door

互いに、一つのドアを間に挟んでずっと考え込んでいる。


『ノブ』をずっと見つめながら、
手はなかなか動こうとしない。


このドアを開けてみたら、向こう側にいるんだろう…
ということは感じているけど、そうとも限らない。
ドアを開けても、
煙草の吸い殻とコーヒー缶が置いてあるだけかもしれない。
ドアを開けて、
僕はなにを言うのだろう?

背中があるだけかもしれない。


きっと、僕はまた遅すぎる。

いままでも遅すぎたように。