是非に及ばず

織田信長、最期の言葉だそうである。
本能寺に押し寄せた明智光秀軍に囲まれた信長は
自分の死を確信し、こう言ったという。

『是非に及ばず』

考えても仕方のないことだ、と。
『敦盛』にある通り…

人間五十年
下天のうちを
比ぶれば
夢幻の
ごとくなり

そうなのだ、人生に起きること全ては、結局、
考えても仕方のないこと、なのだろう。
あいにくと僕は信長ではないし…
そこまで自分さえも合理的に考えることは出来ないが
所詮生きても数えられる程度なのだから。

今となって思えば、あの時、流れに任せなかったことが
結局は、2人にとって良かったんじゃないか?
僕の感じていた違和感を、
正確に言葉にすることは出来なかったけど
あの時僕が求めていたのはきっと今の姿だ
『よくある幸せの形』に
自分と自分の大事な人が収束していくのは、
まだ、我慢できなかった

…少し、綺麗に言い過ぎかな、そうだな。
是非に及ばず、だ。

さ。