雨の恋人達

ひとつの傘を手に
多くの恋人たちが街を行き交う

そろって傘を開いたら
お揃いの行動が いつのまにか距離を作る
ふたりして部屋を出るとき
手にする傘はひとつでいい
お互い傘を持って出会ったなら
今日は僕の傘をさそう
雨が少し 強くなってきたから
大きな傘の方がいいだろう?
そう言おうと口を開いた僕に
ん。
小さな傘を押しつけた
この方が 側にいられるでしょ?
僕は何も言わずに傘を閉じて
そうだね、と傘を受け取った。

そんな空気が 暗くなり始めた街を包んでいる
僕は一人 ここで街を眺めている