ハナジロー。


ハナジローが死にました。

彼は、僕が馬術部に入ったときには既にエースだったし、
僕が引退するときにもやっぱりエースでした。

脚に重度の屈腱炎を抱えていて、
満足に運動できない期間が長かったけど、
それでも、例え調整期間が1ヶ月で、ぶっつけ本番でも、
関西予\選を軽々くぐり抜けてしまう、
そんな、スーパーホースでした。

死因は、疝痛。
僕が電話を受け、駆けつけたときには、
既に腸が破れて出血していたそうです。
脚といい、腸といい、精神面といい、
サラブレッドだから、なんていう安易な理由ではなく、
馬というのは、本当に壊れやすい、生き物なんです。

最後は、安楽死という方法がとられました。
残虐だ、と感じる人もいるかもしれませんが、
それはあの空気を知らないからこそ言えることです。
40人近い部員が集まり、立ちつくし、押し黙り、
自分たちの愛した馬が弱っていくのを、ただ見ているしかない…
命というものは、
本当にそこにあるのかどうか、わからないような、
ひどく曖昧なモノなのだ、と、
そう思わせられるような…。

怪我と闘い続けてきた彼が、
もうこれ以上、苦しまなくていいように。
どうか、安らかに眠ってください。

ありがとう、ハナジロー