ルールとは何か?

プロ野球のシーズンオフを眺めていて、やはり目に付いたのは、契約に関することだ。
特に、巨人・上原と、阪神・井川の『ポスティング要求』は、
事態の打開がいかにも泥沼化しており、非常にマイナスなイメージしか抱かなかった。
当然、当事者 ── 両球団および両選手 ── に対しても、冷ややかな感想をもっていた。
マスコミや、球界関係者(球団職員からOBまで)にしても、
そのほとんどが、我が儘であり、ルールを守らない態度だ、として厳しく評していた。
正直に言うと、僕自身もそういうことを考えていた。
『とにかく、移籍させてくれ』と、無理な主張を通そうとしているようにしか見えなかったからだ。

だが、今日発売1週間後にようやく購入した、
Number最新号(621号)の、阿部珠樹さんのコラムを読んで、少し考え方が変わった。
そもそもは…、このシステムのルールそのものが曖昧なのだ、と。
ポスティングを実施させるには、選手が球団に要求し、球団が承認することが必要なのだ。
阿部さんは文中で、
『上原や井川はルールに則った要求をしているのだから、
これを責めるのは、それこそルール違反だといえる。』

と書いている。
日本社会の、『一般常識』と照らし合わせて、『正しい』かどうかは分からないが、
ルール違反である、という主張は確かに当たらない。
彼らは、定められた正当な手続きに従って要求しているだけだからだ。
要求することで、批判するようなのであれば、
どうしてそんなシステムを作り、また放置しておくのだろうか?

良くも悪くも、メジャーへ移籍したい選手の数が減ることはないだろう。
なくなるとすれば、プロ野球がメジャーに参入したときくらいのものだ。
近年のメジャー人気で、『一流』と日本人が判断するラインはかなり下がってきたと思う。
昔は、いわゆる『超一流』しか知り得なかったが、
いまなら、『一流』であれば、知っている人は知っているし、
例えば、福岡に加入した、バティスタ、カブレラなんてところはこれに当たる。
この辺りをそれこそ買いあさって、残りの資金は選手育成に回して選手を育て上げること、
その方が、経営的にも、精神衛生上も(笑)いいような気がする。
別に、一流の選手がみんなメジャーに行きたがるわけではないし、
木田や吉井やマック鈴木の例にもあるとおり、
そろそろ、挑んではみたものの日本で再起を図る選手も出てきた。
そういう、一方的ではない選手の動きが、何らかの活力を与えてくれるような気がする。

それにしても…先日の杉山茂樹さんの時も思ったが、
重要なのは、こうした柔軟な発想と視点を持つことだと思う。
杉山さんにせよ、阿部さんにせよ、フリーライターなのだから、Numberを持ち上げているわけではない。
でも、一般的に、スポーツ誌、そして記者は、
そのスポーツを好きな人がそのスポーツを好きな人へ向けて書く、
閉じた環になっていることが多い。
スポーツに限らず…こうした発想と視点を無くしては、
あとはただ、流れていくのみ、だと思う。
もちろん流れていくのが一番楽なんだけどさ。

[NUMBER EYES] 上原と井川のポスティング要求は、わがままだろうか。 – goo スポーツ:NumberWeb –