形式上は間接選挙
例外が起きることはあるものの、基本的には以下の流れで行われます。- 有権者(18歳以上で選挙人登録を行っているアメリカ国籍者)が州ごとに投票を行う
- 各州には人口に応じて「選挙人の定数」が決まっており、州ごとに最も多くの票を獲得した候補が選挙人すべてを獲得する
- 全州の選挙人を合計してより多くの選挙人を獲得した候補が大統領に当選する(過半数を満たす場合)
「選挙人」という概念がわかりづらいですが、要はポイント制ですよね。人口に応じて、東京が137ポイント、神奈川が92ポイント、大阪が88ポイントなどとなっていて、それぞれの都道府県で選挙を行い、より多くの票を獲得した候補がポイントをすべて獲得するっていう感じ。東京で安倍さんが、神奈川で枝野さんが、大阪で吉村さんが勝ったら、それぞれ137ポイント、92ポイント、88ポイントを獲得するという具合。
有権者票の獲得割合が高い候補が当選する(=直接選挙)というわけではないので、最近で言うと激戦だった2000年(ブッシュ vs ゴア)と2016年(トランプ vs ヒラリー)で、有権者の票を多く獲得したけれどポイントで負けたという事例が発生しています。ここまでやるなら直接選挙で良いじゃんと思うんですけど、なんで選挙人制度を採用してるんでしょうね。
2020年の選挙はバイデン有利っぽいけれど
11月のアメリカ大統領選で、トランプ大統領の再選は厳しくなってきているとの見方が支配的だ。コロナ感染拡大、経済悪化、そして黒人暴行死問題の3つの危機に直面する中、主要な世論調査ではいずれも大統領の支持率が急落している。
トランプ大統領再選の可能性はもうないのか | アメリカ | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
ギャラップの最新世論調査(5月28日~6月4日)では、大統領の支持率は5月上旬の調査から10ポイント減の39%にまで下落した。支持率が40%を下回るのは大統領の弾劾調査が始まった昨秋以来となる。またリアルクリアポリティックスの最新世論調査(6月1日~23日)では、支持率の平均値でジョー・バイデン候補がトランプ大統領を10ポイントほどリード。直近ではニューヨークタイムズ紙・シエナ大学の最新世論調査(6月17日~22日)で14ポイント差、保守系のFOXニュースの最新世論調査(6月13日~16日)でも12ポイント差とバイデン氏がリードを広げている。
仮に今日、大統領選が行われた場合、バイデン氏の勝利はほぼ確実だ。トランプ選挙陣営はスタッフを入れ替えるなど劣勢挽回に必死だ。
いい加減トランプの無能さがバレてきて、バイデンが有利になってきているみたいですが、支持率がより高い方が当選するとは限らないわけで、なかなか難しいところ。トランプ陣営の戦略は一貫していて、選挙人が多い地域での投票率を伸ばして効率的にポイントを稼ごうという感じ。
2016年大統領選と同様に、トランプ大統領は得票率でバイデン氏に劣ることは確実視されているものの、選挙人制度のおかげでカギを握るいくつかの激戦州で勝利すれば大統領選を制することが可能だ。
トランプ大統領再選の可能性はもうないのか | アメリカ | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
最終的に重要となる激戦州はラストベルト地域のウィスコンシン、ミシガン、ペンシルベニア、そしてサンベルト地域のアリゾナ、フロリダ、ノースカロライナといった6州などだ。現在、これらの多くの州でバイデン氏がトランプ大統領との対決で、6~9ポイントまで支持率の差を広げている。とはいえ、バイデン選挙陣営はこの支持率上昇は長続きしないと捉えている。2極化が進むアメリカ社会において選挙前に有権者は再び自らの支持政党の候補者支持に戻り、接戦になると予想している。
またっすか……目に見える結果(有権者の投票割合)がありつつも、戦略でそれを覆すことが出来るってそれ、選挙制度としてはバグってると思うんだけど、それでいいのかアメリカ。
