面白い場所があります。
温泉が(あまり)ないのが玉に瑕ですが、魚料理はいけてます。
妻良、中木、などは、昔よく民宿に泊まって海で遊んだ思い出があります。
下田も、市街のホテルに泊まると高いですが、少し離れた場所、
爪木崎の方とか、河津の方とかであれば、
安くて美味い温泉のある宿もありますし…。

西伊豆、南伊豆は、峠を越えた集落ごとに特色があるので、
行ってみるだけでも面白いかもしれませんよ。


あー今年は行きたいなぁ…