自分が前ほどVocaloidを聞かなくなった理由について、

  • Vocaloidの楽曲がJ-POPになってしまったから

という雑感をメモに書いたまましばらく放っておいたのだけど、確かにそれは一面としてあるけども、それだけじゃないなーというのを走りながら考えていたので少しまとめておく...「まとめておく」というかそんなに大したことを思いついたわけではないのだけど、簡単に言うと、Vocaloidは「Vocaloidだから聴く音楽」から「自分の好みの音楽を選んで聴く音楽」に進化したと言うことだ。


初音ミクが発売されてから早3年と5ヶ月が経とうとしているけど、初期の頃のVocaloid楽曲に求められていたのは、「Vocaloidであること」だったような気がする。「初音ミク」というイメージと、今までどこにもなかった(あっても超マイナーだった)Vocaloidによる楽曲という先進性とに、聴く人間は強く惹き付けられていたように思う。

アップされる音楽はDTMと相性の良い打ち込み系のデジタル・ミュージックが多く、それは多分普段聴いている音楽とは遠いところにある音楽だったはず(例えばパートもサビもない)だけれど、多くの人はそれをあまり気にせずに聴いていたんじゃないだろうか。「良いものは良い」という言い方も出来るけどより公平に見るなら、音楽性だけで評価されていたわけではないというのが正しいはずだ。聴いてみた結果、そういうのを好むようになった人はいただろうけれども、支持した人全員がもともとそういう趣向だったわけではなく、むしろ「今までと違うこと」が評価されていた気がする。


初音ミクに続いていくつかのVocaloidが発売され、多くの人が曲をリリースし、PVを作り、いくつかはCDとしてリリースされ、Vocaloidは発展していったのだけれども、同時に音楽性はどんどん一般的になっていった。悪い意味ではなくて客観的な意味で、J-POPになっていったと思う。今はあまり聴かないがかつてJ-POPで流行ったコード進行や、J-POPに上手くビートを織り込んだ楽曲など。「J-POPなど聴いていられない、Vocaloidの方が売れている」と嘯く人はいるけれども、いまVocaloidで一番人気があるのは間違いなくJ-POPである。

もちろん打ち込み系の音が減ったわけではなくて...それは今でも前と変わらない勢いを保っているのだけど、そうではなくて、全体の楽曲数が一気に増えた結果J-POPの割合が増えた、ということだと。十分に距離を取った地点から眺めた場合、現在のVocaloid楽曲群の「色」は「J-POP色」に見えるはずだ。



んで、僕の話に戻る。


僕が「Vocaloidを聴かなくなった」と「誤解」したわけは、Vocaloidで人気のある楽曲をこまめにチェックしなくなったからだけど(週刊Vocaloidランキングも仕事しながら流し聴いているだけだ)、それじゃあ聴かなくなったのか?というとそんなことは全くなくて、2010年は多分今までのどの年よりもたくさんVocaloidのCDを買った。ジャンルも色々。中には人気が出てから半年も経ってから急に好きになってしまった曲もある。「ワールズエンド・ダンスホール」とか。



2011年も買ってて、特に最近買ったコンセプト・コンピレーション「hammer」は死ぬほど格好良かった。

" hammer " V/A
Denkitribe ゆうゆ low(shakesphere) baker ちゃぁ kiichi ぶっちぎりP 8#Prince KTG iroha(sasaki) Dixie flatline feat.630 ざにお

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そう、つまりえーとね、自分の好きな曲だけを選んで聴いても聴ききれないくらい曲が増えてしまったんだ。

もう何がどうなっているのか、僕には全然把握できないし、する必要も特にない。多分1週間に何百曲と新曲がリリースされているのだけど、全部を聴かなくても気に入った曲が10曲もあればそれで何週間かローテーションできる。たとえ人気があるといわれている曲全てが自分の好みに合わなくても、自分の好みに合うものを探すと必ず何かが見つかる。結局、僕が聴かなくなったと思ったのは間違いで、僕くらいの距離感にいる人間なら、意識的に聴こうとしなくても音楽として触れるようなものになったんじゃないか。だって聴いてるもの。



今のVocaloidは、様々な音楽ジャンルに広がっていっていて、一口に「Vocaloidを聴くかどうか」という基準で言えないような規模になった。

「初音ミク」という特殊性で勝負する時期はとっくに終了していて、Vocaloidの音声的特徴も含めた「音楽性の好み」として選択される対象になっているんじゃないかと僕は思う。しかしそれでもVocaloidブームは全然去らなくて、参加者はどんどん増えていて、良い曲は次々に生まれていて、CDもそこそこ売れていて、ということは、これはもう流行りじゃないんじゃないか。「Vocaloid」はジャンル名ではなくなって、音楽のジャンルそれぞれに「Vocaloid」があるような。そんなイメージ。

なんか、そんな感じになってきてるような気がしますよ。