アメリカ国民は多様で、かつ今とても不安定な状態にあるので、ちょっとした出来事で何かが大きく動くと言うことは十分にあり得るし、友好国の国民としては「トランプは一期だけで勘弁してもらいたい」と思ってはいるものの高齢のバイデンがちゃんと出来るのかは未知数だし、かといって「アメリカの大統領が誰でも俺らには関係ねえよ」とは言えない、アメリカ大統領のさじ加減で世界が混乱に陥ることは十分にあるわけで、どうせなら11月と言わずに夏にでもちゃっちゃと決めちゃって欲しいとすら思います。まあ無理ですけど。
11月になる頃には、うちの国の次期総理大臣がどうなるかも決まっていて欲しいけれど、でも自民党総裁の任期は2021年9月25日まででまだ猶予があるから、解散するだのいないだので揉めながらだらだら安倍政権が続いてるんでしょうかねえ。バイデンと会談するのは次の首相でも良いんじゃないかと僕は思うんですけどねえ。
ちなみに二大政党以外の候補も立候補可能ではあります
アメリカと言えば共和党と民主党の二大政党制です。アメリカ大統領選挙で最初に話題になるのは「予備選」。簡単に言えば、共和党と民主党、それぞれを代表する大統領候補を一人に絞るための党員による選挙(州によって選出方式は異なる)なわけですが、あくまでそれぞれの政党の代表を選ぶと言うだけで、予備選を勝ち抜かなくても二大政党以外の候補として立候補することは可能です。ただこれまで二大政党以外で有力な候補ってほぼいなくて、なんでなんだろうなと思っていたら、立候補に際してはこう言う要件があったんですね。この他、多くの州では2大政党(民主党と共和党)以外の立候補に一定数の有権者による署名を必要としている。そのため、2大政党以外の候補者にとって立候補のハードルは高い。第三勢力の候補者は署名が揃わず、一部の州でしか立候補できない事例が多い。
アメリカ合衆国大統領選挙 – Wikipedia
日本でいうと供託金と同じような役割でしょうか。東京都知事選挙の混乱ぶりを見ると、そうでもしないと収拾が付かないんでしょうねと思いますが。
実際、どれぐらいの高さのハードルかというと、
2016年アメリカ合衆国大統領選挙の事例では、立候補者は31組いるが、2大政党以外の候補者で全州で立候補できた者はリバタリアン党のゲーリー・E・ジョンソンのみである。第三勢力で全州で立候補できた候補は、1996年アメリカ合衆国大統領選挙のロス・ペロー(アメリカ合衆国改革党(英語版))以来20年ぶりである。他に第三勢力から、ほぼ全国規模で立候補した大統領候補は、アメリカ緑の党のジル・スタイン(47州+ワシントンD.C.[4])、アメリカ立憲党のダレル・キャッスル(43州[5])、無所属のエヴァン・マクマリン(40州[6])、無所属のローレンス・コトリコフ(34州[7])、アメリカデルタ党&改革党のロッキー・デ・ラ・フエンテ(35州[8])、アメリカ党のトム・ホーフィング(29州[9])、アメリカ連帯党のマイク・マチャーン(25州[10])となっている。これらの候補は過半数の大統領選挙人を擁立しており、大統領に当選する可能性があるのは、全州立候補のゲーリー・ジョンソン、ほぼ全国規模のジル・スタインら7名、それに2大政党の候補者(民主党のヒラリー・クリントンと共和党のドナルド・トランプ)を含めた10名ということになる。
アメリカ合衆国大統領選挙 – Wikipedia
といった感じ。全州で立候補出来たのはたったの1人、半数以上で立候補出来たのも8人しかいないわけで、実質的に二大政党以外の立候補者を選ぶようには出来てないわけですね。政党が安定してるのは良いとしても、多様性が求められる現代社会で二者択一というのは硬直しすぎじゃないのかと思ったりもするんですが、それで上手く回ってるならそれがアメリカってことなんでしょうね。ヨーロッパは非常に多くの政党が支持を分け合って連立を組むという感じでどちらかというとアメリカもそういう方が実態に合っている気はするんですが、もしそれをアメリカでやると……分裂しちゃうんだろうなあ。無理やりにでも「二つに一つ」にすることが必要なのかも知れないですね。
政治の仕組みの拙さについては、あんまり人の国のこと言えるような立場じゃありませんが。日本もなあ。もう少しなんとかなあ。