料理人と味見と猫舌

(画像:https://toyokeizai.net/articles/-/70481
たまに「料理人は味見なんかしなくても味が決められる」的なことを言う人がいますが、実際のところ、味見をきちんとしない料理人なんていません。レシピが完全に決まっている場合であっても最終的にどんな味に仕上がったかの確認はします。味が均一になる工業製品ならともかく季節や微妙な火の入れ具合、温度、仕込んでからの時間経過など多くの原因で味が変わるのが料理ですから、どんな味になったかを自分の舌で確認するのは絶対に必要です。味見をしないということは、その人が料理の達人ということではなくて、自分の料理に責任を持っていないということだと僕は思います。



で、実際に味見をするタイミングはいつか?となると、それはまあ当然のことですが、料理の最中ということになります。煮込んできた料理に今から本格的に味付けをするだとか、最後に塩加減だけチェックするだとか、そういうタイミングで味を見るのが一般的だと思いますが、いずれにしても味を見る対象は熱々であることが多いです。煮立てたスープを十分に冷ましてから味見をするなんてことをしていたらいつまで経っても料理が終わらないし、時間が経過している間に味が変わってしまうかも知れない。煮立っているスープにさっと味見用のスプーンを差し入れて(もしくはレードルで少量すくって)、さっと味を見てどう調整するか判断する。それが出来ないと、なかなか素早い味見は出来ません。改めて書くほどのことでもないですけども。

ってことは、料理人が猫舌だったら困るんですよね。でも今まで見てきた料理人で「猫舌だから味見が苦手」っていう人、記憶にないです。もしかすると存在するのかも知れませんが、観測範囲にはいませんでした。別にパワハラな労働環境でなくても「すみません、猫舌なので味見出来ません」なんてったら「バカ野郎!いいから味見しろよ!」と言われるのが落ちです。だって仕事にならないですもん。始めがどうだったのかはわかりませんが、料理をするようになるまでには熱々でも味見出来るようになるってことでしょうか。



猫舌は舌の性質ではなく使い方らしい

猫舌の人は、舌の使い方が下手で、食べ物をいきなり熱さに敏感な舌の先に付けてしまうそうです。その結果、食べ物を熱く感じてしまい、咀嚼したり、飲み込んだりすることがうまくできません。

逆に猫舌でない人は、舌の使い方が上手ですので、熱さに敏感な舌先をうまく隠して、熱さに鈍感な舌の真ん中や奥の方に食べ物を運ぶことができます。そのため、必要以上に熱さを感じないので、スムーズに食べることができるのです。

(中略)

猫舌を治すことはできるがトレーニングが必要、というのが結論です。猫舌は舌の使い方の問題ではありますが、熱さに敏感な舌先に食べ物があたらないようにするなど、食べ方を工夫することはできます!下前歯に舌先をつけながら飲む・食べる」などの習慣をつけることがポイントなので、意識して食べ物を口に入れてみましょう。

猫舌の原因は舌使い!熱いお鍋をおいしく食べる簡単な方法とは? – macaroni


はっきりとした出典のない記事で申し訳ないのですが、同じような記事はいくつか見掛けました。確かに味見をするときって思っている以上に口の奥までスプーンを差し入れている気がします。舌先でちょろっと舐めるというようなことはあんまりしない。

こちらの記事では猫舌の人とそうでない人の「飲み方」の違いが動画にされていてわかりやすいです。確かにこんな感じかも。


猫舌の人は、親も猫舌の場合が多いという。「やっぱり遺伝なの?」と思うかもしれないが、そうではない。舌の微妙なテクニックが身につくかどうかは、家庭環境や食習慣が大きく関係していると予想されている。

そもそも小さい頃は誰しも舌の使い方がそううまくない。たいていは舌先で食べようとする。つまり小さい子どもは、まず猫舌からスタートする。ただし、成長する過程で、いろんな熱いものを食べたり、飲んだりしていくことで、どうやったら熱さを感じないかという、舌の使い方を知らずと習得していく。

ところが、親が猫舌だったらどうなるか。親自身が熱い料理や飲み物が苦手なので、食卓に熱い料理が積極的に並ばないことがある。そうなると、熱いものを食べたり飲んだりする機会が少なくなり、熱さを逃がす舌の使い方を身に付けられずに大人になってしまうことがありえるワケだ。

「猫舌」に困る、あの人に教えてあげたいこと | 家庭 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準


猫舌の人の飲み方


猫舌ではない人の飲み方





子供が熱いものを口に入れることが出来るようになるように、料理人を始めた時猫舌だった人もトレーニングを積むことでだんだんそうでなくなっていく、っていうことみたいです。考えてみれば僕も子供の頃は猫舌だった気がしますが、今は大体のものは普通に味見出来るようになりました。これもトレーニングのたまものなのかな。遺伝や個人差ではなくトレーニングで克服出来るということなら、料理人に猫舌が少ない(もしくはいない)のも納得出来ます。


そうだったのかー。