海は光っていた。
星と月と華火の
明かりに照らされて
夜光虫の青白い光を
そのうちに包んだままで
つぶやく僕に
やさしく返事をする
決して急ぐことはなく
たかぶることもなく
すべてを見る目で
僕は何も言う必要はなかった
彼女はすべてを知っていた
そして僕が訪れるのを待っていた
今年もあなたに会えたことを
その喜びを驚きを
あなたは何も語ってはくれない
ただ微笑んで
僕の目の前にいるだけだ
それだけでいい
それだけでいい
あなたに逢えることが
僕の夏のすべて