「死の階段室」

階段のイラスト
普段、マンションの自室まで行くのに階段を使っています。出来る限り運動する機会を作ろうということでもありますし、ジョギングの前後であれば準備運動とクールダウンも兼ねます。適度にキツくて気に入ってるんですが、この「階段室」というやつ、思いのほか気密性が高く、その上各階に設けられた窓が開かないようになっている、正確に言うと窓は開けられるけど網戸がはめ殺しになっているので、空気は出入りするのになんとなくの閉鎖感があります。


もちろん僕ら人間にとっては普通にドアを開けて出入りすれば良いので大した問題ではありませんが、ここに迷い込んでしまった虫にとってはかなり問題。1日に何度かしか開かないドアの前にたまたまいれば脱出出来ますが、それ以外は出来ない。網戸に貼り付いてみてもそこからは出られない。花も草もあるわけないし、そうそう虫が入ってくるわけではないから餌もない。必然的に、そこに迷い込んだ虫のほとんどは餓死することになります。


週に何度か床掃除してくれているおばちゃんは階段室は業務外らしく、掃除をしてくれません。先日ワックス掛けがあったときも、階段室は手つかずでした。階段室自体は埃が溜まりにくく、外部から砂なども入らないために割と綺麗なんですが、掃除の範囲から抜け落ちた結果、去年迷い込んだカメムシの死骸が隅に転がっていたりします。土もないからバクテリアもいないし、捕食する動物もいないし、誰も手を付けずに分解されないままずっとそこにある。まるで化石です。


気になるなら僕が掃除すれば良いんですけど、自分の階の階段室ならともかく、上り下りしている途中の階段のゴミってどうしても「まいっか」と思って通り過ぎてしまいがちなんですよね。そして毎回見て、思い出す。なんだろうこの、時が止まったような感じ。平凡なマンションの何の変哲もない階段室なんですが、そうした細かいことに気付いてしまうと、少し異世界感があります。変な感じ。